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 今日は決戦がある。

 イベントの少し前に仲良くなった、ゼノという一般プレイヤーが教えてくれた。


 事の始まりは、俺達が積極的にβNPCの保護に乗り出したことだろう。

 活動の内容はいくつかある。


 一般プレイヤーは見かけたら倒す。

 今まで戦闘が出来ず、レベルも戦闘力が低い人達を鍛えて放流する。

 それでも戦闘が出来ない、したくない人は学校で保護して、タマのサポートでノルマを達成させる。


 その中でもタマによるノルマクリアが、一般プレイヤー達の話題になったらしい。

 その辺りは詳しく聞いていない。

 タマに一任してたから把握してるわけじゃないが、手加減術でHPを1にして、状態異常で自由を奪うくらいしか方法も思いつかない。

 大した騒ぎじゃないだろう。


 と思ったんだが、一般プレイヤー的にはそうじゃなかったようだ。

 彼らは色々と調べ上げ、タマがこの村に住んでいることを特定した。

 そして我らが≪モジャモジャ大学校≫をβNPCが多数集まっている拠点として認識したわけだ。


 そうなれば、討伐するという声があがるまでに時間はかからなかったそうだ。

 今日の午前8時頃に奴らは攻めてくる。


 朝早くに元気だなと思ったが、現実世界だと平日の22時らしい。

 普通によくある時間帯だった。 


 今日俺はここで、一般プレイヤー達を迎え撃つ。

 負けることはないと思うが、万が一を考えてβNPCは戦闘に参加させるつもりはない。

 それに関しては俺に秘策がある。

 いざという時にはタマが暴れればどうにかなるだろうけど、それは今回なるべく頼らないで済ましたいからな。


「それじゃあ伊達さん、手筈通りお願いします」

「おう、任せとけ」


 打ち合わせを済ませ、作戦司令室へと移動する。

 そこには既に、タマ、ミルキー、葵が待機していた。


「待たせちゃったかな」

「いえ、大丈夫ですよ。打ち合わせはどうでした?」

「うん、ばっちりだよ。そっちはどう?」

「こちらも予定通り進んでますね。βNPCの皆さんには、室内訓練場にて待機してもらっています」

「了解、ありがとう」


 今日はお祭り騒ぎということで、知り合いに声をかけてもらって沢山のβNPC達を呼んでいる。

 さっき説明したが、戦力として来てもらったわけではない。

 メインは特にノルマがつらくなってきた人達だ。

 せっかく沢山の一般プレイヤーが来るんだから、利用しないのは勿体無い。


 いい機会だし、そのまま滞在してもらえれば鍛えることが出来る。

 そうしたら一石二鳥でいいこと尽くめの筈だ。


 そうこうしてる内に、8時になった。

 今頃、村の入り口から一般プレイヤー達が雪崩れ込んで来てる筈だ。

 参加人数が大規模になりそうで、待ち合わせ場所は村の前のフィールドなんだそうだ。


 これも、ゼノから教えてもらった情報だ。

 一般プレイヤーに仲の良い友達がいて、本当に助かった。

 後でしっかりとお礼をしないといけないな。


 さて、そろそろ先頭がこっちに到着する頃だ。

 作戦司令室はその名の通り、作戦を考えたり指令を出す作戦司令の部屋だ。


 入ってすぐに大きなテーブルが置いてあり、正面の壁には大きなモニターが三つと、両側の壁にも二つずつ設置してある。

 カメラさえ設置すれば学校の好きな場所を映すことが出来る為、戦場にいなくても状況が把握出来る優れものだ。

 今は、校庭が色々な位置と角度で映し出されている。


「それじゃあタマ、現場の指揮は任せたぞ」

「あいあい!」


 隣にいるタマに声を掛けると、元気な返事をくれた。

 それとシンクロするように、モニターに映るタマも元気よく両手を上げている。


 今回の戦闘は俺達βNPCは参加しない。

 しかしそうすると、現場を指揮出来る人が誰もいなくなってしまう。


 その為、タマの分身体にお願いした訳だ。

 オリジナルタマと意思の共有が出来るから、俺達の指示も即座に伝わる上に、戦闘力も高い。

 完璧な布陣だ。


 ちなみに、このタマには今回の戦闘の指揮官ということで、他のタマ達よりも豪華な鎧を用意した。

 その名も≪聖少女の鎧―模倣(レプリカ)―≫。

 タケダに作ってもらった鎧を真似して俺が作ったものだ。

 似てはいるが、細かい造形の部分がまだまだ荒い。

 イベントが終わったら弟子入りするのもいいかもしれないな。



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