陰陽連本部
赤い鳥居の列が果てしなく続いている。
十分程は歩いただろうか。
しかし果ては見えない。
与一と紗理奈は平然とその道を歩いていく。
俺はただ、戸惑いつつもその後に続いた。
本当にこの道に先はあるのか?
そんな疑問をぐっと堪える。
「掴んだ」
与一が呟くように言う。
「掴んだね」
紗理奈も言う。
「え、なにが?」
俺だけが話についていけていない。
「空間の歪みだよ」
与一が言う。
そして、指差す。
確かに、目を凝らすと、鳥居と鳥居の間に暗い歪みのようなものがあった。
与一と紗理奈はそこに向かって歩いていく。
俺もそこに続いた。
視界が暗転する。
すると、開けた空間が視界に広がった。
まるで巨大な図書館だ。
本の山の中で、様々な書類を移動させている人々がいる。
その中を与一と紗理奈は歩いていく。
「おお、来客だ」
「天皇陛下以来の……」
こそこそと噂話がする。
天皇陛下以来?
令和天皇ということか?
これは大事だ。
歩いているうちに、大きな扉に突き当たった。
与一がノックする。
「与一です。来客を連れてきました」
「……入れ」
重々しい声がした。
続く




