56 砂漠の国のオアシスへ
2/28は休みを取りました。この作品ほぼモンスター出てきてませんが、私はハンターであり製品版で強化が確定している(歓喜)ランサーとして生きていきます。
「頭を一撃…焼けた跡があるので火属性の射撃魔法によるもの…でしょうか?」
「私が察知出来ない程の距離からか?しかも…森の中から撃ち込まれているにも関わらず、森には焼けた跡が無い…。」
思わず悪態を吐くが、事実は変わらない。
世界にはクラス11冒険者や、魔王…そして天使など、人智も人力も及ばない理解外の存在が居るのは確かだ。恐らくコレもそういう類いの力だろう。
幸いなのは、その力が少なくともこちらには向かなかったという事だ。地形としては【影潜】である私にとって好適とはいえ、それで勇者たちを完璧に守れるかと聞かれればさすがに即答しかねる問題だ。
「はぁ…ひとまず、単なるはぐれの飛竜だったのが救いでしたね…群れで来られていれば大変な事になっていましたから…。」
「全くだ。」
「ちょっと麗ちゃん!私も見たいんだけど!!」
「ののには刺激が強いからダメ。ステイしてなさい。」
「誰がやったのか判らねぇけどすげぇな。一撃かよ!」
野乃葉の後ろから手で目隠しをする麗と、謎にテンションが上がっている煉。まぁ簡単に言えば物珍しさで出てきたわけだ。ここに至るまでに何度かモンスターに襲われはしたが、額から角の生えた狼や、全身を堅い殻に覆われたカバなど、まぁ動物っぽい形状からはあまり逸脱していないような見た目のヤツしか居なかった。
ファンタジー知識は一般人程度しか無い3人ではあるが、全く無いわけでは無い。空飛ぶ蜥蜴と聞けば、ちょっと見てみたい!くらいの気持ちは出てくるだろう。
首から上が吹き飛んでいるので顔がどのような見た目だったのかは不明だが、貧弱な身体から見ると太めな脚の先には、孤月状に曲がった鉤爪の生えた指が3本。飛竜といえば!な翼はコウモリのような膜のある物で、先端には恐らく爪?が1本だけ生えている。
「頭が無ェとマジで鱗が生えてるだけのコウモリだなァ?」
「いや、翼だけで3か4mあるコウモリとかそっちのが怖いわ。」
「あ、まど姉!」
「ようよう、野乃葉元気〜?…何?そういうプレイ?」
「違うわよ。ののがこの凄惨な光景を見れないようにしてるだけ。」
麗の言葉を聞いた円香は首を傾げ、野乃葉の肩の上に乗る小さな毛玉に目を向ける…。
野乃葉のスキル《召喚士》は、魔力を消費してモンスターを召喚して使役するという能力だ。召喚出来るモンスターの能力も強さも様々だが、野乃葉は特にウサギ系統のモンスターの召喚に特化しているらしく、円香も何度か召喚されたウサギを眼にしているのだ。
さて、ここで野乃葉の肩に乗る小さな毛玉に話を戻そう。手のひらサイズのそれは、服の装飾のひとつにも見えなくも無いが、違和感はある。しかし麗は野乃葉の目を防ぐのに夢中でソレには気付いていない。
「……ま、いっか。」
と、面倒になった円香は諦めて飛竜の方に再び視線を向ける。
「んなこと出来んのは勇者サマぐれぇじゃ無ェか?」
「お、悠真じゃねえか。」
円香の脇から現れた悠真のいつもの軽口に対してその場で優輝の《勇者》としての力を知る一同は「確かに」という謎の納得をしかけるが…
「優輝は竜車から出てないし、竜車の窓からそんな離れ業披露してたら御者台の私が気付かないわけ無いでしょ…。」
「確かに…それで、肝心の優輝くんは?」
野乃葉の言葉に「ん」と円香が指差した先には、青い顔で竜車の外側に手を掛けて下を向く優輝の姿が…。
「何アレ、酔っ払いか何かなの?」
「んー、たまにパパがあんな顔色してるかも?」
「いや、ののは顔色見えないでしょ……? あ!!」
肩越しにチラリと見えた毛玉に気付き、麗は思わず声を上げその毛玉をがしっ……とはせず優しく掴む。だって召喚物とはいえ一応は生き物だし。そう、ソレは野乃葉が召喚した視界を共有するうさぎのモンスターであり、名称は良く判らないが、野乃葉は"ちびすけ"と呼んでいる物。
─きゅう?
