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44 誰も悪くない話。

強いて言うなら作者が悪い

ストーリーがほぼ進んでません。おふざけメイン過ぎてやばい。

ロマンはとても重要なのだ。

DPS度外視の一撃必殺特化みたいな技は大好きだし、見た目からは想像も出来ない高火力を連発する美少女キャラも最高だ。故に、普段大人しいハズのメイドさんが脚ベルトに仕込んだ毒ナイフを振るったり、スカートから大量の銃火器出してきたり、スカートの下は良く見たら異種族だったり、スカートの下からetc……


厚みのあるロングスカートにはロマンが詰まってると思うのですよ、俺は。見えないからこそのロマン。だからこそ、俺はこのメイド服を肯定する。仕掛けとしては最高だ。

簡単に言えば腰に付いた紐を緩めると、スカート内側にあるポケットが展開されて、何でもかんでもが大放出される。あれだよあれ。スカートから爆弾落として来るタイプの強キャラだよ!


「なんですコレ、何に使うんですか?」


「使い切りの魔法道具(マジックアイテム)を放出したり、普通にポケットとして温石(カイロ)を入れて冬場に温まったりかしら。我ながら最高の出来栄えよ!」


「使い切り魔法道具(マジックアイテム)の放出…、いやどれだけお金掛かると思ってるんですか!」


「凄いロマンだ。さすが職人!ロマンしか考えてない!」


使い切り魔法道具(マジックアイテム)って言ったら安いと思うじゃん?そんなわけ無いだろ、生活用ならまだしも、攻撃用ともなるとその金額はとてつもないくらい上昇する。このスカートポケットに全部仕込むとしたらたぶん高位の貴族でもそうそう出せないくらいの額になる。


「買うか…?いや…さすがに放出はキツい………」


「いや、南様冷静になって下さい!無駄使いですよコレ絶対!」


ウルナの言葉は正直に言うとあんまり頭に入ってない。だって俺の頭にはロマンの三文字しか無いんだもん。


「どうなのよ?あなたにとっても似合うと思うかしら。」


「じゃあ要らないな。」「「えっ!?」」


さっきまでの食い付きから一転した俺の言葉に幼女どころかウルナすらも動揺する。とはいえこれは完全に俺の考え方の問題。

違うんだよなぁ…俺が着たいわけじゃ無いし、俺が着たらコスプレになっちゃうんだよなぁ…。あくまでも、本物のメイドさんが着ないとメイド服の意味が無い!


「おい幼女、俺が着る服(解釈違い)は要らないんだよ、ウルナが着る分を出してくれ。」


「そのちっこい娘っ子のことかしら?…うーん、ちょっと待つといいわ。」


「……ちっこい…、」


ウルナがわりとショックを受けてるけど、ちっこい娘にちっこい娘と言われたくらいで何が悪い!安心しろウルナ、お前は唯一無二のちっこさを持ってる!包帯ぐるぐる巻きのちっこいメイドかつ高位貴族の娘かつデカい化け物使役してるなんていうキャラの盛り方はウルナだけだ!


「んー、あたしが自分用として作った服なら入るかしら?」


…体型ほぼ一緒だし入るんじゃね?


「これなんてどうなのよ!」


「んー、これならまぁ。」


ウルナが納得しそうになっているが、まぁよくよく見るとちょっとスカートの丈が短いようにも思える。いや、これまでの服を見るとだいぶマシなんだけどさ!

これアレだろドア・イン・ザ・フェイスとかいう先にデカい要望出して小さい要望通すっていう交渉手段の常套句じゃねえか!!いや、ウルナは一応貴族子女だ…交渉事は上手いハズ……






「うん、これでピッタリなのよ。直しは全部終わりかしら、あなた達良い買い物したと思うのよ、職人のあたしもホクホクかしら。」


ウルナにサイズを合わせるために宿の部屋に幼女と一緒に戻り、金を払った。金を………、

いや、良い買い物したわ。高級生地を惜しげも無く使ってる服たち。これは決して無駄な買い物じゃ無いから。どっちにしろ服買わなきゃなんだし、安物すぐ壊すより高いの買って長く使おうぜ。


「また何処かで会ったらよろしくかしら。あたしの名前はラティナなのよ。」


「…俺は南だ。まぁ、腕は良いし、また………会ったら…、な。」


あとは懐の問題。

合法ロリ服飾職人のラティナ…、わりともう会わないことを願いたい。いや、金があるときなら別に良いんだけど。

スキップでもしそうなくらいの笑顔で去っていくラティナを見送り、俺に突き刺さるのは斜め下辺りからの鋭い視線。さて、なんだろーなー。


「あの、改めて言いますけど…、南様が着るんですか?」


「着ないよ。」


ウルナの手にあるのはわりと普通のメイド服。

対する俺の腕の中には俺の(男の)ロマンが詰まっている。誰が着るんだよというツッコミは置いておこう。フィギュア感覚で欲しくなっちゃったんだもん。仕方ないじゃん。


「…、アルカナムに戻る気本当にありますか?」


「あるよ。でももうちょっと遊びたい気持ちもある。」


コレが本音である。クラスメイト達に今のはっちゃけがバレるとわりとマジで冷たい目を向けられそう。特に野乃葉とかに向けられたら俺は死ぬ。普段とのギャップでレーザービームどころじゃ無い火力を持ってると確信出来る。


「とりあえず服は《圧縮(リダクション)》しとくか。ウルナも貸して。」


「…はい。」


俺が手を触れるだけで服は全部指先くらいの大きさに変わる。でも重さは変わんないから、俺の腕の中にはかなりの重さがのしかかってる。

ウルナに持たせるわけにもいかないので、宿の部屋の隅に置いた大きめのボストンバッグにぽいっと入れておく。たたむという行為は知らぬ。なにせシワが出来ても《錬成(アルケミー)》で一瞬で直せるからね。


