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合体!?
俺は炎の壁を意図的に物質的な盾へと変換した。
炎では辰巳を焼いてしまう可能性がある。
風を切る音。
動体視力を限界まで高めて目視する。
硬球だ。
それが、盾をへこませていく。
尋常ではない速度と連射。
これが霊的ドーピングという奴か。
しかし親父譲りで俺の魔力は高い。
魔力でできた盾はへこみはしたが破壊されなかった。
「へえ、あれを耐えきるか」
辰巳が着地する。
「やめよう、辰巳! 俺達がやり合う理由なんてない!」
「お前が恩人のことを探っていなければそうだっただろうな」
辰巳は目を細めて言う。
その目がきっと開いた。
「翔吾、合体だ!」
「了解!」
合体、だと?
連携プレーのことだろうか。
「文字通りの、来そうよ」
千紗が言う。
「二人の魔力の波長は限りなく近い」
人間同士が合体? そんなこと、あり得るのか?
戸惑っている間に、光が二人を包んだ。
つづく




