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外伝 CO-ROU・THE・CROSSOVER Ⅱ

クロスオーバー外伝です。

本日二回目の更新です。


「森だー!」

「森だな」


 ≪ストーレの森01≫へとやって来た。

 ここは、ストーレの街から南にニマス進んだエリアだ。

 主にクワガタ系のモンスターが湧く。


 初心者でも比較的狩りやすい場所だが、夜は全てのモンスターがアクティブだ。

 昼に比べて殺意が高い。


 飛んでくるクワガタを魔法や剣で迎撃しつつ、奥へ向かう。


 目的地はもう一つ奥、≪ストーレの森04≫だ。

 エリアの境界を越えると、雰囲気が変わる。


 04は雰囲気が暗い。

 モンスターも増えるし、難易度が跳ねあがる印象だ。

 夜でもそれは変わらない。


「ん?」

「忍者がいるよ!」


 エリアを移動したばかりの俺達に、賑やかな光景と声が飛び込んで来た。

 色違いの忍者装束に身を包んだプレイヤーが、三匹の≪忍者クワガタ≫と戦いを繰り広げているようだ。

 忍者VS忍者とは、中々楽しそうだ。


「吹き飛べー!」

「おらぁ! ちょっ、≪代わり身≫!」

「≪業魔・火生三昧≫!!」


 苦無片手に三匹の忍者クワガタを相手どっていた≪カイト≫がスキルを使用した。

 間髪入れずに≪レナ≫から凄まじい炎が放たれた。

 

