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破壊
救急車はついただろうか。
そんなことを考えながら、ゆりかもめに乗る。
エイミーのタワーマンションはお台場にある。
まだ、エイミーが神になったとか言う戯言は信じられずにいる。
「事実だと思うか?」
俺の言葉に、アリエルは難しい表情になる。
「確かに、信仰は人を神にしてきたにゃ。けど、それもレアケース。大物宗教家でも神になった人間は少ないにゃろ?」
「だよなあ……」
現代まで残っている古代宗教のほうが少ない。
「確かに天使が手を加えれば効果は違ってくるかもしれない。けどにゃあ……私も俄には信じられないにゃ」
癪だが、意見の一致するところだ。
「折笠の意見の偏りって感じか」
「だにゃあ。なんだかんだでエイミーを可愛がっていたようだし……にゃ?」
アリエルが窓の外の景色を見て唖然とした。
轟々と燃え盛る火炎。
夜空を煌々と輝かせるそれは、エイミーのマンションの辺りから放たれていた。
「まあ、あながち間違ってもないようにゃね」
若干呆れたように、アリエルは言った。
あれと戦うのか。
あれを、元のエイミーに戻せばならぬのか。
俺は若干憂鬱になった。
続く




