遭遇
Xと割烹でも書いたのですが昨日はお休みをいただきました、すいませんでしたorz
熱が微熱になったので少し続きを書こうと思います。
早足で歩く。
歩き回る。
老人ホームの前を一軒一軒訪ねては、これは違うと歯ぎしりする。
その時、接近する感覚に俺は背筋が寒くなった。
この感覚、知っている。
あいつだ。
パーカーの男だ。
あいつは既に目星をつけてるのか目標に向けて一直線に進んでいる。
俺は縮地を使わないようにして駆け出した。
それでも十分に鍛え上げた身体能力と魔力によるバフだ。
かなりの高速移動となる。
建物の屋根から屋根を跳躍し、奴に迫った。
そして、魔力を開放する。
落下してくる俺を見上げる奴の口元は、ほくそ笑んでいた。
暗いフードの下で、目がギラリと輝いた。
「何処へ行こうってんだ!」
俺はそう言って、双剣を呼び出す。
相手は徒手空拳だ。
容易く切れるか、と思ったら、蹴りで止められた。
(俺の剣と腕力を防ぐ靴……だと?)
唖然とした。
そんな物があればアーティファクトだ。
その一瞬で隙が出来た。
成功経験というのは重ねすぎても駄目なのだろう。
俺は追撃の蹴りを腕で受け止める。
そして、後方へと吹き飛ばされた。
相手は空中で更に追撃を繰り出してくる。
「甘いよ!」
そう言って、双剣の片割れを投じる。
相手は空中で軌道を変えて、器用にそれを躱してみせた。
目を見開く。
(以前より適合している……!?)
そうとしか思えなかった。
相手は以前より、模造創世石に慣れている。
それは、世界を書き換える力だ。
殺したくはない。
ないのだが、このまま放置しておけば相手は脅威になることは明白だった。
つづく




