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エイミーのハイライト

 周囲に光景が浮かび上がる。

 それは、運動場。

 幼かった俺が、エイミーに手を差し伸べている。


 次は、祭りの日。

 浴衣を着たエイミーと俺の手が触れて、そして握りしめられる。


 そして次は、再開の日。

 浴衣を着たエイミーを抱きしめ、俺が回転する。


 そして次は、別れの日。


「こうしてる時間が一番好きだなあ。のんびりするというか、和むというか」


 そうだ、アヒルボートでエイミーは確かにそう言ったのだ。


「なら、辞めちまえよ芸能人なんか!」


 俺は叫ぶ。心の底から。


「誰が見捨てても、俺が傍にいてやる! 休日は、アヒルボートで一緒にサンドイッチを食べてやる! だから、帰ってこい、エイミー! こんなの、お前らしくないだろう?」


 赤い目をしたエイミーは苦しむように唸り声をあげる。

 その皮膚が、割れ始めた。


 中から、生まれたままの姿のエイミーが飛び出してくる。

 そして、エイミーの抜け殻が、戸惑うようにそれを見ていた。

 俺はエイミーを抱きとめ、涙ぐむ。


「心配かけやがって……」


「五里霧中な中で、岳志との思い出が脳裏に蘇った。それで意識がはっきりした」


 エイミーは微笑む。


「私から岳志との記憶を消すことなんて出来ないよ」


「おのれえええええええ」


 エイミーの抜け殻が怨嗟の声を上げる。


「触媒を失った哀れな抜け殻よ、この世から消えなさい。そして、二度と生まれることなかれ」


 女神がそう言って手を掲げる。

 光がほとばしり、エイミーの抜け殻ははじめからそこからいなかったかのように消えてしまった。

 俺の腕に、裸のエイミーが残った。

 俺は慌てて服を脱いでエイミーに着せる。


 幼馴染とは言え、流石にヌード姿は刺激が強かった。



続く

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