68話 真実に触れる
俺たちは商人ギルドのすぐ近くにある銀行へとやってきた。中へ入ると受付嬢がカウンターにいて、ここでもしっかりと魔石での本人確認をする。
その後にサトウ商会の口座をチェックすることができたのだが、それがこれだった。
【サトウ商会】
共同名義
・トシサトウ
・マサトチナツ
・テツヤヤマダ
残高 87,290,452Dコイン
「トシくん、ありがとう。」
「トシ、俺からも感謝だ。」
「う、うん。どういたしまして、、、」
今回初めてファースの銀行に行ったのだが商会を作った事によって商会カードというものが発行されるとのこと。法人カードみたいなやつかな。
話を聞いてみるとどうやらデビットカードみたいなものらしい。口座から直接引き落とされ、支払いが出来るそうだ。
そのカードはシルバーの金属の板の端に魔石が埋め込まれていて、真ん中には魔法陣も描かれている。
そして、所有者が魔石に触れると目の前に半透明なウィンドウが現れてそこに残高が表示される仕組みになっている。他人には見えないらしい。ハイテクかよ!
それを人数分の3枚発行してくれた。
改めて見ても、口座残高が見たことない数字になっている。しかも、リアルタイムで少しずつ増えている。
でも、これだけあればやれる事がある。
俺がやりたかった事。
「なぁ2人とも、俺、この後あのお城行きたいんだけどいいかな?」
「お!ついに行くのか!あの城!楽しみだな!」
「いいよ!行こう!」
ついに俺たちはこのダンジョンの秘密を暴きに行く。ワクワクする。どんな真実があるんだろう。
〜〜〜〜〜
俺たちはメインストリートをまっすぐ進み、正面に見えるお城、サイラス城までやって来た。
近くで見るとかなり大きいな。
正面には大きな門があり、そこには衛兵が立っている。
その衛兵の元まで行き、ダンジョンの情報を買いに来たと伝えるとその門の横にある小さな扉の中に連れて行かれた。
「ではこの魔石に触れよ!次に口座残高が分かるカードをこの横の魔石に当てよ!」
「はい、わかりました」
3人とも同じようにこの作業をし、そのあと待機させられた。
20分ほどこの部屋で待たされた頃に衛兵が戻って来た。
「待たせたな!これがここでの情報のトピック一覧になる。この書面には情報漏洩防止の魔法が施されてるのでここで話したり、私に見えても問題はない!」
〜トピック一覧〜
・ダンジョンのルール 1,000,000
・深い階層には何があるのか 3,000,000
・他のダンジョンについて 5,000,000
・この街が出来た経緯 10,000,000
・サイラス様のご先祖様の話 40,000,000
「はい、わかりました」
「では、これから領主様の元へ連れて行く!冒険者たちが礼儀作法をあまり知らないことも知っている!領主様は寛容な方なので最低限のマナーさえ守っていればお許しになってくれるはずだ!最低限は気をつけなさい!」
「わかりました、よろしくお願いします」
お城の長い廊下を歩き、階段を上がり、また歩き、また上がる。
豪華で大きな扉の前に着くと衛兵がそこで止まった。
「では、これより領主様おられる部屋に入室する!」
俺たちは衛兵と一緒に扉をくぐり、中へと入って行く。
謁見の間という感じで目の前には領主が座っており、両隣には護衛が立っている。
領主は茶色の短髪で七三分けにしている。白髪混じりの中年のナイスガイと言った感じである。
「サイラス様!客人を連れて参りました!」
「おお、ありがとう。控えてなさい。では、少年たち、初めまして、私はこの街を治めているサイラス・フォン・カイルと言う、よろしく。早速だが先ほどトピックを持って行かせたと思うが今回はどの話を聞くか決めたか?」
俺が代表して、答える。
「はい!初めまして、チナツマサトです。今回は先ほどの全てのトピックを聞いてもよろしいでしょうか?」
「わかった、話そうではないか。ちなみにこの会話は情報漏洩防止の魔法により周りには聞こえないので安心したまえ、ではまず今からそこの魔石にこの金額を送金したまえ。」
「わかりました。では」
俺は商会カードを魔石に当てる。
そこでウィンドウを操作して59,000,000Dコインを送金する。
「確認した。ではこれから話していこう。最初はダンジョンのルールだな。まずモンスター以外の種族はダンジョンの中で死んだ場合、死体は一定時間放置しておくと消えてしまう。ダンジョンに吸収されるのだ。次に深い階層の街に住む期間が長くなると浅い階層に来た時に一時的に力が抑えられてしまうのだ。これは強いものが弱いものに干渉できないようになっているらしい。また深い階層に戻れば徐々に力は戻っていくみたいだ。」
「次に深い階層には何があるのかだが、これはこの階層まで来る情報の中にはまだ確信的なものはないのだ。ただ最新情報は攻略隊が67階層を突破している。そして、噂によれば秘宝の類は多数発見されていて、死者を蘇らせるアイテムや、金を生み出すアイテムなど噂は絶えない。」
「次に他のダンジョンについてなのだが、他のダンジョンは多数あり、そこへの移動も可能だ。だが、ダンジョン街の移動は基本的に同じ階層同士の転移陣でしか移動はできない、例えばここファースからは違うダンジョンの15階層の街にいけるというわけだ。20階層なら他のダンジョンの20階層という形になる。そして、我々は15階層より下の階層には行けないのだ。それは君たちが他のダンジョンへ転移陣で移動した時もそうなる。外から来たものは入ったダンジョンからしか出る事ができない。だがもし、外で他のダンジョンを15階層まで進んだなら出口は2つに増やせる。理解したか?」
「なるほど、そんなことができるのですね」
「あと、注意点としては外の世界で国がいくつもあると思うのだがその同一の国のダンジョンは全て15階層は同じ街に繋がってるはずだ。私の祖先の時もそうだったみたいなのだ。」
「ここからも話は長くなる少年たち茶でも飲むか?」
俺たちはお言葉に甘えてゆっくりすることにした。
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