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 資材が集まった。

 間取りも決まった。

 ここまで来たらもう建築まで行ける。


 というわけでストーレの冒険者ギルド経由でボルドへ連絡を取った。

 今回は連絡から三十分程で我が家へ来てくれた。

 かなり急いでくれたっぽい。

 話が早くて助かる。


 今回は家に上がってもらって、皆で決めた間取りを説明する。

 そこにボルドからの提案や修正を入れていく。

 更には昨日思いつかなかった意見を追加して、最終案が完成した。


 早速、俺とタマとボルドの三人で建設予定地へ向かう。


「いやはや、あれだけの資材をこんな短期間でご用意されるとは思っておりませんでした」

「ウチのタマが頑張ってくれまして」

「タマ頑張ったよー!」

「よしよし、偉いぞ」

「やったー!」


 俺もまさかこんなに上手くいくとは思ってなかった。

 それもこれもタマのお陰だ。

 撫でてやると、嬉しそうに飛び跳ねていた。


 ミルキーが確保してくれた土地へとやってきた。

 今は何も無い更地だ。

 ここに校舎が建つと思うと、嬉しくなってくる。


「それでは最終確認を致しますので、少々お待ちください」

「はい」


 間取り図と実際の土地を見比べて、最終的な見積もりを出すようだ。

 前回のは間取りも確定していなかった仮のものだからな。


 ボルドは色々と計算をしている。

 一人でするのは大変じゃないんだろうか。

 ゲームの世界だからその辺りは簡略化されているのかもしれない。


 五分程経って、計算が終わったようだ。

 図面から顔を上げたボルドはいい笑顔を浮かべている。


「計算が終了しました。それでは、こちらがお見積もりになります」

「ありがとうございます」


 差し出された紙を受け取る。

 そこには、金額と必要な資材が書かれていた。

 要望を追加で盛った結果値段が全体的に増えているが、支障はない。


 お金も資材も億で用意してるから、多少の変動は誤差に見える。

 沢山用意しておいて良かった。


 ボルドは笑顔のままこちらを見ている。

 俺の返答を待ってるようだ。


「確認しました。問題ないです」

「ありがとうございます。それではさっそく人員を呼びまして、作業に入りたいと思います」

「よろしくお願いします」

「お任せください。立派なものを建てて見せます」


 ボルドは最後に深く頭を下げて、去って行った。

 なんと、明日には完成するらしい。

 流石ゲーム。便利だ。


 俺とタマは帰宅して、次の準備を進めることにした。

 校舎が完成しても、学校としては完成していないからな。


 タマと一緒に、各地を飛び回った。


 そして翌日!


 日課の畑仕事を終えて朝食を食べた俺達は、校舎を見に行くことにした。

 勿論、家族全員でだ。

 一般プレイヤーの姿もチラホラ見えるが、もう気にしないことにしている。

 少なくとも、村の中では危険は無いからな。


 思い思いに会話をしながら歩く皆は、どこか楽しそうだ。

 きっと、校舎の完成を期待してくれてるんだろう。


 そうして、村の一番奥へ到着した。

 そこには、立派な学校が出来ていた。


「実物を見るとすごいな……」

「すごーい!」

「かっこいい……!」


 タマと葵のテンションがすごい上がっている。


 うん、気持ちは分かる。

 俺もここまでのものが出来るなんて思ってなかったよ。

 作戦司令室なんて作ってしまったけど、本当に何かの基地みたいだ。 


 まず、新しく購入した土地は昨日まではただの更地だった。

 茶色い土を少し踏み固めただけの、むき出しの地面だ。


 それが今は、まるで境界のように黄色っぽい地面に変わっている。

 いつか見た、学校のグラウンドにそっくりだ。


 そんな土地の左奥の方に、立派な建物がそびえている。

 三階建ての校舎はやっぱりでかいな。

 

「ほんとに一日で出来るんですね。凄いと言うか、不思議な感じです」

「すごい世界だよね」


 ぼうっと眺めていたミルキーが、ようやくと言った感じで呟いた。

 全面的に同意しておく。

 ゲームの世界で建築するのに数か月かかるようじゃ、不便過ぎるからな。

 リアルならいいってものでもないんだろう。


 続いて中へ。

 一階から順に、各部屋を覗いていく。

 どこもしっかりと作ってあって、時代設定の割に建築技術が高い。


 これもゲーム補正なんだろう。

 農村の村にも普通に水道とかお風呂とかあるからな。

 その辺りは気にしたら負けだ。


 ちなみに、一階には大浴場を追加した。

 男女別で同時に二十人ずつくらい入れる。

 脱衣所を抜けて中に入ると自動的に湯あみ着というか、タオル一枚になる仕様だ。

 

 この世界で汗を流したり身体を洗う必要はないが、趣味の一環として入ることは出来る。

 俺も皆も、毎日自宅のお風呂に入ってる。

 だから必要だろうと言う事で、追加された感じだ。


 ワイワイガヤガヤ、楽しく見て周る。

 学校に通うって、こんな感じだったんだろうか。

 気付けば作る方になってしまった。


 色々なものを飛び越してる気がするけど、今更だな。

 せっかくの第二の人生だ。好きなように思い切りやるぞ!


 一通り見て周った後、食堂で休憩することにした。

 俺の隣に座ったミゼルが、興奮したような、楽しげな笑顔を向けてくれる。


「これがナガマサ様の学校……素晴らしいですわ」

「俺の、というよりは皆のかな。皆がいてくれてるお陰で作れたと思ってるから」

「ふふ、そうですわね」


 ミゼルの笑顔が更に明るくなった。眩しい。

 

『流石はご主人様、良い事言うのう』

「そうからかわれると恥ずかしいな」

『本心じゃよ』


 金剛もからかうような笑顔を浮かべている。

 他の皆も、笑顔だ。


 この笑顔を守る為なら、なんだって出来そうな気がする。


 学校は他のβNPCの人達の力になる為に作った。

 でも、それだけって訳でもない。

 これは俺の家族や、友達を助ける為にもなる筈だ。


「それじゃあ皆、ちょっと紹介したい人達がいるんだけど、少し待っててもらってもいい?」



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