表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

261/407

244 上達と練習


「では、次は≪魔導機械(マジックギア)≫の方をお見せしますね」

「お願いします」


 半分ジャケットを純白猫に返す。

 純白式と名が付いているが、特に白い訳でもない。

 ≪魔法機械≫や≪魔導躍進機≫は○○式とつくのが一般的らしい。


 作成したものにも付くが、その部分は任意で名付けられる。

 前回の笑顔の仮面型は確か猫式だった。

 使い分けてるんだろうか。


 純白猫が取り出したのは、少し幅広の両刃の短剣。

 一番最初に見たものと同じ形に見える。


「どうぞ」

「どうも」


 短剣を差し出してくれた。

 受け取ってじっくり眺めてみる。

 線が真ん中を縦に奔り、三本程枝分かれしている。


≪猫式短剣型魔導機械:修練≫

武器/短剣/魔導機械 レア度:C 品質:B-

Atk:30 Matk:5

初心者向けに開発された魔導機械でバランスが良く、扱いやすい。

駆け出しからベテランまで、長く愛されてきた不朽の名短剣型。

最大SP-15

≪起動≫発動中Atk+20、Def+5、消費SP-3%


 これも前より品質が上がってる。

 しかもこっちは初めて見た短剣型よりもレア度も少し上がってる。

 ということは、かなり腕を上げているということだ。


 レア度が同じ笑顔の仮面型と比べても品質が高い。

 文句のつけようがないなこれは。


「ばっちり腕を上げてますね」

「当然です。引きちぎられるのは嫌ですからね!」

「そうですね」

「挫けそうになると肩を掴まれたような感触があって、しかも耳元で呟かれてるのかと思うくらい近くで声が聞こえるので、振り向きもせずに必死に練習しました。その成果がしっかり出てて、良かったです」


 タマの方を見る。

 やっぱり視線を逸らされた。

 俺が寝ている間、タマも寝ていると思っていた。

 でもよく考えると謎だ。

 大体が俺の方が先に寝て、起きる頃にはタマも起きている。


 ごく稀に寝ているのを見るけど、睡眠は必要なんだろうか。

 タマはプレイヤーじゃない。

 ゲームの中だけの存在で、寝なくても脳が衰弱するようなことはない筈だ。


 分身か本体かは分からないが、純白猫を応援(物理)していた可能性は高い。


「サブウエポンの方も大丈夫そうですね」

「はい、多分。素材がどれも激レアなので不安ですが、今の私の全てを注ぎ込んで完成させてみせます!」

「お願いします。素材は足りますか?」

「はい、余裕で足りると思います。それでは私は一旦帰って寝ますね。また明日、取りに来てください」

「はい。また明日」

「ばいばーい!」


 短剣型魔導機械を返した。

 純白猫は、ご機嫌な様子で帰って行った。


 12時以降は家を出なくてもいいように、朝の内に受け取る予定になっている。

 明日の完成が楽しみだ。

 結構な量を頼んでるから、お礼は弾まないとな。

 材料費は全部負担するし、完成品にお金も払うが、+αのお礼がしたい。


 ≪魔導機械≫は宝石が必要らしいし、宝石を集めてプレゼントするか。

 言葉だけ聞くと恋人の関係みたいだ。

 そういうのじゃなくて、ただの材料だけどな。

 

 早速集めに行くか。


「タマ、狩りに行くぞ!」

「やったー!」


 城に戻って、崇められていたおろし金と合流した。

 お偉いさん達はいなくなってたが、騎士や兵士達に可愛がられていた。

 中には、いつぞや一緒に≪将軍クワガタ≫を狩りに行った人たちもいる。

 あんなに食べてもお腹一杯にならないのは凄い。


 帰る事を告げると、残りの貢物をお土産として持たされた。

 皆さんでどうぞとも言われたが、きちんとおろし金の食事にさせてもらおう。


 ≪輝きの大空洞≫から、≪無明の城≫へ。

 最近ここにしか来ていないが、お金と経験値が必要ならここで充分だから仕方ない。

 とりあえず生活できればそれでいいからな。


 でもそろそろ行ったことのないところにも行ってみたいな。

 それなりに強くなって収入源も得た。

 そしたら冒険を楽しみたい気持ちも湧いてきてしまった。

 ミルキーと相談だな。


 さて、狩りだけど本気でやると1セットで疲れてしまう。

 程ほどに、のんびりやろう。

 ついでにあまり使ってない武器でも練習するか。


 盾ゴーレムを取り出して、腕に装着する。

 縦長の五角形に近い形の大盾だ。

 偶に装備はしているが、そんなに使う機会がなかった。

 今日はせっかくだから、こいつだけで縛りプレイをしよう。


「今日はのんびり歩いて狩りをするぞ。タマ、準備はいいか?」

「おっけー!」

「それじゃあ行こう。しばらくは色々実験させてくれ」

「はーい」


 少し歩くと、曲がり角から≪ルビーナイト≫が現れた。

 向こうもこっちに気付いたようで、石が擦れる音を鳴らしながら接近してくる。

 距離はまだ15m程空いている。

 お城だけあって通路が広くて長い。


 腕を振りかぶって≪シールドブーメラン≫を発動する。

 盾が回転しながら≪ルビーナイト≫に向かっていく。

 激突――。

 盾はすり抜けるようにして戻って来た。


 しっかりダメージは入っているようで、相手は一撃で砕け散っていた。

 中々の威力だ。

 他にも色々試してみよう。


 すぐに別のモンスターと遭遇した。

 スキルを使わずに投げてみた。

 それなりのダメージだったが、それでも一撃だった。


 もう一体いるな。

 盾を操作してぶつけてみるか。


 腕を伸ばして狙いを定める。

 発射! 

 盾は凄まじい速度で飛んで行った。

 当然のように≪ダイヤモンドナイト≫は爆散した。

 結構なダメージが出た。

 ≪シールドブーメラン≫を使うよりも強くないか?


 まだスキルレベルが低かったのと、多分飛ばした時にステータスでダメージの加算があるんだろう。

 速度がIntとDexで決まるらしいからな。

 その分威力が上がってもおかしくはない。


 この盾は、盾だがゴーレムでもある。

 色々素材をプラスした結果、浮くし飛ぶし自律行動もするし、思考で操作も出来る凄い奴だ。


 ……強いな。

 やっぱり活用しないと勿体ない。

 使いこなせるように練習と、後もっと強化するように考えるか。

 守る力は、大事なものが増えた今の俺には重要だ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めましたので、こちらもよろしくお願いします!
友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
面白いと感じたら、以下のバナーをクリックして頂けるととても有難いです。 その一クリックが書籍化へと繋がります! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