21話 心臓が高鳴る
階段は螺旋階段になっており、そこを降りていくと出口には今までダンジョン内ではみたことないくらいの明るい光が見えてきた。
その出口を出た瞬間、目を疑った。
どこまでも続く青空が広がっていたのだ。
辺りは広大な草原で遠くの方には森や山なども見える。気候は20度はないくらいでほんのり暑い。でもジメジメはしてなくて、過ごしやすそうな感じがする。
まるで異世界に迷い込んだような感じがしてワクワクする。
「てっちゃん、これ凄くね!?俺ちょっとワクワクしてきた」
「俺ら異世界転移したわけじゃないよな!?笑」
冗談をいっているとまたあの通知がでてきた。
ピロンッ
《第三エリアで7番目にオープンワールドへ入場しました。対象者に報酬が与えられます》
ピロンッ
《世界で3番目にオープンワールドへ入場しました。対象者に報酬が与えられます》
ピロンッ
《日本で2番目にオープンワールドへ入場しました。対象者に報酬が与えられます》
ピロンッ
《転移陣の行き先に追加されました》
まずはこの出てきた円柱状の建物?の横にまた魔法陣があったので乗ってみると行き先が表示された。
転移先一覧
・1階層
・5階層
・10階層(草原)
とのことでやはり便利ですね、転移陣。
でも、今回もまだ帰らない。もう少しだけ探索してから帰りたい。なので魔法陣から降りて、次はちょっとステータスを見てみることにした。
千夏将人
LV.10
魔力 100(+500)(+500)
スキル 鉄壁SS 身体強化S 収納A 棒術F 健康SS
補助魔法S 投擲F 魔法耐性SS 自然治癒S
この第三エリアと世界の報酬が大きいような気がするなぁ、日本何番目ってやつが魔力と収納だろう。世界各国に収納持ってるやつ何人かは絶対いるということになるよな。この感じだと。
今回のスキルも防御系な気がするんだが、なんかダンジョンの意思とかあるのかよ!?俺もカッコいい魔法うってみたいのに。
「てっちゃんどうだった?」
「俺はまず10レベになったのと魔力がまた500増えて、スキルが消音SSと回復魔法[体力]Sだったぜ!けっこう使えそうなスキルじゃね!?」
「確かにもう暗殺者教室の開校も夢じゃないな笑」
「確かに。もう確定だわ。」
さて、これからどうするかというと、とりあえずこの辺りを探索してから帰還しようと思う。
もうゴールデンウィークも終わりに近づいてきてるので、後は下見のつもりで見ていく。
〜〜〜〜〜
草原を歩いていると遠くの方に動物の群れみたいなのがいる。多分ウルフだと思うが前のより少し大きなウルフで20匹くらいいそうだ。そのウルフの群れはそのウルフより2回りほど大きな豚を集団で狩っていた。
この草原ではモンスター同士も弱肉強食で攻撃しあっているみたいだ。
だか、その豚はいきなり電気を発した。
バリバリバリバリッ!!
豚の周囲2メートルほどまで電気の膜ができた。その電気の攻撃でウルフは半分ほど瀕死の状態になり、数体は豚の突進で死んで霧となって消えた。
が、ウルフも負けじと豚に噛み付きや引っ掻きや噛んで攻撃している。そしてついに豚の方が先に倒れて消えていった。豚からは豚肉と魔石のドロップがあり、それをウルフが集まって食べていたかと思ったら、こちらに気付いてすぐにウルフがこちらに向かってくる。
群れには1匹だけさらに大きな個体がいて、そのリーダーっぽいウルフを先頭にこちらに勢い良く走ってくる。が、15メートルほどまで接近したとき急に動きを止めた。
次の瞬間、群れはそのまま回れ右をしてどこかへまた走り出していったのだった。
今までモンスターは決められた行動をしている感じがしていて、逃げるということもなかった。オープンワールドになった影響でモンスターは意思を持つようになったのだろうか。
とりあえず、下見はこんなもんでいいか。
さて、帰ろう。
俺たちは始めて転移陣で移動してみることにした。
陣に乗ったらまたウィンドウが出たので1階層を選択。途端に辺りは強い光で白く発光した。
一瞬浮遊感があり、もう瞬きをしている間に光は収まり、見たことのある一階層の入り口にいた。




