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我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができたら〜  作者: 一日千秋
ダンジョン創世編

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65話 話題の特許



ダンジョン内部のファースの街の中央広場、そこに面している商人ギルドの石造りの建物では、今まさに秘密会議が行われていた。



ファースの商人ギルド長グリムが呼んだのは、彼と仲の良い五人のギルド長たち。みな人格は善人だが、金が絡むと目が輝くタイプの男たちである。


重厚な扉が閉じられ、魔法障壁が張られると、グリムは机の上に一枚の文書を広げた。



「諸君。ついに受理された。経済循環術式 無限連鎖講インフィニティ・チェーンの特許だ」



その言葉で、五人の目が一斉に鋭くなる。



「来たか、、、あれが本当に完成したのか?」



「噂の段階では信じられんかったが、まさか本当に!」



興奮を隠しきれない声が飛び交う。




グリムが魔法を起動すると机の中央に蒼い魔法陣が展開され、複雑な紋様が輝いた。



「まず第一章、基礎報酬ベースインカムだ」



魔法陣から金貨の幻が舞い上がる。



「加入者が出資した金の一部を、魔法陣が全加入者へ均等分配する。生活基盤、最低利益。新規加入者がいなくても維持され、経済活動が止まっても最低ラインは供給され続ける」



「、、、なんだ、それは。まるで都市全体への生活保障じゃないか」



「不安定性が完全に消えるなんて、すでに革命だぞ、これは」



年長ギルド長の一人が震えた声を漏らす。




「そして第二章、加算報酬ボーナスインカム」



魔法陣が輝きを増し、光の金貨が指数的に増えていくように見えた。



「稼ぎたい者は無制限に稼げる。新規加入者への指導、物資販売、魔物素材の供給、新技術の提供、ダンジョン攻略成果の流通、経済を動かす行為すべてがアクティブスコアになる」



「努力した者だけがどこまでも行ける。か、いいじゃないか!」



「しかも不正は魔法陣が完全無効化、か。はは、完璧すぎる」




しかし、最も驚きが走ったのは次の瞬間だった。




「第三章、調律魔法陣のレギュレーションだ」



「調律、、、?」



「そう。格差が急激に広がりすぎないよう、自動で流通量を調整する。詐欺的行為は即座に無効化し、寄生的な稼ぎ方をすれば減点。必要に応じて加算報酬の係数が変動する」



「、、つまり、稼ぎまくる人がいても経済が崩壊しないってわけだな?」



「その通りだ」



五人の顔に戦慄と興奮が同時に宿る。




「さらに第四章。ダンジョンマウス講との決定的違いも明確だ。実体価値の提供が必須、利益の独占がない、魔法陣による透明性、そして新規加入者がいなくても持続する」



「これはもう別物だ。詐欺まがいの講とは比べ物にならん」



「経済そのものを作り変える気か、、、トシサトウという者は」




最後に、グリムは古文書の末尾を叩いた。



「第五章。特許権の保護だ。権利者はトシサトウ。利用者は売上の三割を払う必要があり、魔法妨害はすべて無効化。効力はダンジョン内部に限定される」


「トシサトウというものはダンジョン外のものなのだろう?だから干渉はないんじゃないかと思っておる。我らが先行者利益を得ようではないか!」



五人の視線が揃い、空気が震える。




「グリム、、、お前は本気で言っているのか?」



「もちろんだ。こんな革命的な特許、絶対に儲かる。他ギルドが動き出す前に、我々で先に事業を立てるべきだ」



「やるか」


「当然だろう!」


「こんなチャンス、生涯で一度あるかどうかだ!」


「大儲けしつつ、街も潤う、、、こんな仕組みを待っていた!」



善人でありながら、金の匂いには抗えない五人の男たち。その表情は、子供のように輝いていた。



「では諸君、ダンジョン街初の試み、ここファースを我々の最初の拠点としよう。無限の第二経済圏は今日ここから始まる!」



こうしてダンジョン内部で、後にダンジョン内最大の経済圏へと成長する、トシサトウが考案した無限連鎖講インフィニティ・チェーンの物語が静かに幕を開けた。



トシサトウはまだこの事を知る由もない。



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