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新たな遭遇

「ありがとうございました!」


 頭を下げる。


「次のお客様、どうぞ」


「いつもの」


 ガテン系の男がぶっきらぼうに言う。


「いつもの、と言いますと?」


 コンビニでのレジ打ち中だ。俺は笑顔で問う。

 ガテン系の男は怒鳴り散らした。


「毎日来てる客のタバコの銘柄ぐらい覚えろや!」


「岳志君、はい」


 先輩がそっぽを向いてタバコを一箱渡してくる。

 それを受け取って、レジに通した。


「五百二十円になります」


 ガテン系の男はきっちりお金を払うと、そのまま出ていってしまった。


「先輩、ありがとうございます。助かりました」


 小声でささやく。

 先輩はつんと前を向いて、笑顔で次の客の接客に入った。


(ううう、やり辛いなあ……)


 酒に酔って絡んできたのはそっちじゃないか。

 二十歳過ぎて酒に飲まれたのが悪いんじゃないか。

 そんなことを思う。


 これだから大人は、だなんてこんな時だけ子供ぶってみたりする。

 その時、入ってきたワイシャツの男に、俺は背筋が寒くなるのを感じた。


 黒いオーラを漂わせている。

 しかし、まだ小さい。


 アリエルがいなくてもいけるか?

 そんな判断を一瞬でする。


「ウリエル」


 先輩の中のウリエルに話しかける。

 先輩の目がブラウンから金色に変わった。


「なんだ、少年」


「ちょっと、誤魔化してもらえるか」


「ああ、存分にやってこい」


 そう言って、ウリエルは微笑むと、ワイシャツの男にソフトクリームを二本手渡した。

 まだ若い男だ。

 大学を出てまだそんなに経っていないのではないだろうか。


 男は店を出ていく。

 俺はそれを追って外に出て、スマートフォンを開くと、クーポンを開いた。

 それを押す瞬間、妹と同じ学校の女生徒が、男に向かって駆けてくるのが見えた。


 巻き込んでしまう。

 そう思ったが、もう遅い。


 俺の指は、止まらなかった。

 白い空間が、周囲に広がった。



続く



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