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我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができたら〜  作者: 一日千秋


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59話 契約魔法とインフィニティ・チェーン



2年前のある晩に僕が塾から帰ると父と母がニュースを観ながらリビングで会話をしていた。


僕はそのままリビングのソファに座り、会話には混ざらずに一緒にニュースを観る。



多分ニュースの話題を話しているのだが詐欺の話という事はわかる、でも話に出てくる単語はいまいちわからない。



父は警察官、母は大学の教員で経済学部教授をしているのでニュースを見た時の感想や意見はとても難しく、僕はそれを聞いては後日調べて話を理解していた。



両親に聞けばいいんじゃないかという意見もあると思うが僕は両親が熱心に議論しているのを聞くのが好きだったのだ。


僕の質問でリズムを壊されるのも嫌だと思うし。



先ほどの会話ではポンジスキームや連鎖販売取引、マルチレベルマーケティング、特商法という単語が聞こえたのであとで調べてみることにする。



調べてみるとたくさんの情報がインターネットには溢れている。

いい話も悪い話も僕は客観的に知るために法律やルールの方を先に調べてから個人の感想などを読むか事にしている。先入観にとらわれたくないからだ。



そうしてわかったのはこれは凄く考えられたシステムだという事。だが、危ない。使い方を間違ってはいけないシステム。そんな結論に至ったのだった。




でも、その好奇心を育てた結果、面白いという感情も芽生えさせてくれたのは事実だった。









〜〜〜〜〜




ピロンッ


半透明のウィンドウが目の前に現れる。


《契約魔法により、申請していた経済特許が受理されました》



【契約魔法文書 商人ギルド特許申請書】


本書は、商人ギルドが管理する契約魔法陣により効力を発する正式文書である。

以下、権利者トシサトウの名のもとに特許申請が行われ、魔法的拘束力を伴って記録される。


第一条 特許受理の通知


一、申請された特許は、商人ギルドに登録され、受理の際には契約魔法を通じて権利者へ自動通知が行われるものとする。


第二条 権利の帰属


一、本特許に関する一切の知識・技術・術式・魔道具構造は、権利者トシサトウに帰属する。

一、権利者の許可なき複製、転用、模倣を禁ずる。


第三条 使用料


一、本特許に基づき技術・術式・システムを利用する個人、商会、ギルド、または国家組織は、権利者へ利益の三割を売上として納めなければならない。

一、支払いを怠った場合、契約魔法が発動し、未納者へ自動的に請求刻印を付与する。


第四条 魔法的保護


一、本特許権は、いかなる干渉魔法・改竄魔法・精神操作による妨害を受けない。

一、違反を試みた場合、契約魔法が自動的に証拠を記録し、商人ギルドへ通達される。


第五条 権利の適用範囲


一、本特許の効力は 本ダンジョンおよび全てのダンジョン内部においてのみ発揮される。


第六条 契約の永続性


一、本契約は権利者が破棄を宣言しない限り効力を保つ。

一、権利者死亡時は、魔法陣に登録された後継者へ自動的に継承される。


第七条 誓約


一、権利者および使用者は、本契約に刻まれた魔法陣に魔法文字を用いて署名する。

一、誓約がなされない場合、本契約は発動しない。





【経済特許の内容】

特許内容:経済循環術式 無限連鎖講インフィニティ・チェーン


本術式は、

全加入者へ均等分配される基礎報酬ベースインカムと、

個々の活躍によって青天井に報酬が増える加算報酬ボーナスインカムの二層構造によって運用される。


これにより、

「誰でも最低限の利益がある」

「努力した者は無制限に稼げる」

という両立が可能となる。



第一章 基礎報酬ベースインカムについて


加入者は一定額の出資を行い、その一部は全加入者へ均等に分配される。

この報酬は「生活基盤」「最低利益」の役割を担う。

・全員に自動で届く

・魔法陣が公平に計算

・新規加入者がいなくても維持可能

・経済活動が止まっても最低ラインだけは供給される


これにより不安定性の排除と加入者保護が確保される。



第二章 加算報酬ボーナスインカムについて


稼ぎたい者が稼げるように設計された部分。

以下の活動や貢献を行うと、魔法陣が「功績点アクティブスコア」として記録し、

その点数に応じて上乗せ報酬が自動計算される。


加算対象となる活動例

・新規加入者の有益になるような勧誘

・物資販売・独自商品の開発

・新技術の提供

・魔物素材の供給

・新規加入者への育成支援

・ダンジョン攻略による成果物の流通

・経済圏の維持に貢献する活動全般


報酬計算の特徴

・活躍すればするほど指数的に増加

・上限なし

・魔法陣により不正不可

・実力差、努力差がそのまま収入差に反映される


つまり、

「全員に配られる基礎報酬」+「努力した分だけ積み上がる報酬」

というダブル構造となる。



第三章 魔法陣によるバランス調律レギュレーション


ただし、無制限に稼げる仕組みだけでは格差が急激に広がり過ぎるため、

調律魔法陣が次のように自動制御する。


調律の役割

・詐欺的・寄生的な稼ぎ方を無効化

・過剰搾取を検知すると減点

・経済全体の崩壊を防ぐため、流通量を緩やかに調整

・必要に応じて加算報酬の係数を変動


これにより、

「爆発的に稼ぐ人がいても、システムが壊れない」

強靭な経済循環が保たれる。




第四章 ダンジョンマウス講との違い


変更後も、従来と同じく以下の違いが明確である。


① 実体価値の存在


サービス・商品・知識などの提供が必須。

→ ダンジョンマウス講は金銭のみ。


② 利益独占の不在


基礎報酬は全員に均等。

→ ダンジョンマウス講は上位者のみ。


③ 透明性


魔法陣が全記録を可視化。

→ ダンジョンマウス講は収支を隠す。


④ 継続性


価値提供と活動が循環して永続する。

→ ダンジョンマウス講は新規加入者が止まると崩壊。




第五章 特許権の保護

・権利者トシサトウに全権利がある

・使用者は売上の三割を支払う

・魔法妨害は全て無効化

・効力はダンジョン内部限定





〜〜〜〜〜




家でパソコンをいじっているとディスプレイの前に半透明のウィンドウが現れる。



これはこの前商人ギルドで経済特許を申請していたものだ。契約魔法で受理されたら通知が行きますと言われた。これのことかと納得した。



商人ギルドでは他の人が特許を持っているものをお金を支払えば使えるということを聞き、その場でこのシステムを改良してみた。

魔法術式がたくさんあってなかなか面白かった。

それを使えば現実ではできないことができると思ったんだ。


それで出来たのがこのシステムってわけだ。

ちょっと名前は厨二病だけど。マサトくんがこの名前が絶対いいよ!って押しに負けちゃった。



あと、これは僕が実業として使うかはわからないからダンジョンの中の人たちが使ってくれたら嬉しいな、くらいの気持ちで作ったんだ。いいことのために使ってくれたらいいな。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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