16話 その頃、トシくんは
僕は佐藤俊、メガネでオタクで華奢な普通の高校生。まぁ所謂モブってやつだ。
家は室町時代から続く家系の長男で妹が1人、母は大学の教員、父は神奈川県警で働いている。
幼い頃から英才教育を受けており、英語もできるし、物覚えもいい方だ。だけど中学の時にいじめにあい、不登校に。そこから一気に学力が低下して今に至る。
高校は少し離れたかったこともあり、地元から電車に乗り25分くらいのところに通っている。
地元から行っている人は数人いるのだがそんなに仲の良い友人でもないため固まったりはしていない。なので入学時からクラスで浮いていた。
まぁしょうがない、人見知りだし。
でも高校では何かチャレンジがしたくて自分で動画を撮影してYoTubeに投稿している。編集などは自分で覚えた。
そして、学校では異世界漫画研究部という何ともワクワクするイメージの部活に入部した。
その部活はなんと今年の1年生、僕と同級生が作った部活だったのだ。入学していきなり部活を作るなんて凄い人だなぁと思っていた。
その人が部長の千夏将人くん、彼は話すとオタクなんだけど見た目は全然オタクじゃない。
むしろカッコいいし、身長もスラッとしていて、筋肉もムキムキなんだ。
毎日異世界マンガやラノベの話をしているが僕も好きだったので毎日が楽しい。
そして、部員の山田哲也くん、てっちゃんと呼ばれていたので僕もそう呼べることになった。嬉しい。
てっちゃんはマサトくんと幼馴染でオタクはオタクなのだけど、めちゃくちゃ陽キャで元サッカー部で運動神経は抜群なんだとか。
なんでこの部活入ったんだろと思ってたけど家庭の事情だとか。聞きづらかったのでそこは聞いていない。
毎日3人で他愛のない話をして普通に学生生活を送っている。なんて平和で楽しいんだ。
そして、あの日ダンジョンができた。
そこからはワクワクと不安が入り混じった難しい感情の日々になった。
初めてダンジョンに行くことになったとき、マサトくんはとてつもない速さの判断力で行動を起こした。未知のものが目の前にある時に突き進める人ってなかなかいないと思うけどマサトくんはそれができる。
一緒にダンジョンに入り、スキルを獲得して、モンスターも倒した。グロいのは平気だけど自分が怪我や死ぬんじゃないかってのが少し怖い。けど、マサトくんは守ってくれる気がしてたからそこは安心していた。
その後、動画の撮影をしたんだけどこれが結構楽しい。編集のしがいもあるし、反応もしっかり来る。
ワクワクが止まらなかった。
僕はサポートしたいと心から思える。
今後ダンジョンの時代が必ず来ることは分かりきっている。武器作成や鑑定のスキルもあるし、もうサポートしろって言ってるようなものじゃん!
そして、マサトくんとてっちゃんだけでダンジョンに潜ることになったんだけどその時送られてきた動画がどんどん凄くなっていて、もう映画を観ているようだった。
早く編集して投稿したい。
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「続いてのニュースです。
各地で確認されているダンジョンと呼ばれる巨大地下構造物について、防衛省は自衛隊の先遣部隊が所沢、渋谷、新宿にあるダンジョンに突入したことを明らかにしました。
現在、内部は少なくとも三階層まで確認されており、その三階層でモンスターと呼ばれる未知の生物による複数の負傷者が出ています。なお、死者は確認されていないとのことです。」
「一方、アメリカでは先週、軍によるダンジョン攻略作戦中に四階層での交戦が発生し、兵士三名の死亡が確認されています。政府関係者は国内での安全確保を最優先に対応を進めると述べていますが、世界各国でダンジョンの存在が確認される中、国際的な混乱が広がりを見せています。」
「市民の間では、モンスターが外に出てこないのか街が襲われるのではないかといった不安の声も多く上がっています。また、一部の過激派団体はダンジョンの探索権は全人類にあるとして、政府による立ち入り制限に抗議。『ダンジョンを一般に解放せよ』との声明を発表しています。」
「防衛省は、引き続きダンジョン内部の調査と安全確保を進める方針です。」
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僕は今ニュースを見ている。
えっ、これって今マサトくん達がいるところのことだよね?普通に突破してたみたいだけどスキルの差ってここまでであるんだ。
このニュースを見た後にあの動画を投稿したら絶対反響あるに違いない。
早速、作業に取り掛かる。




