5話 帰還
あれから2階層は入り口まで1時間ちょいで戻ることができ、1階層は40分ほどで戻ることができた。
一本道だとわかっていることと敵も何が出るかわかっているとスムーズに帰ることができる。
入り口付近に着いた時には深夜2時が過ぎて、もうすぐ3時になろうとしていた。
「てっちゃん、念の為に隠密使って入り口の外を見てきてくれないかな!誰かいると困るから!その時ダンジョンの外でスキル使えないパターンだったらすぐ戻ってきて!」
「おっけ!確かに外では使えるかわからんしな!行ってくるわ!」
そう言っててっちゃんは外に向かった。
その間に俺はステータスを確認しておこう。
レベルは4になっていて、スキルはさっきと変わっていない。
帰りの戦闘で身体強化が少し強くなってきている気がしたがやはりレベルアップの影響だったみたいだ。
そうこうしている間にてっちゃんが戻ってくる。
「てっちゃんどうだった?」
「外は誰もいなかった!あと、外でスキルとステータス使えたぞ!」
「お!それはよかった!これは外の世界が劇的に変わるぞ、楽しみだ」
「そうだね、僕も武器作成でいろいろ作ってみたいから楽しみだな」
「俺は隠密でなんか楽しいことでもしちゃおっかなぁ笑」
「おい!さすがに警察沙汰になるようなことはやめてくれよ!」
そんな話しをしながらダンジョンの出口の方に歩いていく。辺りの警戒は怠らずに誰にも見られないように出ていかなければいけない。
穴から出ると駅周辺と言っても田舎なので真っ暗でひとっこひとりいない状態である。
ピロンッ
《ダンジョンから帰還しました。ダンジョン限界値計1243減少》
これはとりあえず無視だ。
俺らは何食わぬ顔で駅方面までスキルやモンスター、魔石などのことを喋りながら歩いて行く。
始発までは後2時間ほどあるので駅のベンチで今後のことについて話をしておく。
まず決まったのはダンジョンに入ったこととスキルのことはまだ秘密にしておくこと。
これから日本や世界でもニュースになるだろうから、その影響によって身の振り方は考えなければいけないだろう。
その後3人でネットサーフィンをしてダンジョン関連の話題が上がっていないか探してみることにしたのだが、なんとアメリカの方ではSNSで記事が上がり始めているみたいだ。
時差的にはアメリカは14時くらいか?
確かにあんなに目立つ穴が町にできてたら話題になるに決まっているよな。
調査のためアメリカ全土で侵入禁止となっているみたいだ。
そして、動画サイトにはアメリカ人配信者が本物のモンスター、スライム発見!という動画をあげていてプチバズりしている。まだそこまで話題になってないようで、その理由は合成やCGなどを疑ったコメントが多いからみたいだ。
関連投稿や記事を一通り読んでいると朝日がだんだん昇ってきたみたいで明るくなってくる。
なので解散することに。
「2人とも、この土日で自分のスキルのことを調べといてよ!月曜に共有しよう!」
「おっけ!」「了解だよー!」
俺も始発のバスに乗り家に帰る。
バスに揺られながら目の前に浮かぶ半透明のウィンドウを眺めている。
千夏将人
LV.4
スキル 鉄壁SS 身体強化S 収納A 棒術F
このウィンドウが目の前にあることが厨二病にはたまらなくドキドキする。
バスの1番後ろの端の席でひとりニヤつくのであった。




