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我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができたら〜  作者: 一日千秋


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70話 拡散



ダンジョンから帰ってくるとすぐにマックに行き、窓際の席を陣取った。


トレーにはそれぞれのポテトとドリンク。トシくんはノートパソコンを開く。



さて、これから話すテーマはひとつだ。



世界にダンジョンの重要性をもっと広める!



「じゃあ、整理すると、俺たちは新米冒険者てっちゃんねるで、世界中の人がダンジョンに入るきっかけを作りたい。そういうことでいいな?」



マサトは冷静な声のまま議題を投げかける。



「そうだね、マサトくん、てっちゃん、まずは全体の方針から決めようか」



「おっ、出た!トシの会議モード。こういうとき急に頼りになるんだよな〜」

 


てっちゃんがポテトを食べながら笑う。



「そんだな、最初の方針決めは大事だと思う」




トシくんの前のノートパソコンには、動画編集ソフトと、最近アップしたダンジョン動画の分析ページが開いている。



まずダンジョンの目的をどう発信するか。



「まず俺たちの目的だけど、単にバズりたいだけじゃない。てっちゃんねるを通じて、世界中の人がレベルを上げられる環境があるんだって、もっと知ってもらうことだ」



俺の言葉に、てっちゃんが勢いよくうなずく。


「そうそう!俺があのモンスター倒した動画、コメント欄めっちゃ増えてたじゃん?自分もやってみたいって言ってた海外のやつとか、結構いたんだよな!」



トシくんは画面をスクロールしながら言う。


「国によってはまだ規制が厳しいし、でも、ダンジョンに入れば経験値も才能も伸びるって、いろんな国の研究結果でも言われてきてるよね。だからこそ、僕らの動画で安全でちゃんと準備すれば誰でも挑戦できる場所って発信したいなって思ってる」



「そうだな!安全第一!」



「ただし、そのためには顔が見える初心者の挑戦が必要なんだ。プロみたいな戦い方じゃなくて、俺らみたいな学生でもできる、リアルな戦闘の過程。」



「つまり、モンスターの倒し方の動画とかってこと?」



「そう。てっちゃんが戦いながら解説する動画で、それをトシくんが編集で魅せる。てっちゃんの強みは喋りだと思うんだ。」





次はどうやってバズらせるかだ。



「じゃ、問題はここからだよな! どうやってバズらせるかだよ、マサト!」


てっちゃんが前のめりになり、机に身を乗り出す。



「トシくん、最近の分析どうだった?」



「えっとね、、、」


トシくんは画面を回し、二人に見せた。

そこには視聴者分析と、クリック率の推移、視聴維持率がグラフになって並んでいた。



「ボス戦とかドロップ獲得シーンみたいなわかりやすい瞬間は伸びる。逆にダンジョンの道中は、テンポ悪いって判断されやすくて、途中で抜けちゃう人も多かった」



「なるほどな。じゃあ編集はもっと戦闘中心に?」



「いや、それだけだと他の冒険者チャンネルと差別化できないんだ」



トシくんはゆっくり首を振った。


「僕らは初心者目線で行くんだから、失敗シーンとか、準備で迷ったりするところも入れた方がいいと思う。リアルな不安や疑問の方が、視聴者は共感してくれるから」



俺もすぐに同意する。


「トシくんの意見は理にかなってる。任せるよ。俺としては、撮影の方向性を変えてみたい」



「どんなだ?」


てっちゃんが目を輝かせる。



「視点を増やす。今までは俺の目線から見たてっちゃんが中心だったけど、、、これからは、ヘッドカメラで本人視点も入れる」



「おーっ!FPSみたいな感じか!」



「そう。臨場感が跳ね上がる。海外の視聴者にも直感的に伝わるはずだ」



トシくんも画面を確認しながら言った。


「たしかに、それなら視聴維持率も伸びると思う。特に魔法系の敵が出たときは、エフェクトと距離感がわかりやすい方が人気高いし」



そして、世界に広めるための動画企画を話し合う。



「じゃあ、具体的な企画出していこうか」



俺はスマホを開き二人を見る。


「まず俺から。初心者が最初に覚えやすいスキル特集をやりたい。てっちゃんの短剣術とかそういう基本スキルを獲得する瞬間とか最初の壁を越える瞬間をわかりやすく見せる。もちろん海外に向けて字幕も付けたい」



「英語はトシができるもんな?」


てっちゃんが笑う。



「それは任せて!」

トシくんはポテトをつまみながら言う。




「じゃあ次は俺、、、」


てっちゃんが胸を張り、拳を握る。


「世界の初心者とコラボ企画やりたい!」



「いきなり世界か」



「そうだよマサト!こっちから海外の初心者に声かけて、一緒にダンジョン入るんだよ!ほら今、世界中でダンジョン解放の動きあるじゃん?だったら最初に国境超えて一緒にレベルアップしたチャンネルとして話題作りたい!」



トシくんの目が少し大きく開いた。


「それ、、、すごく良いと思う。インパクトあるし、SNSでも広まりやすいと思う!」



マサトが腕を組む。


「渡航費は動画の収益でいけるし、安全管理はまぁ俺たちなら大丈夫か。ありだな。」




最後にまとめに入る。



「じゃ、まとめに入るぞ」


俺はスマホに書き加えながら言った。



1.初心者向けの戦闘解説を強化

2.本人視点の戦闘映像で臨場感UP

3.世界の初心者とのコラボで話題性を作る

4.海外字幕つきで世界仕様の動画にする



「これを1ヶ月で形にする」



「まぁいけるっしょ!」



「僕も頑張るよ。動画編集は毎日コツコツ進めるし」




俺は微かに笑って言った。


「俺たちがやってるのは、ただのYoTubeじゃない。世界のレベルを底上げする活動だ。てっちゃんねるがその旗印になる」



「うおおお、なんかカッケェ!マサト、そういうのもっと言えよ!」


「僕も、、、なんかワクワクしてきた」



3人の気持ちは、自然と同じ方向へ向かっていた。




新米冒険者てっちゃんねるがもっと世界へ広まろうとしている。



その挑戦の第一歩は、マックの窓際から始まったのだった。





〜〜〜〜〜



「はい、という事で今日はダンジョンに登場するモンスターの倒し方講座をやっていきたいと思います!よろしく!俺は今日はこの金属の棒で〜〜〜」




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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