幕間
「やっほー」
「あれ、モグラさん」
「モゲラだー!」
能天気そうな顔を発見して、声を掛けた。
彼は不思議そうな顔をしている。
それもそうだろう。ここには、個人的な用事ではあまり来たことが無い。
「一体どうしたんですか?」
「ナガマサさん、メッセージくれてたでしょ? 何か、して欲しい事はないかって。あれの返事をしようかと思ってね」
「それでわざわざ来てくれたんですか? メッセージで充分だったのに、ありがとうございます」
人畜無害そうな笑顔だ。
これで、数値的にはえぐいことになってるんだから面白い。
「それでオレからのリクエストなんだけどさ、ナガマサさんのスキルリスト見せてもらえない?」
「俺のスキル、ですか?」
「そうそう。どんなことになってるのか前から気になっててさ」
「そんなことで良ければいくらでもどうぞ」
「ありがとねー」
ウインドウを飛ばしてもらって、確認する。
なるほど、そこにはオレの期待通りのスキルがあった。流石ナガマサさん。
「ありがとう、面白いものが見れたよ」
「もういいんですか?」
「うん、お腹いっぱいだよ」
「タマもお腹一杯になりたい!」
「タマちゃんにはこれをあげよう!」
「やったー! ありがむしゃむしゃ!」
希望は確かにある。
後は、待つだけだ。
「そうだナガマサさん、一つ聞いてもいいかな?」
「なんですか?」
「今の生活はどう? 満喫出来てる?」
「はい、出来てますよ」
彼はほぼノータイムで返してくれた。
今の反応を見るに、心の底からそう思っているんだろう。
実際、楽しんでいるのは見ていればよく分かる。
「そっか。それじゃあ、またね」
「はい、それでは」
「まったねー!」
本心で言えば、いつまでもそのままで居て欲しくはある。
でも、オレの目的の為には、その気持ちが失われることを願わざるを得ない。
そんな考えを出さないようにいつもの笑みを貼り付けて、バーリルの村を後にした。
まずは、目の前のイベントで生き残ることを考えよう。




