あかねとの合流
空港であかねを待つ。
神殺しの長剣は空港のゲートで引っかかる為今回は留守番だ。
決闘のクーポンと退魔の短剣で何処までやれるか。
それが鍵を握るだろう。
あかねはリュック一個の軽装でやってきた。
片手を軽くあげる。
「や、軟式王子。話が違ってきたね」
「と、言うと?」
「私に軟式野球大会の決勝のチケットくれるって言ってたけど、そもそも君、参加できそうにないじゃない」
痛いところを突く。
「できれば、参加したいよ……」
ぼやくように言う。
「紗理奈はどうしてるー? どうせ奔放にしてるんだろうけど」
「少々手を焼いてる。いつも通りだよ」
「ああ、口説かれてるんだ」
愉快げにあかねは言う。
見透かされてる。言い返せないで口ごもる。
「それにしても北海道とは意外ね。安倍晴明の時代には北海道はまだ日本じゃなかったわ。法則性が良くわからないなあ」
「そうなのか?」
「君、日本史勉強した? そもそも、安倍晴明の時代には畿内以外は未開の地として扱われていたって話まであってね。戦国時代も初期は畿内を制覇すれば天下人って言われてたのよ」
「畿内ってなんだ?」
「まあそこは飛行機の中で追々授業といきましょうか。あかね先生が教えてあげる」
学校の授業は好きじゃないのだが、あかねの話には少々興味があった。
何より、話すあかねが楽しそうだ。
「あかね、学校の先生なんか向いてるんじゃない?」
言うと、あかねは少し切なげに微笑んだ。
「そうね。六大名家の当主じゃなければ考えたな」
そう言って、あかねは歩き出した。
フライトの時間まで未だ少しある。
それでも歩き出したのは、話をはぐらかされたような感があった。
続く




