表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

301/407

プロローグ

お待たせしました!

新章開幕です!


 目の前の箱を開ける。

 待ちに待ったこの瞬間が来た。


 小さな箱の中には、更に小さな、ソフト。

 小さな見た目とは裏腹に、広大な世界へ俺を誘ってくれる、夢の世界への切符。

 そう、ゲームソフトだ!


「念願のVRゲームを手に入れたぞ!!!」


 どれだけ、どれだけこの時を待ち望んだことか。

 タイトルは≪カスタムパートナーオンライン≫。

 ある意味伝説のゲームだ。


 それには、悲しい理由がある。

 これは、俺が中学生くらいの時に作られたゲームだ。

 当時から既にVRゲームにハマっていた俺は、発売を待っていた。


 それまでのVRゲームが紙芝居に思える程の、圧倒的クオリティ。

 これを遊ぶためだけに俺はこの時代に生まれてきたんだと、そう思い込んでしまう程にすごかった。


 しかし、突然会社が倒産した。

 色々理由はあったと思うが、もう忘れてしまった。

 ゲームも当然お蔵入り。

 期待していただけに、絶望も大きかった。


 しかし、しかししかし!

 終わりが突然なら復活もまた突然に、再開発の報が知らされた。

 しかも同時に、βテスト参加者の募集まで!


 それはもう心が躍ったね。

 それから数年、こうして俺の元に届いたというわけだ。


 ああ、待ち遠しい。

 早くプレイしたい!


 逸る気持ちを抑えて、ソフトを箱に戻す。

 ソフトが届いただけで、まだ遊べるわけではない。

 サービス開始は明日の正午。

 慌てても時間の進みは早まらない。

 それまでに万全の用意をしておかないといけない。


「……光莉ちゃんも、プレイしたかっただろうな」


 ふと、思い出してしまった。

 中学時代からの、数少ないゲーム友達。

 よく遊び、よく喧嘩し、よく遊んだ。

 一緒にCPOの発売を待ち望み、絶望した。


 そんな彼女はもうこの世にいない。

 何年か前に、事故で死んでしまった。

 

 その時には俺は遠くに引っ越していたから、あまり現実感はなかった。

 オンラインゲームで仲良かった奴が突然来なくなったような、そんな感じだ。

 それでも、悲しかったのは間違いない。

 出来れば、CPOも一緒にプレイしたかった。


「……明日に備えて今日は寝よう」


 箱を机の上に置き、ベッドへ潜り込む。

 あの子の分まで楽しもう。

 きっと、悲しんでゲームに手がつかなかったら怒るだろうからな。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めましたので、こちらもよろしくお願いします!
友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
面白いと感じたら、以下のバナーをクリックして頂けるととても有難いです。 その一クリックが書籍化へと繋がります! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