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景色を眺めて

 それから万理奈と回りに回りまくって。


 万理奈と僕は、園内で一番高いところにある、アスレチックコーナーの上から景色を眺めていた。


 オランウータンのアスレチックショーがあった時はここに人がたくさんいたけど、今は誰もいない。


「万理奈ってさ、どうして最近勉強頑張ってるの?」


 僕は訊いてみた。気になり続けていたのに、ずっと一緒だった幼馴染の万理奈に、訊けないでいたこと。


「そうね、それやっぱりちゃんと話したほうがいいかな」


 万理奈はそう言って、話し始めた。


 話を聞き終わった僕は言った。


「まじかよ。そういうことだったの?」


「うん。ていうか、他に私が勉強頑張る理由、ないし」


「あー、そうか」


「ていうかさ、逆になんでだと思ってたの恒成は」


「なんでって……まああのイケメン家庭教師のことが好きになったとか……?」


「あははっ、え? なるわけないじゃん。だって、私、恒成が好きなんだし」


「ありがと……」


「そういう恒成は、花連さんのこと、どう思ってるの?」


「どうって、面白いし頼れるなあって思ってるよ」


「あんな美人なのにそれだけ?」


「まあ美人だとは思うけどさ、僕が好きなのは、万理奈だから、それは変わらない」


「嬉しいなあ」


 両想いであることを再び確認しただけ。


 それはそうなんだけど、すごくそれが、嬉しかった。


「ねえ、恒成さ、さっきも言ったんだけどね、私恒成が目指してる大学、頑張って目指すから」


「それは嬉しいんだけど……大学はちゃんと考えて選んだ方がいいよ」


「妙なところで真面目だなあ。ちゃんと行きたい学部があることも確認したって」


 万理奈は笑いながら、遠くを眺めた。


「小学校の時遠足できたよなここ」


「そうだね、恒成も覚えたんだ。私もちゃんと覚えてる」


 あの時は手を繋ぐこともためらわず、いつまで一緒に未来へと歩めるかも考えず、ただ一緒に動物園という、少し非日常の場ではしゃいでいただけだった。


 でも、今はお互い進路のこととか、勉強のこととか、部活のこととか、色々考えることが多すぎる。


 それでも、この動物園で一番高いところから景色を眺めている今は、脳内の百パーセントを、万理奈のことを考えるためだけに費やしたいと思った。


 やっぱり万理奈は僕の幼馴染で、頑張り屋で、明るくて、僕はたくさんの思い出とともに、万理奈の魅力にずっと寄り添われた。


 だから思う。


 たしかに忙しいから時間を有効に使いたいし、勉強もがんばんなきゃいけないけど。


「万理奈。これからはさ、たまに一緒に勉強したり、遊んだりしようよ」


 僕はそう誘った。まるで、小学生の誘いみたいだ。宿題やってから遊ぼうぜみたいな。


 でも、そんな当たり前のことを、ずっと一緒にやっていくような関係でいたいから。


 僕は直接的に、隠さずにそう言ったのだ。


 その僕の言葉に、万理奈は、うなずいた。


 いつの間にか大人びていて、みていると全ての意識がほわほわするけど。


 笑顔が万理奈にしかない可愛さなのは、やっぱり遠足の時と、変わらなかった。


お読みいただき本当にありがとうございました。

もしよろしければ評価などをいただけたら嬉しいです。

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