「ッ……」
可愛い声でそんなふうに鳴かれてしまえば麗も何も言えなくなる。そんな意味の判らないやり取りをしている2人は放っておき、悠真たちの会話に視点を移そう。
「魔力欠乏による吐き気と、今の急停車のダブルパンチでグロッキってるわけだがよォ…アレが勇者で世界の希望ってなぁ笑えねえよなァ?」
「……あんたがまたなんか言ったんじゃ無いの?やめなよ、優輝もそんなにメンタル強いタイプじゃ無いんだから。」
「おめぇはアイツのオカンかよ。」
飛竜をハクラが発見し、指示を飛ばした時点で竜車や六脚霊馬の速度では追いつかれる距離だった。故に竜車を先行させて逃がすという判断では無く、竜車を停車させてその周囲で守りを固める事が最善となったわけだ。
まぁ、恐らくハクラの思考には"中に乗る者がある程度は戦える強者"だということも考慮されていたのだろうが、結果的には誰が手を下すまでも無い。飛竜は誰かも判らない何者かにワンパンされて地に落ちた。
「実際…獣の魔王だったかなんだったかを倒した"推定勇者サマ"もどっかに居るわけだろ?白だか黒だか知らねえが。あんな万全じゃ無ェヤツよりよっぽど信頼出来るンじゃねぇかよ?」
「それが去っちゃったから大変だー。って話じゃ無かったっけ?」
「そ、野乃葉の言う通り。」
2人の言葉に対して悠真は一瞬考えるような素振りをしてからため息を吐く…
「天使サマはその謎の存在についてわざわざ竜公国に突撃しに来るぐれェにはご執心だったが…いざ予言を聞いても、えらくあっさり引き下がったとは思わねぇか?深掘りも何もしねぇで、さっさと現地に向かっちまったわけだ。」
「─白い方の勇者サマを捜しに行ったってのも無くは無ェだろ?」
優輝には聞こえないように小さな声で、悠真は自分の考えを述べた。そもそも悠真は端から全てを疑うタイプの人間だ。仮面を被った天使の一挙一動も、疑いの目を持って見ていたが、やはり天使が勇者に対して"何かを期待"していることは無さそうということだ。
それは天使が自身の実力を信じている故か、或いは端から"北瀬優輝"という存在に期待してはいない故か。
「……まぁ、優輝にとってはそっちの方が幸せかもね。気持ちとかは度外視するとして…。」
「んー、私には判んない!」
優輝の事が気に入らない悠真ではあるが、結局のところ身近な人間が大怪我したり死んだりするのはさすがに嫌なのだ。王城が襲撃された時にも、少なくとも顔見知り程度ではある仲の人間が大勢死んだ。
精神を病んで城に引き籠もってるクラスメイトたちも居るが、それも仕方無いと思えるくらいには凄惨な現場だった。あの状況でこっち側の犠牲者がたった1人で済んだのも奇跡的なことだとは思う。
「白い勇者がマジであいつの代わりになんなら、それはそれで良いってのが俺の考えだがよ…。」
「ッちょっとのの!私を抜きに話を進めないでよ!」
「あ、麗ちゃん戻ってきたんだ。おかえり〜」
かわいいウサギによって思考をトリップさせていた麗が戻ってきた…が、何やら様子がおかしい。勝手に話を進めていた事に怒っている…というわけでも無さそうだ。
「ってよりも!のののちびすけ、絶対ただのウサギじゃ無いでしょ!!!」
麗はウサギのちびすけを野球ボール持ちで前に突き出し、長いふさ毛で隠れている目を顕にする。
「うわ…」「えぇ…」「あーあ」
そこには小動物らしいつぶらなひとみは無く、まるで人間のようなギョロッとした眼が3つ付いていた。完全にバケモノである。いや、そもそも召喚モンスターなのだからそりゃモンスターな見た目であっても不自然では無いのだが、パッと見だと愛玩動物にしか見えないという部分がたちが悪い。
「だめだよ麗ちゃん〜、真実はあんまり知らない方が良いんだよ。」
