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我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができたら〜  作者: 一日千秋


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75話 初老の騎士



デュラハンの鎧がガシャガシャと音を響かせながら、その左手には自分の首を持ち、右手にはクレイモアを持って全速力で丘を駆け降りて来た。



俺はグレートソードをキツく握る。



デュラハンは俺の横を通り過ぎる時にクレイモアで攻撃してきた。それを俺がいなすとそのまま後ろにいる2人の元へ駆けていく。




「2人とも避けろッ!」



待て、トシくんは機動力が高くないので標的にされやすいはずだ。


俺はやばいと思い、全力で脚を踏み込みドガンッと音を立てながら地面を割り、飛び出した。



「こっちだッ!」



俺は馬に追いつき横から蹴りを入れ、デュラハンもろとも吹き飛ばす。

すると馬は横に倒れ、デュラハンも馬から落ちて転がったのだがデュラハンはすぐに立ち上がりクレイモアを自分の前にしっかりと整えた。



俺はグレートソードを振り上げてデュラハンに剣戟を浴びせようとするが簡単にいなされる。



何回かその攻防をしたが結果は同じ。

次は剣戟の後に右手を離し、相手が剣を持っている右手、左側をグレートソードでブロックし、右手でデュラハンの首に思いっきり拳を捩じ込んだ。


するとその首は覆っている兜もろとも潰れてしまった。それがきっかけで霧となって消えて行ったのだった。



後ろのトシくんが狙われた時はヒヤッとしたがどうにかなって良かった。これは何か対策が必要かもしれないな。






次は19階層に進む。

階段の建物から出るとすぐになんだか不気味な屋敷がドンと待ち構えていた。



「これは完全にボスだよな」



「だよね、ちょっと怖いね」



「まぁどうにかなるだろっ!いくぞ!」



屋敷の扉を開けようとするとギィーッという音が怖さを際立たせる。



開けるとすぐに大広間が現れた。

その真ん中には暗くて見えづらいが何か人影のようなものが見える。



少し進んでいくと、そこにいたのはこの不気味な屋敷には似合わない白く輝く鎧を纏った初老の騎士がいた。

騎士は剣と盾を持ち静かにこちらを向いた。



「我、、、悪を、滅する者なり。」



剣をわずかに傾け、こちらへ向けられた無言の殺意だけがはっきりと伝わってくる。



「マサトくん、どうする?」

背後でトシくんがクロスボウを構え言った。



「俺がいつもように真正面からいく。2人は距離を取って、援護頼む」



俺はナックルを握りしめると手に重みが宿る。

よし、いくぞ。



最初に動いたのは騎士だった。重そうな鎧の割には信じられない速さで距離を詰め、頭上から剣を振り下ろしてくる。


「うおッ!」



いきなりの攻撃を拳でガードするが衝撃は重かった、が痛みはない。剣を受け止めたまま、俺はすれ違いざまに拳を叩き込む。しかし鎧が硬いのか思ったよりも効いていない。



後ろで矢が放たれる鋭い音がする。


「マサトくん、左に一歩!」


トシくんの声に合わせて体をずらす。直後、クロスボウの矢が騎士の肩口に突き刺さった。


続けざまにてっちゃんの投げた毒ナイフが飛ぶ。ナイフは鎧の隙間に吸い込まれる。


「よっしゃ!」



だが騎士の動きは変わらず機敏な動きだ。



俺は床を蹴り、真正面から突っ込む。剣が右から薙いでくるのを体をひねってかわし、盾を正面から殴りつけた。金属が軋み、騎士の体勢が崩れる。


「おらッ!」



渾身のアッパーを顎の下へ叩き込む。

鈍い音とともに騎士の体がのけぞり、大きくよろめいた。



その隙を逃すことなく俺は追撃をする。

開いた胸元に渾身のストレートを放ち鎧ごと砕いて吹き飛ばす。

鎧は凹み一部剥がれ落ちているが未だに騎士は立ち上がる。だかその時、体の一部がチラッと見えると騎士の体は腐敗しているように見えた。



撤退的にやらないと倒せなさそうな雰囲気だ。



騎士は息を付く暇も与えてくれない、すぐにこちらへ迫って来るのだか、騎士の斬撃は今まで見た攻撃の中で一番の速さだ。俺はこの斬撃を全て避けることができずに、食らってしまう。



騎士の剣が俺の体に触れると金属音が鳴り響く。

異様な光景だろう。攻防の中で騎士はひたすら斬撃を俺に浴びせるが傷一つ付くことはなかった。



だがそんな中、俺は悔しさが滲み出ている表情をしていた。スキルに頼りすぎていることがとても悔しい。まだまだ実戦経験が足りなさすぎる。




しょうがない。今はその悔しさも一旦置いといて、相手の剣を気にすることなく戦う事にする。またここで修行すればいいか。




斬撃を気にせず思いっきり殴り始めた。

もう知らん。



「オラオラオラァーーッ」





白い鎧がガシャリと音をたてて崩れ落ち騎士は霧となって消えて行った。



「ふぅ、なんとか倒せたな」



俺が肩の力を抜くと、てっちゃんがニヤリと笑いながら親指を立ててきた。


「マサトが肉弾戦やると、俺らめっちゃ仕事しやすいわ。鉄壁チートだな」



「いや、二人の援護がありがたいよ」



トシくんもクロスボウを下ろしながら、ほっと息をついた。


「少し怖かったね。でも、倒せてよかったよ」



「そうだな、、、」


俺は悔しさを胸に秘めながら返事をした。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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