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13話 リンちゃん見守り大作戦、始動(旦那様視点)

 剣に力をこめて振り切ると、そのままクラシオンは大きく後方へ飛んで距離をとった。

 その隙にラモンが私の側に来て、クラシオンに聞こえないよう耳打ちした。


「旦那様」

「どうした」

「王女殿下がお見えです」

「え?」


 約束などないが、立場上、当然無碍には出来ない。

 しかし、この状況の時とは間が悪い。


「奥様に御用があるとのことです」


 クラシオンが駆けだした。

 さすがに影響はないだろうが、ラモンを庇う形でクラシオンの攻撃を受け、指示を出した。


「わかった。部屋に通せ!」


 さて、どう終わらせる。

 彼女に手を挙げて反撃なんて考えは毛頭ない。

 かといって、強化や剣でのガードをなくして、わざとやられてみせるのは危険だ。

 こちらが重傷を負う。

 ちらりとマヌエルとアンヘリカを見れば、目が合い頷かれた。

 王女殿下がお越しになったことを知ったな。


「クラシオン! 今だ!」

「え?」

「必殺技よ!」

「え?!」


 あくまで、あの二人はクラシオンの味方なのか。

 あの頷きは何だったんだ。

 クラシオンは真剣な顔をしつつも、二人の応援に瞳を生き生きと輝かせた。


「スプレンダー!」


 ぴしゃーん

 と、またよくわからない音を出している。

 効果音と言っていたか。

 マヌエルが再び目を合わせ、声を発せず口だけを動かした。

 うまくやれ、と。


「カリド・アリビアド!」


 どーん

 このタイミングで、どうにかするしかない。

 こちらも魔法を使う。

 あたかもクラシオンに攻撃によって土煙があがったように見せかけ、完全に視界が塞がったところで、木の上に隠れた。


「ああもう……」


 何故こんなことをしているのか。


「逃げられましたか……」


 辺りを見回しつつ、逃げられたと判断したクラシオンは、件の衣装から、よく着ている服へ一瞬で戻った。

 これも魔法を考えたな。

 優秀なのはいいことだが、もっと違う方向に活かしてほしいものだ。


「奥様、王女殿下がいらしています」

「カミラが?」

「はい」

「珍しい。今、行くわ」

「私も行っていい?」

「構わないわ」

「んー、じゃ、遅れて行く。先に行ってて」

「ええ」


 完全にクラシオンがいなくなったことを確認して、マヌエルとアンヘリカの元へ戻る。

 今日も浅く長く溜息が漏れてしまう。


「いやー、すごかったわー」


 想像以上だと喜んでいた。

 今日はクラシオンの暴走を止める相談で呼んだのに、どうして我々の戦いぶりを見せる羽目になったのか。

 楽しませるための見世物でもないのに。


「まあ大方予想通りね。にしても、あの子本当、魔法の実技優秀だわ」

「そんなことを話す為に呼んだわけではないぞ」

「わかってるって」

「だからカミラが来たんじゃない」

「え?」


 クラシオンの行動と、今日の相談を予測して、王女殿下にも相談済みだったらしい。

 私が彼彼女をここに呼んだ時点で始まっていた。

 このタイミングで来た王女殿下も示し合わせていたと。


「どういうことだ」

「じゃ、リンちゃんとこ、いこーぜ」

「その前に簡単に内容を話せ」


 身を整え、足早に応接間へ歩みを進める。


「まー、あれだよ。リンちゃんの行動を止められないってなら、よく分かってる俺達で危ない目に遭わないよう見守ろうよってこと……まあ作戦名は、リンちゃん見守り大作戦ってとこかな!」

「具体的には」

「ツッコミなしかよ! てかお前、偉そうにしてるけど、一番重要なのお前だからな?」

「どういうことだ」

「お前とリンちゃんが、きちんと夫婦するようになるってのが、大前提の見守りだっつってんの!」


 言葉が出なかった。

 つまり、私とクラシオンの仲の改善が必要。


「お前がメインで! リンちゃん止めるんだぞ!」

「それは、そのつもりだが、」

「正直、リンちゃんの言う、お前の洗脳が解ければ、このスプレンダーの話は終わりだぜ?」

「私はまともだ」


 そう伝えたところで信じてもらえるとは思えないが。


「……ま、いいわ。精々気合い入れて、お付き合いから始めろ。いや、まずは告白からだな」

「は?」

「リンちゃんが愛されてるって実感わくぐらい努力しろ」

「今でも十分だろう」

「伝わってなければ、愛されていないと同義だ、アホ」


 まったく今日は、この手の痛い話ばかり。

 しつこさに、うんざりといったところか。

 小さく溜息を吐けば、ようやっと応接間前に着いた。


「おっと」


 さすがにここまでくるとマヌエルは黙り込んだ。

 ここで同じ声量で話していれば、当然中のクラシオンと王女殿下に聞こえてしまうからだ。

 戸を開ければ、王女殿下の話の途中だった。


「ではクラシオン。王城へ定期的に通ってくれるわね?」

「ええと、それは、」

「は?」


 完全に戸が開いたところで、私は王女殿下に対して大変無礼な言葉を投げかけた。

 クラシオンを王城へあげるだと?

 それはすなわち、多くの目にクラシオンを晒す事になる。

 いいや待て、やはり駄目だ。

 クラシオンに心奪われる男が何人出ると思っている。

 あれだけ、来ないよう伝えていたのに、ああくそ、王女殿下は何を考えている。


「おい、エヴィター」

「!」


 マヌエルの言葉に我に返り、努めて冷静にクラシオンの隣に座った。

 社交や謁見とあれば、こうしてすんなり隣に立てるのに。

たくさんの小説の中からお読み頂きありがとうございます。


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