最序盤から味方サイドに居たのに凄い良いタイミングで裏切ってくるタイプのキャラのようでそうでは無いような判定が微妙な発言をしているが、実際この真実はその場の全員あんまり知りたくなかった方の真実だ。悠真でさえ若干引き気味で麗が野球ボール持ちしているソレを見ているのだからなかなかの衝撃なのだろう。
しかし、その場に居るべきハズの人間が1人見当たらない…
「ところでだが…煉のヤツァどこ行きやがったんだ?」
「あれ?ホントだ。」
「優輝…ちょっといいか?」
「煉…?構わないけど…珍しい、ね。」
未だ収まらない吐き気を堪えながらも煉を見る…。
たまに話す仲ではあるけれど、今日の煉の表情はかなり真剣だ。基本的に他のみんなと笑顔で話している姿を良く見るけど真剣な表情になると体格も相まってかなり怖い人に見えてしまう。
そんな煉が僕のすぐ近くの地面にどかりと座り、こっちを見ながら言葉を紡ぐ。
「……魔王について、お前はどう思ってるんだ?」
「……?」
「魔王を斃すって事についてだよ。どんな存在なのかも、何が目的なのかも判らない状況で、魔王を斃すって覚悟は…何が決め手になったのかと思ってよ。」
煉の言葉に、僕はすぐに言葉を出せない。魔力欠乏症状のせいなのか、それとも単に僕がそんな事も答えられないほど空っぽな存在だったのか…
「…優輝、お前が言ってたのはアルカナムでの惨状を見たからってことだったけどな…、あの…正彦の言葉も、その光景も、お前には無関係だろ?」
諭すように言葉を続ける煉の姿は、普段のような脳筋然としたものでは無い…。だから多分これは、煉が幼馴染という関係性である僕に対してする腹を割った話だ。
「昔からお前が責任感の強い性格なのは知ってるが…だとしてもコレは背負うモンが重すぎるだろ。……自覚があるのかは知らないけどな…お前─」
「─このまま進むほど、逃げられなくなるんだぞ。」
その言葉は、僕の身体に虫を捕らえる蜘蛛の糸のように絡みつく…。いや、もとより自覚はしていたソレを…目を背けていたソレを再認識したというだけだ。
アルカナムで開かれたあのお披露目会の時点で、僕が勇者である事は国内外に知れ渡った…。試すような、探るような無数の視線の中にも確かに"期待の眼差し"はあった。
世界に唯一…魔王を斃せるハズの存在。そのハズだったんだ。だけど…蓋を開ければどうだろうか?寝て醒めたような感覚しか無い間に、僕は僕の無力さを痛感させられた。何が勇者だ。何が魔王だ…
結局僕は……
「……悠真にも言われたんだ。何もしてない出来てないクセに、勇者だなんて何様だって。」
でも僕は…
「─関係無いわけ無いじゃないか。僕だって、あの城で過ごしたんだ。他人事じゃ無い。あの空間を守りたかった……。」
「でもさ…結果は煉も知ってる通りだよ。」
「あぁ、そうだな。」
守りたかった…守りたかったんだ。…僕は全てが終わった後にようやく目が覚めた。走り出そうとした時にはもう全部手遅れで、取り戻すことなんて出来なかった。
「……僕はこれ以上喪うのが怖いんだ。せめて手の届く範囲はって言葉があるけれど…僕はそれすら出来ない。だから、届くように手を伸ばしたい。」
「だから煉……これは僕の1歩目なんだ。勇者としてじゃない。僕自身がしたいこと。」
いつの間にか、優輝の顔色は元に戻っている。
故に、煉もこれ以上何かを言うつもりは無い…結局のところは何をするか決めるのは優輝であり、煉はそれを止めることなど出来ない。
「僕が、魔王を斃す。それが…どれだけ厳しいことだとしても。」
物語では美談であり、称賛され、そして心を打つその言葉。
故に煉は思わずため息を吐いた。自分の言葉の意味を理解出来ていない優輝に対して…。
