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我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができたら〜  作者: 一日千秋


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111/113

110話 てっちゃん初の、、、



俺たちはガルドランドの闘技場へとやってきた。


ここの闘技場は今まで見てきた中で一番大きな闘技場で、岩山をくり抜いて作られたかのような荒削りだが威厳のある造りになっている。



そして、外からでもわかる会場の熱気。この街の獣人たちの狂気じみた歓声と悲鳴が闘技場を包み込んでいる。



俺たちが観客席へ入るとすでに試合が行われていた。



「お、ちょうどてっちゃんのランキング戦やってるじゃん」



「本当だ!てっちゃーん!がんばれーー!」

トシくんが大声で応援する。




が、その時、まさかの出来事が起こった。




『おっとーー!ここでガルドランドランキング1位の現獣王の息子ぉガリアルが魔装(ライオン)を発動したぁぁ!!そして、なんと魔装(チーター)魔装(ゾウ)の三重発動だぁぁ!!!』



ガリアルはライオンの獣人で筋骨隆々な体を持ち、魔装の効果により複数の色のオーラを身に纏っている。


その体躯はとてつもない速さと力強さを兼ねさ耐えててっちゃんに迫っていく。



『ガリアルの突進だぁぁ!!!』



てっちゃんのスキル隠密は明るい場所なら目を離さなければ見失うことはない。なのでなかなかスキルを使わせてもらえない状態のようだ。



『テツヤヤマダァァ!!怒涛の勢いはぁぁ、ここまでかぁぁぁ!?』



そして、てっちゃんの投げたナイフは全て弾かれてしまい、追いつかれて反撃をくらってしまう。



『決まるかぁぁぁぁ!?』



「ぐあぁっ、、」


ガリアルの持っている巨大なバトルアックスはてっちゃんの肩から胴体を斜めに引き裂いた。


そして、その瞬間てっちゃんは光に包まれ、転送されていった。



『決まったぁぁ!勝者ぁぁ!獣王の息子ぉぉ!ガリアルゥゥゥ!!』






「うわ、て、てっちゃん、大丈夫かな?」

トシくんはとても不安そうな顔で俺に問いかけてきた。


「早く控え室いってみよう」





俺たちは観客席から急いでてっちゃんの控え室に向う。



ガチャッ

トシくんは控え室の扉を勢いよく開ける。


「てっちゃん大丈夫?」

トシくんは心配そうに近寄る。



「お!来てくれたのか!いやーまいった!やられちまったよ、、、体はなんともないぞ!」



「てっちゃんって闘技場で死んだことあるのか?」

俺はいつもの冷静なトーンで聞いた。



「いや、実は今日が初めてなんだ、なんか不思議な感覚だったな。てか、、、俺、まだまだ弱っちぃなぁ。」



「相手強かったな、、、」



「でも、多分マサトなら勝ててたと思うんだよなぁ。悔しいぜ、、、」



いつもとは違いてっちゃんは少し俯いて落ち込んでいる様子だ。


てっちゃんでもこんな顔するんだな。



「あ、てっちゃん!さっきの相手が使ってた魔装ってやつ!スクロールでもあるんだよ!さっき見つけたよ」



「そうなのか!ありがとな!今度使ってみるよ!」


てっちゃんはいつもより控えめな笑顔で帰り支度をしながら返答した。多分無理してるな、これは。




ダンジョンの中で俺たちはまだまだちっぽけな存在なのだろう、深層に行けばどんな危険が待っているのかも全く想像できない。



俺ももっと強くならないと、2人を余裕で守れるくらいに。




「さて、じゃあ少し休んだら次の階層に進もうか」



「そうだな!」「そうしよ!」



俺たちはまたダンジョン攻略に戻るのであった。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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