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1 6-5 15-15 ハンガリーでインタビュー


『はい! というわけで、今日はブダにあるテニスコート、グランドスラムパークにお邪魔してます! 今日、インタビューする方は、こちら! 遥々日本からやってきた、ニワノ・タマキさんです!』



 ハンガリーのテレビ局の取材を受けている、庭野環希です。

 やり取りは、リポーターがハンガリー語で喋ったのを、通訳の人が日本語に変えてくれる恰好となってます。



『ハンガリーのみなさん、こんにちは。日本からやって来ました、ニワノ・タマキです!』



 まあ、最初の挨拶だけは、五分で覚えた、かなり怪しいハンガリー語での挨拶をしてみましたけど。

 ちなみに、マジャール語でも、こんにちはは、英語のハローとほぼ同じなんですよね。なんだか不思議な感じがします。



『タマキさんは、あのダブルスのレジェンドである、ニワノ・マドカ選手の娘さんだそうですね?』


「そうですけど、母の名前ってそんなに有名なんですか?」


『有名も有名です! お母さんは、グランドスラムをダブルスで七度も優勝していますし、ダブルス世界ランキング一位の座を、131週も保持したというのは、歴代五位の凄い記録ですよ!』



 改めて聞かされてみると、ママって庭野まどかって凄い選手だったんだなぁと、そう思い知らされますね。普段はあんなのだけどさ。

 ランキング一位の座も二度陥落しているのに、また返り咲いているのだから、精神的にもタフでもあったわけです。


 だから、131週でランキング一位というのは、通算での話になるのです。

 連続では一番長いのでも、65週だったかな?


 それにしても、アナウンサーなのかタレントさんなのか知りませんけど、この女性はテンションが高いですね。



「私が生まれる前に引退しているから、どうして実感が湧かなくて」


『あー、それはあるかもしれませんね。それでは、お母さんのことはさておき、ニワノ選手の事をお聞きしたいと思います』


「体重とスリーサイズ以外のことでしたら」


『あはは、それは、ジャパニーズマンザイとかいうジョークですね?』



 漫才を知っているだなんて、このリポーターさんなかなか詳しいですね。



「ブリテンのジョークには負けると思いますけど、そうですね」


『彼等のユーモアは、ジョークの前にブラックが付きますからねぇ。それで、本題なのですけど、ニワノ選手は先程まで此処グランドスラムパークで行われていた、アルファチカップにおいて見事に優勝しました! おめでとうございます!』


「ありがとうございます」


『これで、ITFジュニアサーキットで出場した大会のうち、八大会中七大会での優勝となりましたけど、いやー、凄い成績ですね!』



 まあ、なんてったって私こと、庭野環希だからね!

 余裕のよっちゃんってヤツですよ。



「ドロー運にも恵まれたのだと思います」


『またまた謙遜しちゃって。ドロー運だけでは、こんなに凄い成績は残せませんよ』


「七大会で優勝したといっても、G2大会までしか優勝してませんから」


『なるほど。G1とGA大会では、まだ優勝していないのでしたね』


「はい。だから、再来週に始まる全仏オープンジュニアでは、まだ対戦したことのない強い選手も大勢出場してくるでしょうし、厳しい戦いになると思います」


『しかし、今日の優勝でランキングポイントは、860ポイントに加算されて、ジュニアランキングの順位も、47位から30位まで上がることになります。13歳でジュニアのトップ30入りですから、凄いですよね!』



 今大会は単複で優勝したので、190ポイントを稼げたのである。そして、ランキンギポイントは六大会分しかカウントされないので、ニュージーランドのG4大会で優勝した、60ポイントの一つが外れるという計算になるのだ。


 NZL G4 W 60P

 NZL G3 W 100p

 ESP G2 W 160P

 ESP G2 W 160P+30P

 AUT G2 W 160P

 HUN G2 W 160P+30P


 合計で860ポイントということですね。


 ランキングポイント外のポイントは、NZL G4 W 60Pと、ESP G1 R32 15Pになります。

 この後、60ポイント以上のポイントを獲得したら、順次ポイントの低い順にポイント計算から外れていくことになるのだ。



「ありがとうございます。でも、ここからが、正念場だとは思いますけど」


『勝つ秘訣みたいなのはあるのでしょうか?』


「それは、企業秘密ですと言いたいところなんですけど、勝つ秘訣は特にありません」


『特別な練習方法を取り入れているとか、そういうのはないのでしょうか?』



 特別な練習? そんな練習方法があって、もっと強くなれるならば、私もやってみたいですね。

 練習とは、地道に同じことを繰り返して、初めて自分の身に付くと思いますよ?



「何をもって特別と呼ぶのかは、定義にもよるとは思いますけど、たぶんないですね」


『普通の練習しかしていないと?』


「そうなりますね。それに、私の練習時間はジュニア選手の中では少ない方だと思います」


『練習時間が少ないというのは驚きました』



 学校がある普段の日は、一日に三時間程度しか練習してないですしね。



「長時間だらだらと練習しても疲れるだけですしね」


『なるほど。それは確かにそうかも知れませんね。短時間でも集中して練習した方が良いと?』


「集中力って長時間は持続しないと思いますから、そうですね」


『ニワノ選手は、ここまでスペインの大会でリタイアした試合以外は全て勝利していますけど、勝因はなんだと思いますか?』



 勝因と言われても、私もなんて答えたら良いものやら。

 私が強くて、対戦相手が弱かっただなんて言っちゃうと、傲慢すぎるし反感を買うよなぁ。


 ここは一つ、困った時のママ頼みで行きましょうかね?



「うーん、強いて言うとすれば、私が庭野まどかの娘だからなのかな?」


『つまり、DNAの勝利ということでしょうか?』


「たぶんですけど。でも、それしか言いようがありませんので」


次話から不定期更新になります

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