人の気配の一切無い…廃墟と化した寒村へと純白の翼が降り立つ。銀の仮面の下に隠れ、表情を伺うことは出来ないものの、僅かな苛立ちが見て取れる…。
自らが封印した魔王の復活…それはこの村の崩壊と=だ。そんな村の崩壊を感知するために発動させていたドーム状の魔法は、今やボロボロに崩れ去り、見る影もない。
「対策はしていました…が〈遅延魔法〉を発動されてしまえば魔法的観測は遅れが出てしまいますね…。」
わざわざ魔法を乗っ取り、その上で魔法を書き換える…。
少なくともあの魔王はその程度の事はやったという事だろう。問題なのは…【罪の魔王】のその能力が未だ判らないということだ。
シセラフは一つの民家の扉を開く。
開いた途端に崩れて倒れる程にボロボロな扉の奥に隠されていたのは、嫌な光景だ…。渇いた血がドス黒く変色し、家の奥へ奥へと続いている。まず死体がひとつ。乾ききったソレは、既に身体を貪り食われ殆ど骨しか残ってはいないが、少なくともあの偽竜の巨体によって殺されたわけでは無い事は判る。
更に奥へ奥へと進んでいけば、最期に行き着くのはまさに魔王を封じた場所。
仄暗かったハズの地下室ではあるが、今や屋根も無い吹き抜けであり、今や渇いた凄惨な現場を煌々と照らしている。そこに有るのは磔にされた少女の骸。
周囲の死体と殆ど変わりは無いが、長く生きてきた天使の眼には腐敗度合いの違いからそれが"最期に殺された骸"だと判る。
「アレの話を鵜呑みにするのであれば…魔王の封印を解いているのは私を釘付けにして動きを制限するため……。」
明確な目的があり、行動している事は判っている。
しかしその目的が判らない…、現れた国はアルカナムとベスティア…それだけを考えればあれらの確保を目的としているようにも思える。
「阻止はしたいですが…」
現在に至るまで、全てに於いて後手に回っている以上【罪の魔王】の行動を予測することは難しい。ベスティアでの邂逅以来動きが無く、完全に身を潜められてしまっている。
「東の国か…フランメか……或いは別の場所か………」
少なくとも、今はどうしようも無い。既にシセラフの頭にあるのは別の考えごとだ。
「……下らない蛮勇を持つ勇者は、何もしない者よりたちが悪い…。」
思い返すのはかつての勇者たち…。
魔王にさえ会うこと無く死んだ者、蛮勇だけを叫ぶ臆病者、無論優秀な者も居はしたが、そういう者は早々に退場するものだ。出る杭は打たれる、目立ち過ぎれば敵は増える…。
「ですが…白はまた違うようですね。」
勇者の力は唯一であり、コピーが不可能なのは理解している。だが、それを覆すような現象が起きてしまった。
早急に『白』を発見しなければ…いずれ大きな問題が起きかねない。
「勇者の力は…ひとつで良い。」
地竜と一口に言っても、種類は様々だ。
広く一般的な竜車を引く地竜たる二脚地竜は、文字通り後ろ2本の脚のみを地に着けて走る種であり、地に着ける脚は太く、その分身体はかなり細身である。馬などよりもよほど速く走ることが可能であり、価格も安価であるため広く普及したわけだが、残念な事に"竜"の名を冠しながらもその実力は大した事は無い。
故に多少金に余裕のある者はより力のある四脚地竜を選ぶのだ。こちらは二脚地竜と比較してその速度こそ劣るものの、持久力は高く、二脚地竜よりはより長く走る事が出来る。更には自衛力が高く、戦闘能力はかなりのものだ。
とはいえだ…これら2種は硬い地面を進むのに優秀ではあるが、柔らかい砂地では数歩と持たず沈んでしまうだろう。踏みしめようにも力は込めることは出来ず、そもそも灼熱の暑さに耐えられない。
「すごいねぇこの子達は。岩地も、砂地も関係なく走ってるよ。」
「混種の中でも、偽竜種同士を掛け合わせた特異種ですから。アルカナムでも13匹しか保有していない程には飼育が難しいんですけどね。」
