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直属騎士

 騒動の後、遥とアルバイトまでは一緒に行動できたのだが、その次の行動をどうするかで意見が別れた。

 遥は普通に大学に行きたいと言い、俺はついていくと言った。

 その俺の態度で、周りの大学生を巻き込むことをイメージしたらしく、遥は折れた。

 折れると、行動も早かった。


「今期は休学するよ。単位は今まで取れるだけ取ってるから致命傷にはならない。就活の時期に講義が被ってちょっと苦しくなるけど」


 そう言って手を組んで、伸ばす。


「それで、アリエルと相談だっけ? 今後一緒に暮らす、だっけ? まあ、そこらまとめて話そうか」


 という事になった。

 決断が早い。相変わらず俺の遥は男前だ。


「話が早くて助かるよ。一先ず、俺の家に行こう」


 幸子から借りた自転車を押して、俺のアパートへ向かう。

 アパートの玄関では、エイミーが両腕を組んで仁王立ちしていた。


「遥、怪我はない?」


 不安げに言う。


「大丈夫よ、エイミー。貴女より先に死なないって決めてるから」


 そう言って肩を竦める。

 エイミーは苦笑顔になる。


「会見の時の言葉、気にしてるんだ」


「あんたねー、女同士でああいうのは後引くのよー。相手が私だから冗談で済んでるんだからね」


「私も迂闊だったとは思った。エイミー、周りに男の子ばっかりだったからなあ」


 お前は発言が迂闊なんだよと俺は少しピキッた。

 まあ玄関前で痴話喧嘩していても仕方ないので三人で中に入る。


 神殺しの長剣と神秘の盾を前にして腕組みをしているアリエルが畳の上に座っていた。


「女神様から話は聞いたにゃ。敵の狙いは創世石だそうにゃね」


「ああ、そうだ。陰陽連の裏切り者がはっきりとそう言った」


「ああ……まさか創造主殺しを企てる者が現れようとは」


 そう言ってアリエルは世も末だとばかりに天を仰ぐ。


「それで、これからどうするにゃ?」


「一旦、遥は休学することになった。俺と同じ家に住む。アリエルが護衛についてくれるだろう?」


「致し方なしにゃ」


「ああ、それならエイミーが家借りてあげるよー」


 思わぬエイミーの乱入に皆、戸惑った。


「事務所名義で家借りれば足もつかないでしょ? 居所が相手に知れてるって分が悪いよね。引っ越さなきゃじゃん。エイミーが家を借りれば、皆一箇所に集まれて、安全です」


 そう言って、エイミーが胸を張る。


「皆って……お前もか?」


「あずきもね」


 そう言ってエイミーはにこにこ微笑む。

 思わぬ方向に話が転がり始めた。

 俺は遥と顔を見合わせた。


 少し甘い方向に話が転がってくかと期待してたんだけどなあ。



つづく


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