 仲間ごととはえぐいなぁ。


 と思ったら、炎に呑みこまれた瞬間にカイトが丸太になった。

 丸太はそのまま忍者クワガタ諸共焼失した。

 カイトは、いつの間にかレナの隣に居た。


 察するに、攻撃を受けたら丸太を身代りにして近くに転移するスキルっぽい。

 流石忍者。

 クワガタ達はそんなスキルを持っていない。

 忍者力バトルに負けたようだな。


 以前はパーティー間でのダメージは無かった。

 正式リリースに伴って変更された箇所の一つだ。

 前日くらいに告知された時はびっくりしたな。


「ふぅ、やったね!」

「まぁなんとかなったな。こっち来た瞬間忍者クワガタに囲まれた時は焦ったけど」

「結果オーライ、だね」

「それが合図無しでスキルぶっ放した奴の台詞か?」


 二人のアイコンの色は緑。

 一般プレイヤーのようだ。

 大学生くらいに見えるが、アバターはある程度のカスタマイズが可能と聞いたから見た目通りかは分からない。


 楽しそうにしてるし、邪魔しない内に奥へ進もう。

 あれ、タマがいない。


「ねぇ、二人は忍者? 忍者?」

「お、そうだな、忍者だよ」

「女の子? って、すごい可愛い装備! こんなの作れるの!? 私もこんなの着たいなぁ」

「おいこら忍者」

「はっ!? そうね、私は完璧な美を持つ忍者」

「自分で言えるのほんとすごいよな」


 タマは二人の忍者に話しかけていた。

 思わず固まってしまっていた。

 慌てて回収に向かう。


「わーい! 忍者忍者! 苦無投げる?」

「すみません、ウチのタマが。こら、迷惑だから止しなさい」

「あ、大丈夫、気にしなくていいですよ」

「ありがとうございます」

「忍者! 忍者!」

「レナ、ちょっと」

「どうしたの? あ、ごめんねタマちゃん、少し待ってて」


 カイトがレナを引っ張って距離を取る。

 どうやら何か話をするようだ。

 邪魔になるし今の内にお暇した方がいいような気がする。

 だけどタマが苦無投げるの見たくてワクワクしてるしなぁ。

 少しだけお言葉に甘えて待つか。


「急にどうしたの?」

「あの人のアイコン見て何か気付かないか?」

「アイコン? あれ、青いね」

「あれって≪βNPC≫ってやつだろ? ほら、公式サイトに説明のあった」

「えーっと、なんだっけ」

「βテストの時のデータをそのままNPCにしたキャラのことだよ。テストの時の行動を全て解析してるからまるで人間みたいに動くって評判の」


 タマがちょっと狩ってくると言い残して森の中へ消えていった。

 待ってる間暇だから、周辺のモンスターを狩りに行ったようだ。

 俺の隣にはタマの姿がある。

 分裂して片方を森に派遣したらしい。

 忍者みたいなことする奴だな。


「あぁ、そういえば書いてあった。すごいね。全然NPCに見えなかった。倒したら持ってる金やアイテム全部と、大量の経験値がもらえるんだっけ?」

「そうそう。だけど、流石にあんな中学生くらいの子と戦うのは気が引けるから止めようと思って」

「私をどんな鬼畜だと思ってるのかな?」

「さ、戻ろうか」

「ちょっと!」


 二人が戻ってきた。


「待たせて悪かったな。苦無投げる所見せてやるよ」

「わーい!」


 カイトがタマと一緒に少し離れた。

 苦無投げを見せてくれるらしい。

 見事なもので、真っ直ぐ飛んで行って木に突き刺さった。

 あの形の刃物を綺麗に投げるって難しい気がする。

 流石忍者だ。


「タマちゃんって、ナガマサさんの相棒パートナーなんですか?」

「はい。最初は光る球体だったんだけど、突然こうなりまして」

「へー、すごいですね」


 レナに問われて正直に答える。

 もっと細かく説明も出来るけど、長くなるしばっさりカットだ。

 

 とはいえ、タマがカイトに遊んでもらってるし、沈黙は気まずい。

 世間話でもしよう。 


「二人のジョブは忍者みたいだけど、相棒はどんなのなんですか?」

「カイトは苦無で、私は――」


 そっと差し出されたのは蜘蛛のオモチャ。

 よく出来ている。


「何故か選択の余地も無くこれだったんですよね。選べるって聞いてたのに」

「あー、偶にあるみたいだね。知り合いでもそんな感じの人がいたよ」


 一枚のパンツが目の前に落ちてて、履いたら相棒に決定した変態とか。

 それに比べたらまだマシなんじゃないかと思う。


「レナの場合、奥義があれだからな」

「それならそれで、本物で良くない?」

「確かに」


 苦無投げの実演を終えたカイトが戻ってきた。

 満足げな表情のタマも一緒だ。


「我儘を聞いてもらってありがとうございました」

「ありがとーカイト! レナ!」

「いや、大丈夫だ。俺も忍者が好きだからな」

「すっかりはまってくれて嬉しいな」

「メンテが明けたら色々やるつもりだから、付き合ってくれよ」

「分かってますって!」


 二人はメインのゲームが大型メンテナンスでプレイ出来ない間、カスタムパートナーオンラインで暇を潰してたようだ。

 タマに構ってくれて良い人達だ。

 短い時間だったけど会えてよかった。

 また何かの縁があると良いな。


「それじゃあ俺達はこれで。狩り頑張ってください」

「またね!」

「ナガマサさん達も気を付けて。ここの敵忍者って名前だけあって素早いからな」

「タマちゃん、良かったら今度は私とも遊んでね」

「うん! バイバイ!」


 カイト達は横にこの周辺で探索を続けるようだ。

 挨拶を交わして、俺達は森の奥へと足を向ける。


「何かいるよ」

「えっ」


 タマがカイト達の方を指差した。

 そこには、前のエリアから移動して来たであろうプレイヤーの姿があった。

 アイコンの色は、紫。

 それは、俺達と同じβNPCがPKを行った証。


 PK(プレイヤーキラー)は突如としてカイト達へと襲い掛かった。



クロスオーバーを募集されているところへ私が飛びついて、実現させて頂きました。

作品は烏妣 揺先生の「CO-ROU・THE・CHRONICLE〜虎狼忍術史伝〜」です。

URLはこちら「https://book1.adouzi.eu.org/n5108fh/」


同じVRMMOジャンルですが、忍者をテーマにしたゲームと、ヒロインと主人公の掛け合いが魅力的な楽しい作品です。

恐らく先生の作品の魅力を最大限発揮することは私では出来ないと思いますので、少しでも興味が湧きましたら是非読んでみてください。



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