野球観戦に行こう!
「プロの試合観に行くのも久々だなー」
辰巳がウキウキ気分で言う。
「久しぶりだね」
翔吾も興奮した様子で言う。
「お前ら状況わかってる?」
俺は思わず問う。
部長は試合観戦も勉強になるからと練習を休ませてくれた。
「父親の復帰登板よー、貴方がはしゃいであげなさいよ」
愛が咎めるように言う。
「親子としての実感ないと言うか、なんと言うか」
「まだそんなこと言ってるんだ」
俺達は巨人の本拠地へと移動中だ。
親父の今日の役割は五番投手。
万を超える観客の中に、一人だけ親父を拐おうとしている人物がいる。
千紗が探知している最中だ。
「しかしわからんところだがな。先生は井上選手を手中にいれて何に使うつもりなんだろう」
辰巳が胡散臭げに言う。
「霊気の布教そのものが自身への集合的魔力を集めるためだとしたら?」
愛の言葉に、俺ははっとする。
魔力を持つものから憧れられると集合的魔力が集まる。
霊気も同じ性質を持つとしたら?
「先生は胡散臭いやつってことかぁ」
辰巳はまだ半信半疑と言った感じだ。
「まあ、故障から救ってくれた相手だからね。信用したいのはわかるわよ」
愛は理解を示す。
「さあ、行くぜ。いざ観客席だ」
そう言って、俺達はチケット受付口へ向かって進み始めた。
巨人本拠地へは大量の人々が集まりつつある。
つづく




