表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

611/611

嫉妬する?

「じゃあ、春武、わかってる? 今回の事件の元凶」


 俺は、愛の言葉に頷いた。

 安らぎの時間は過ぎ、戦いの時間が舞い戻って来ようとしていた。


「ああ、わかる」


 愛は俺から目をそらす。


「正直ね、私。春武がいなかったらその人と付き合ってたと思う」


 俺はぎょっとした。

 そんな大層な相手だったのか。


「嫉妬する?」


 後ろめたげに愛は俺を見上げる。

 今度は俺が視線を逸らす番だった。


「あー、いや、そういう相手なら今回みたいな事件を起こすのも納得かなぁと」


「そっか」


 淡々とした口調で愛は言う。

 その心境は推し量れない。


「それじゃ、よろしくね」


 愛の手に光が宿る。

 それはいかなる魔力の効果も無効化する特殊な光なのだ。


 光が俺を射抜いた。

 その瞬間、俺は目を開いていた。


 病院の天井だ。

 俺は飛び起きると、俺の様子を伺っていた刹那と頭をぶつけた。


「いった~」


 俺は頭を抑えてのたうち回る。


「危ないなあ、私に頭突きするなんて」


 刹那は平然とした調子だ。


「けど良かった。アリスちゃんの言う通り意識が戻ったわね」


 現実の世界に戻ってきた。

 愛を救い出すためにも元凶と戦わなければならない。


「俺、ちょっと行ってくるよ」


 刹那に言う。

 刹那は思案顔だ。


「こんな状態だったんだから少しゆっくりしていけば?」


「夢の世界に愛を一人置いてはおけない」


 そう言って立ち上がる。

 バックを視認すると、着替えて、窓に足をかける。


「じゃ、行ってくる!」


 そう言って俺は、窓から外へと縮地で飛び出した。

 足を魔力で強化。

 力強く地面に着地する。

 そして駆け始めた。


 教室では授業の最中。

 扉を開くと、俺はその男を視線で射抜いた。


「沢村。ちょっと話があるんだけど良いか」


 愛の吹奏楽部の先輩、沢村。

 彼以外に今回の事件の元凶は考えられなかった。

 沢村は俺を見るときょとんとしたような表情になり、次に剣呑な表情になった。


「なんの用かのう、六階道」


「六階道君、意識戻ったの? と言うか、授業中よ?」


 教師が困惑したように言う。

 俺と沢村は睨み合って視線を逸らさない。

 ざわめきが教室を包む。


「愛を返してもらう」


 なにか勘違いがあったのか黄色い声が上がった。

 沢村は溜息を吐くと、立ち上がった。


「先生、ちと野暮用じゃ。授業勧めといてくれ」


「ちょっと、沢村君!」


 沢村は俺に向かって歩いてきた。

 彼は異能を身につけている。

 どこから異能が飛んでくるか。

 俺は魔力を全開にしてその瞬間に備えた。




つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