「とりあえず、明日出発だけど……まだ遠いな……。」


聖王国経由でアルカナム王国を目指しているが、聖王国まで丸々2週間、途中で宿屋で休んだりとか買い物したりを考えるともっと掛かるのは確実として、聖王国からアルカナムまでは更に1ヶ月。極力お金の掛からないルートで向かうとしたら1.5ヶ月。馬鹿かよ。


「どっかで奇跡起こらない限りはそうそう帰れないな。」


「なのでお金は節約して下さい。」


それは無理かも。



















玉座の間にて異形の側近たちと不敵な笑みを浮かべるのが魔王だとすれば、誰も近寄らない洞窟の奥深くで無数の金銀財宝と、それを狙う愚か者の屍で築いた山の上で眠るのがドラゴンだ。

では、そんな竜が政を成す竜公国ではどのような存在となるのか、正直に言えば巨体たる竜がペンを持ち、メガネを掛け、小さな小さな紙切れ一つ一つを確認しながらサインをしていくようなシュールな光景を想像していたが、そんな事も無い。


竜は竜であり、ソレ以上でも以下でも無い。


恐る恐るといった様子で中空の孔の中に入った僕達が見た光景は、至って普通の都市だった。アルカナムの王都ステリアと違う部分を挙げるとすれば、大通りつまり道路が広いこと、整備された広い公園のような物がいくつも点在していること、高い建造物がほとんど見られないこと、そして……


「……鳥籠みてぇだなァ…、」


遥か空の上を見上げた悠真が、誰にでも無く呟く。

ソレに釣られて見上げてみれば、それは確かに"鳥籠"という言葉に相応しい様相だった。都市の中心点の直上、半球型に都市全域を包み込むソレは、無数の小円によって形作られており、黄金に輝く光を纏った神聖さとは対極的に、鳥籠、或いは牢獄のような異様な雰囲気を漂わせていた。

しかし、都市住民の表情は一様に明るい物であり、誰も彼もが手を合わせ、僕達と一緒に歩いている赤い竜に対して祈りを捧げていた。


なにこれと言いたくなるような状況ではあるが、そもそも転移で直に王宮に繋げられるわけも無い。一応優輝たちは他国の要人であり『招かれた』という体を取っているのだ。

裏口から入ろうものならたとえ何も無かったとしても国内からも、もちろん他国からも秘密があるという事を突かれる。非常に面倒であり、そのへんの意図を理解しているのは悠真くらいな物だろう。


そして、その悠真はあることに気付く…、


「…、だーれも勇者様をありがたがってねェな…?」


そうなのだ。少なくともこれまでは、どの都市に向かおうとも物珍しさなのか憧れなのか、『勇者』という存在について何かしらのアクションがあった。しかしこの都市に入ってから、誰も優輝たちに視線を送る者など居ない。居たとしても、すぐに視線は赤き竜へと吸い込まれていく…。


「まァ…宗教国家でカミサマ実在してりゃ、そっちに負けるか…。」


悠真の言葉が聞こえたのかは不明だが、赤い竜が僕らへと振り向き、口を開いた。


『ひとまず、汝らには我ら兄弟に会ってもらう、急いでいるとはいえ、国主への挨拶を行う程度の時間はあるだろう?』


『その後、"竜塚"……つまるところワタシたちの同族たる竜の墓場へと向かおう…汝が望む"試練"という物はソコにあるハズ故、な。』


僕は「竜塚」という言葉を口の中でだけ転がし、どのような場所なのかを想像する…、頭にあるのは寂れ、廃れ、無数の骨が積み上がった荒野。

そこにある試練……。


そんなことを妄想している内に、視界の端に映っていた皆の足が止まっている事に気付き…、


「ちょっ」「わぶ!」


深い思考に耽っていた故にそれでも止まらなかった足は先へと進み、赤い竜の太い脚へと顔面からぶつかった。硬く冷たい感触を顔面で味わいつつ、真っ先に働いた思考は、微動だにもしなかった竜の身体である。


「何やってんのあんた、馬鹿?」


『ふむ、何かあったか?』


円香から切れ味が鋭すぎる指摘を貰ったが、それに関しては100%僕が悪いから何も言えない。

竜から何か反応でもあるかと思ったが、一切気にしていない、或いは気付きもしていない様子…固く堅牢な城塞へと人の身で槍を一突きしたところでたかが知れているというのと同じ、硬く厚い鎧を纏った存在へと頭突きしてもこっちが痛いだけである。特に表面がゴツゴツしてる分凄く痛い。


「いえ…なんでも」『?鼻血が出ているぞ……ワタシの身体を見て何か妄想でもしたの─「違います!」


危うくとんでもない変態にされるところだった優輝が大きな声で否定し、ソレについて悠真や他の面々まで苦笑いを浮かべる…


『そうか…、いやなにかつて勇者に求婚された事があった故な、勇者とはそういう"癖"を持っているものかと……』


その勇者についてもどうかと思うけど…、この赤竜に対して、勇者の認識を改めるためによく話し合う必要が……


「前の勇者を…知ってるんですか?」


『?無論であろう。ワタシたち竜がどれだけの時を生きると思っている。異形のワタシに求婚する以上のとてつもない愚者も大勢知っているとも。』


ソレについてはさすがに聞きたくないな……

私の中で、異世界に獣耳やらの種族が居る理由は、転生者やら召喚者やらがそういう種族の原種に手を出しまくったせいと思ってる。

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