秘密のお誘い
与一と紗理奈にしばらく住まうマンションまで案内された。
陰陽連への案内などはないらしい。
曰く、一々部外者を案内していては秘匿性もなにもないと言うことらしい。
尤もな話なので返す言葉もない。
どこか古さが残る町並みを歩く。
紗理奈が一方的に喋り、与一に突っ込まれる。二人はそんな間柄らしかった。
たまに紗理奈がこちらに同意を促す。
そんな時はどうすればいいか困ってしまって、曖昧な返事になった。
「世を騒がす軟式王子君も案外普通の子ねー。飲まれてる飲まれてる」
面白がるように紗理奈は言う。
「お前のキャラが濃すぎるんだよ。初見でついてこられる奴がいるかよ」
「けど岳志はこれから君達二人と行動を共にしなければならないにゃー」
アリエルの言う事は尤もだ。
「と言うか、アリエルは一緒に行動しないのか?」
「悪霊つきは人間の範疇。私は大本を探すにゃ」
そう言われると若干心許なくなってきた。
マンションに付いた。
紗理奈が、さり気なく俺のポケットに手紙を忍ばせる。
部屋に入ってから開いてみると、そこには住所と時刻、そして二人で会おうという短い文章が書いてあった。
「えええええええ」
俺のなんとも言えない言葉が部屋の中に響き渡った。
続く




