表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

243/407

229 徹夜明けと試作品


 おろし金、タマと共にストーレの街へとやって来た。


 葵はまだ寝ていたので、ミルキーに留守番を任せてきた。

 何かが起きてもミルキーがいれば安心だ。

 葵にはムッキーもいるしな。


 ムッキーというのは葵がテイムした(?)モンスターだ。

 種族名は≪オレンジサファイアマスター≫。

 元々≪オレンジ細マッチョ≫という種類のモンスターだったが、PK達との戦いの中で進化したそうだ。

 見た目もかなり変わっている。


 進化前は、巨大なオレンジを少し細くして、細いけど筋肉はついた手足を生やした感じだった。

 進化したことによって、ボリュームが増し、オレンジ部分が宝石と化した。


 詳しく聞いてないが、液体のように宝石を操ることが出来るらしい。

 それだけ聞いても分からないから今度見せてもらうつもりだ。


 ストーレの街にやってきたのは、純白猫の様子を見る為だ。

 依頼した、葵へ贈る装備の制作が順調かどうかを確認しておきたい。

 

 葵の職業である≪魔導機械士≫の専用装備は特殊で、作成するには専用のスキルがいる。

 純白猫はそっちのスキルを取得したばかりの駆け出しだ。

 だから練習用の素材も全て負担するという条件で、スキルのレベル上げと練習から始めてもらっている。


 日数はあまり余裕が無い。

 最終的な完成品を作る余裕を考えないといけない。

 そうなると、明日にはある程度の腕前まで辿り着かないといけないらしい。


 今日の時点でどうなってるか。

 出発前にメッセージでやりとりしたが、南門近くで待ち合わせをすることになっている。

 いつも純白猫が露店を出している辺りだな。


 そういえば大通りに露店を出してる割には≪笑顔の仮面≫ばかり売ってたりしていた。

 競争率が高いと聞いてたが、変わったんだろうか。


 待ち合わせ場所へ到着した。

 純白猫が既に待っていた。

 相変わらずの≪笑顔の仮面≫に、明るい紫色のとんがり帽子姿だ。


 ストーレを拠点にしているプレイヤーは多い。

 奇抜な装備のプレイヤーも結構見るが、ここまでの存在感を放つ組み合わせも珍しい。

 他はタンクトップにショートパンツという、妙に露出が多いのもギャップになってヤバさが増している。

 気がする。


「おはようございます」

「おはよー!」

「キュル」

「おっはおっはでーす! オオカナヘビちゃん? にしては大きいし、色や形も違いますね。君は何かなー?」


 一緒に挨拶をしたおろし金が気になったようだ。

 カナヘビモードだとそんなに目立たないから、街を一緒に歩いていた。

 自立型の相棒やテイムされたモンスターがそこら中にいるから、おろし金に注目する人は多くない。

 偶に、爬虫類が好きな人に撫でられるくらいだ。

 

「この子はおろし金だよ! タマ程じゃないけど、さいきょーくらすだよ!」

「キュルル」

「そうなんですか、よろしくです!」

「キュル!」


 タマは自慢げな笑顔を浮かべている。

 純白猫の挨拶に、おろし金はこちらこそと言わんばかりに一声鳴いた。


 純白猫は微笑ましげにタマとおろし金を見ているが、本当に最強クラスなんだよなぁ。

 タマはもう言うまでもない。

 おろし金もMVPモンスターのコインを三枚に、タマのコインを吸収している。

 強い。

 もう一度あの魔王モドキと戦ったら多分瞬殺出来る筈だ。


「練習の方はどんな感じですか?」

「ああそうそう、いい感じですよ! さっきまでぶっ続けで作ってたお陰で、それなりの物が作れるようになってきましたようへへへへへ!」


 徹夜明けらしい。

 妙にテンションが高いと思ったよ。


「依頼を出したのはこっちですけど、あんまり無理すると死にますよ」

「いやーはは、睡眠はしっかりとるつもりだったんですが、楽しくってつい、みたいな?」

「テンションもおかしくなってますからね。程々でお願いします」

「分かってますよーう。それじゃとりあえず、現段階での試作品をお見せしますね」

「おお」

 

 純白猫は鎧の腕を取り出した。

 肩から手までしかない。

 右腕だけ?


「これで全部なんですか?」

「≪魔導機械士≫の専用装備……≪魔導躍進機(マジックドライバー)≫って武器に触れてないと効果が出ないから、基本的に片腕だけとかのデザインになっちゃうんですよ。フルアーマーだとかなり重くなっちゃう上に効率も良くないので。初期装備もそんな感じでしたよね?」

「たしかに」


 葵が今装備している初期装備も片腕しかない。

 ジャケットを縦に二つ割って、右腕側だけ使用してるようなデザインだ。

 手袋も一体化していてかっこいい。

 まさかちゃんとした意味があったとは。


 ちなみに、基本的には、というようにそれだけという訳ではない。

 これが片腕用のアーマーなのは、練習だから一般的なものをとにかく沢山作った結果だそうだ。


≪標準式魔導躍進機(マジックドライバー)・右腕≫

防具/鎧/魔導躍進機 レア度:C- 品質:D-

Def:18 Mdef:6

≪魔導機械士≫に広く普及している≪魔導躍進機≫。

性能はずば抜けて高いとは言えないが、素材も技術も一定の基準を越えたものが使用されており、信頼性は高い。

拡張性も高く、着用者の好みに合わせて幅広く改造していくことが可能。

右手で≪魔導機械≫を保持している間、以下の効果を発動する。

Atk+20

Def+10


 性能は普通にいいんじゃないだろうか。

 と思う。

 知識がないとこういう時の判断に困る。


「これが奇跡的に出来たのがついさっきですからね。他のはもう品質がダメダメ過ぎて文字通りゴミになりましたよえへへへへへ」

「頑張ってくれたみたいでありがとうございます。とりあえず休んでください」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めましたので、こちらもよろしくお願いします!
友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
面白いと感じたら、以下のバナーをクリックして頂けるととても有難いです。 その一クリックが書籍化へと繋がります! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