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パワースポット

 深夜になった。

 俺達は寝入った面々を置いて車で山へと向かう。

 メンバーは俺、アリエル、エイミー、刹那。

 異能を駆使する面々だ。


「薄々感じてたことだけど」


 エイミーが口を開く。


「パワースポット近いよね、ここ」


 流石模造神。既に探知能力を得ている。


「私も感じます。京都ほどではないけれど、微弱なパワースポットがある」


 運転席の刹那も追随する。


「霊気を追って獣道を行けと老人は言っていた」


 俺は老人の台詞を思い返しながら言う。


「つまりは、パワースポットになにかがあるということだろう」


「危ないにゃよー」


 助手席のアリエルが言う。


「パワースポットには堕天した者が集まりやすい」


 周囲の気が引き締まる。

 戦闘の可能性があるということだろう。


 そのうち、刹那は車を停めた。


「一番パワースポットから近いのが、ここ」


 横手を見てみる。

 完全に獣道だ。

 ここを通るのかと思うと少し憂鬱になる。


 アリエルが炎を使って草木を焼いて先頭を進む。


「行くにゃよ。不意打ちには気を付けて」


 そうして、俺達は、アリエル、俺、刹那、エイミーの順に道なき道を進んでいった。

 アリエルの炎がなければ完全な闇だ。

 鬱蒼と生い茂った森が月の光を完全に遮断している。


 しかし、神秘的な気配が確かにある。

 それは、徐々に近づきつつあった。


「どうやらハズレにゃね」


 アリエルは残念そうに言う。


「なにもないってことか?」


 俺は問う。


「違うにゃ」


 アリエルは苦笑する。


「シュリアルが言う黒幕。それに相当するような神性は感じないにゃ。仇討ちはまだ先になりそうにゃね」


 そう言えばそうだ。

 アリエルの姉であるエリセルとシュリアルを唆し、天界大戦を起こした神。

 暗躍した彼は今もまだどこかで生きている。


 本当なら今すぐにでも飛んで彼を追いたいアリエルだろう。

 しかし、手がかりがなさすぎる。

 現状維持に甘んじているのが正直なところだろう。


「神聖な気配が近づきつつある……」


 刹那が呟くように言う。


「確かに、何かあるようだねえ。岳志の助けになるものかぁ」


 エイミーが言う。


「罠とは限らないけどにゃ」


 百戦錬磨なだけあってアリエルはリアリストだ。

 そのうち、俺達は巨大な土砂の前に辿り着いた。


「この奥だにゃ」


 アリエルが途方に暮れたように言う。


「これ掘り起こしてたら夜が明けるだけじゃ済まないねえ」


 エイミーも困り果てている。


「任せて」


 そう言って、刹那は一歩前へと進んだ。


「私はあれから、体外に術を放つことを練習した。全属性合成術の再現を目指して。それは叶わなかったけど、副産物はあった」


 そう言った刹那の肘に、エネルギーが集束する。


「鉄破孔!」


 そう言って、刹那は肘打ちを土砂に向かって放った。

 次の瞬間、爆発が起こったように土砂は内部から爆発四散した。


「エネルギーを相手の体内に送り込んで爆破する。私の新しい技」


 淡々とした口調で刹那は言う。

 三人とも、唖然とした表情でそれを見ていた。

 必殺技ではないか。


「こいつはすげえや」


 見ると、土砂のなくなった先には、洞窟がある。

 俺達は互いの表情を確認すると、そこに向かって歩み始めた。



続く






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― 新着の感想 ―
本格的に武術を窘めたら武仙とかになりそうだね(笑)
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