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24話 世界初

この異世界に転生し、早2ヶ月が経った。



ここで改めて俺と暮らす魔物を紹介しよう。



―レッド―

種族はルプレックスという狼の魔物。

見た目は通常の狼と大差ないが、最終的には巨体となり強靭な肉体と高い知能を併せ持つ。

気持ちが高ぶると体毛が真っ赤に変化し、肉体がさらに強化される某戦闘民族によく似た特徴を持つ。

性格はまだ子供故か、甘えん坊。性別はメス。頼れる女の子だ。



―コロ―

種族はラピスディロスというアルマジロに似た魔物。

見た目は小型犬くらいのアルマジロだが、尻尾の先端はトゲ付き鉄球のような形状になっている。

主に石や草を食べるが、嗜好品である岩塩を舐めると、なんとも言えないダンディーな表情を見せてくれる。

糞がコロ炭になる。

性格はかなりのマイペース。性別はオス。イカしたナイスガイだ。



―チョコ―

種族はルフというとても大きな鳥の魔物。

見た目は全身が純白ともいえる白で、尾羽が長く、頭頂部にはトサカのような形状の毛が生えている。

大型重機くらいの体躯をもち、その身体と同等の大きさや重さの物を持って飛んでも最高速で飛ぶことができ、スタミナもかなりあるが、ダランと足を伸ばし、腰を地面に降ろす鳥らしからぬ変な座り方をする。

性格は結構わんぱく。性別はメス。活発お茶目な女の子だ。



―プル―

種族はスライム。

色々な後処理をしてくれる寡黙なやつ。

性別は恐らくなく、性格も分からない。プルンプルンだ。



―ヴァン―

種族はリーペントというドラゴンっぽい蛇の魔物。

毒で弱らせたり、石化させたりするらしい。

尻尾の先端にあるトゲが発火すると超危険。

性格は素直。たぶん。性別はオス。見た目に反し優しいヤツだ。



こう見ると僅か2ヶ月で随分と賑やかになったもんだ。

これには間違いなくノアに貰った匂い袋が関係している。



あの袋には悪意を持った者を近寄らせない効果があったが、逆を言えば悪意を持っていない者が俺に警戒なく近付いてきてくれるということでもある。はず…



悪意を持った者を近寄らせない、なんて効果がない限り、自然で暮らしていると、どんな見た目であっても警戒はする。

そんな警戒心がなく純粋な気持ちで近寄ってきてくれたからこそ、ヴァンを除く魔物達とは出会えたのだ。






―▽▽▽―



ヴァンが加わり3日程経った日のこと。

ヴァンが加わったことで、街にいく予定が大幅に狂っていた。



ヴァンはかなり魔物フードを気に入ったらしく、毎日大量の獲物を狩ってくる為、俺はそれを捌くのに追われていたのだ。



だが3日経ち、魔物フードを作るのにはどうしても時間がかかることを理解してくれたようで、やっと時間に余裕が出来た。



そんな空いた時間に、ヴァンのトゲの特性とコロ炭を思い出した。



コロ炭は燃料にはなるが火力が上がらない。ヴァンのトゲは凄まじい勢いで燃える………組み合わせれば良い感じにならないだろうか。



完全な素人考えの思い付きだが、軽く実験してみる事にした。



まずはコロ炭を粉末状に細かく砕く。

そして混ざった瞬間爆発!なんていうことがあると怖いので少し離れてヴァンのトゲも同様の作業を行った。



ヴァンもあれからポコポコとトゲを落とすので、キリの実で作った器はすでにいっぱいになっていて量はあるのだが、かなり危険な物なのでトゲの半分を粉にして実験に使用する。



コロ炭はともかく、ヴァンのトゲも1日くらい放置するとすぐ乾燥し、簡単に粉に出来た。



それらを軽く混ぜ合わせるのだが、洞窟内で爆発でもしたら大惨事どころではなくなるため、頂上へと移動する。



風で粉が吹き飛んでも嫌なので、大きめの岩を退かし、その窪みを利用して実験してみる。

魔物達も興味があるのか、レッドとチョコとヴァンが見学している。



「ここに両方の粉を入れて……っと!……離れて魔法で着火しようかな」



離れて念の為チョコに乗せてもらい、魔法で作った小さな火の玉をゆっくり、慎重に窪みへと移動させる。



そして火の玉が混ざりあった粉に触れた瞬間。



ゴォオオオオオ____



窪みの直径と同じ幅の火柱が、今まで見た事も無いような凄まじい勢いで吹き上がる。



「やややや、ヤバい!!!」



人生で初めて言葉が震えた瞬間だ。



しかもその火柱は一瞬ではなく、かなりの時間吹き上がり続けている。

魔物達も驚いたのか、すぐに避難したようだ。



それから約10分くらい火柱が吹き上がり続けた。



実験に使用した粉を少なくして正解だった。

全部使ってたらと思うと、怖すぎる。



「はぁ…………想像以上だったわ…」



ヤバい物を作ってしまったのではないかと、両方の粉を混ぜ合わせた粉をマニュアルで見てみる。



―該当情報なし―



「へ?うそ?なんで?」



最低でも両方の粉を混ぜ合わせた物。くらいの情報は表示されると思っていたが、予想外の答えが帰ってきた。



「該当する情報がない………つまり過去に存在してなかったってこと?いや、なんかの拍子に調べるもの間違えたとか?」



そう思って再びマニュアルで確認する。



―名称不明の物質―

・とある人物により創り出された物質。

ラピスディロスの糞から不純物を取り除いた物と、リーペントが稀に落とすトゲをそれぞれ粉末状にして組み合わせた物。

凄まじい火力と高効率の燃料となる。



「……………えっと?………つまり、この世界で初めての物質が今出来たってことか?」



どうやら俺は思いがけず新たな物質を生み出したようだ。

読んで頂きありがとうございます。

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