そんな説明を共に御者台に乗る円香と同じく《使役》のスキルを持つ女性から聞きつつ、「あれ?そういえばここに何匹居る?」と思わず数えてしまいそうになったが、自分たちの為にとんでもないものを放出したと考えると恐ろしくなってきたのでやめておく。
ようやく砂漠入りした勇者たちを待っていたのはとんでもない直射日光による灼熱の暑さ…ってわけでも無い。結局はこの竜車自体が超々高級品の魔法道具。つまり、竜車周囲の気温は常に一定に保たれ、砂地特有の砂嵐すら馬車を包む特殊な膜を越えることは出来ない。
とはいえ御者台唯一の楽しみであったハズの景色の移り変わりは一切無く、地面に耳を着ける勢いの視点から公園の砂場を見てるのと変わらない光景がずーっと続いている。
たまに遠くの方で見える毛むくじゃらで足の短いクマみたいなモンスターは、基本的に臆病な性格らしく、こちらを見つけても遠巻きに見ているか寝ているかしか無い。まぁ襲ってこられた方が明らかに困るので何も言わないけども。
「円香様!フォレスティア観測出来ました。まもなく見えて来ます!」
先行していた騎士の1人がわざわざ竜車の近くまで来て大声で叫ぶ。風の音すら殆ど聞こえないほど静かな竜車ではあるものの、車輪の音や六脚霊馬の足音はやはり響くもので、走りながらではそこそこ大きな声を出さないとダメなわけだ。
「はいよ、ありがとね。…見えてきたら中の男どもにも教えてやりますか。」
竜車の中からは一切音が聞こえない。
確かに音が漏れないような構造はしているらしいが、それにしたって静かが過ぎる。チラリと窓から中を覗けば判るが、互いに互いを一切見ないように左右の景色を眺めている。窓越しの景色より更に良い景色を見ている円香自身すら景色を見るのなんて疾うの昔に飽いているのに、中の2人はまだ景色が楽しいらしい。
まぁ確かによほどの仲でも無い限り長時間二人きりで話し続けられるわけも無い。『某夢の国デートはやめとけ』と言う都市伝説があるが、待ち時間が長いとだんだん話すことも無くなり、気まずくなってしまうのだ。
「まぁ、私も別にデートしたことあるわけじゃ無いけど。」
基本的に1人で楽しむタイプであり、クラスメイトに見せたことの無いはっちゃけ具合で定期的に某夢の国で遊ぶものの、もちろんこっちの世界に某夢の国は無く、某夢の国のキャラクターたちを観る機会も無い。
せめてこの世界のモンスターがゆるいファンタジー世界観の可愛らしい見た目なら良かったが、現実は誰が考えたんだよとツッコミたくなるようなリアルよりリアルなキモグロモンスターばかり…。
「……癒しが…癒しが無い。」
「あ、円香様!見えましたよ、フォレスティアが!」
暇過ぎてとてつもなく無駄なことを考えていた円香の思考がその一言で塗り変わる!どこだどこだと御者の女性騎士が指差す先を見ると……
「おぉ〜……お?」
事前に水の都みたいな話は聞いていたけれど…なんか想像と違う。水の都といえば例えばだけどヴェネツィアみたいに都市内に巨大な水路が通っていてそれそのものが景観を形作ってて、そこにレンガ造りのなんともいい感じの建物が並んでいるイメージ。
「あれ?」
隣から聞こえたその声で、あ、私の反応間違ってないんだ。と思える…だってそこにあったのは…とんでもないくらい広大な水浸しの大地の上にぽつんと立つファンタジーにありがちな壁に囲まれた都市だったのだ。
"ちびすけ"の見た目はメカクレアンゴラウサギであり、正式名称は『スモールゲイザー・ラビット』基本的に100匹前後の群れで生活し、危険を感じると全員で集まって自分を巨大に見せて威嚇する。
視界共有は野乃葉のスキルなのでうさぎの能力は関係無い。




