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接近する気配

 俺はアリエルと背中合わせの席に座った。


『いるか?』


 スマートフォンを操作してアリエルにショートメールを送る。


『まだにゃ』


 ものの数秒で返事が返ってくる。

 こんな電子機器まみれの奴が神格を持つ天使なんだから夢がないなと俺は思う。


『どんな奴だ?』


『いつも帽子被ってるにゃよ』


『ハゲ隠しか?』


『あれほどの職なら植毛もカツラも良い店行けるにゃ』


『じゃファッションか』


 どうでもいいやりとりをして時間を潰す。

 そのうち、店のドアが開く音がした。


『来たけど……違う?』


 アリエルは戸惑うように言う。

 俺も感じていた。

 模造創世石の気配はもっと遠くにあって、今近づいてきている。


 間近ではない。


「やーやー、待たせたね」


 そう言って朗らかに笑う男を、アリエルは戸惑いながらも礼をして迎えた。

 どういうことだ?


 気配は幸いなことに接近しつつある。

 この状況に鉢合わせたい奴は、誰だ?



つづく

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