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クーポンの世界

 そして、世界は白一色に染まった。

 親父が展開した、クーポンの世界だ。

 外界から切り離された世界。この中でどれだけ時間が過ぎようと外界の時間は止まっている。


「ああ、岳志さんが合体してくれるんだね!」


 俺と親父は顔を見合わせる。


「ギシカ、ギシニルはお前の強さを見たいだけだよ」


 親父は苦笑交じりに言う。


「娘ならそれに本気で付き合ってやるのが義理ってもんじゃあないかい」


 親父はそう言って屈伸運動を初めた。

 義理堅い人だ。

 ギシカの表情が硬くなる。


「クーポンの世界を展開したのって、もしかして……」


「ああ、そうだ」


 親父の代わりに俺が答えた。


「お前をここで鍛える」


「……本気?」


「大マジ。俺も親父も六階道家で修練を積んだ身。教えることはできる」


「無理だよ、私春武みたいに器用じゃない」


「何故無理と諦める?」


 親父は理解し難いと言いたげにいう。


「君の可能性は無限大なんだぞ。子どもとはそういうものだ。さて」


 親父はそう言って腕を抱え込んで伸ばす、


「老けた中学生になりたくなければ早めに修行を終わらせなけりゃな。幸い三ヶ月分の食料は備蓄してある」


 ギシカは表情を真っ青にした。

 まあこんな親父だから俺も勤勉に育つわけだ。学業以外は。


 親父は真剣な目でギシカを見る。


「ギシニルは次、いつ来れるかわからない」


 ギシカがハッとしたような表情になる。


「君の全力をぶつけてやるんだ。拙く経って良い」


 ギシカは俯くと、小さな声で言った。


「……魔界行きは嫌だから頑張ります」


「よし、じゃあまず変身から見せてもらおうか。自在にできるようになったんだろう?」


 コーチ経験豊富そうだなこの人。

 半分コーチに足突っ込んでるような現役選手だもんな。

 肝心の息子には結果でしか語らないのに、なんなんだろうな、これ。

 俺はそんな益体のないことを思った。



つづく

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