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我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができたら〜  作者: 一日千秋


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108話 喧嘩上等



このガルドランドでは強い奴が正義という風潮があり、この街を収める獣王がそういう方針なのだとか。


そして、この街の冒険者ギルド、商人ギルド、銀行のスリートップがお互いに力で牽制し合っているので組織的なルールはしっかりしているみたいだ。



だが、末端の国民たちの細かいやりとりなどは喧嘩をすることでどちらが正義かを決めるルールがある。



もちろん、この街にも闘技場はあるのだが街の至る所で人だかりができている光景を目の当たりにする。



そして、今、俺はその国民に声をかけられている。



「おい、お前この辺で見かけない顔だな!ちょっと力試しに殴り合うか!」


ゴリラの獣人が話しかけてくる。



「え、俺ですか?」

なんだ、その理由は!と思いながら返事をする。



「そうだ!ヒョロいヒューマン!お前ちょっと可愛がってやるよ!」



「じゃあ、よろしくお願いします」

俺は淡々とした口調で了承する。



「ゴルテオの息子、ゴルタフがお前を指導してやる!おい!みんなぁ決闘だぞぉーー!」

ゴルタフは周りの注目を集めるために大声で喧伝する。



「お!なんか始まるぞ」

「やったれー!」

「ヒューマンに獣人の力を見せてやれー」

街の獣人たちのヤジが飛ぶ。


すぐに周りにいた獣人たちが集まってくるとその人たちで周りに円ができる。




「お前も名乗れ!」



「あぁはい、チナツマサトです。」

俺は真顔で返事をする。



「マサトくん気をつけてよ!」


「マサトなら大丈夫だろ」

トシくんは心配してくれたがてっちゃんはこれっぽっちも心配などしてくれなかった。まぁ俺はそれでいいのだが。



「よぉし、じゃやるぞっ!戦闘不能か降参かで決着だ!いくぞっ!!!」

ドシドシと煩い足音を立てながらゴリラが突進してくる。



俺は足を踏ん張り腰を落とす。

ゴリラがドラミングもしながら迫ってくると俺はその懐に向かってダッシュする。


瞬く間にゴリラの目の前に移動するとコイツをギャラリーの方へ吹っ飛ばすくらいの威力でその膨れ上がった大胸筋を殴りつけた。



「ヴボォッ!!」


ゴリラは衝撃に耐えられず、吐血しながら飛んでいき、ボガンッ!ホゴッ!ドゴッ!と音を立てながらギャラリーをボーリングのピンのようになぎ倒していく。






その衝撃的なシーンを見た街のギャラリーたちは開いた口が塞がらないでいる。





しんとした中、俺は独り言のようにつぶやく。

「勝者は俺でいいですかね?」




すると、周りからはパチパチとまばらだが拍手が聞こえてくる。



「おい、やべぇぞ、あのヒューマン」

「あのゴルタフが一撃かよ」

「本当にヒューマンかっ!?」

「こ、こえぇよ母ちゃん」




周りの獣人たちは一歩引いて、俺のことをやばい奴みたいな目で見てくるではないか。

お前らが仕掛けてきたんだろうと呆れる。



「他にやりたい奴はいるか?」


俺がそう言いながら目を合わせた奴は頭が千切れそうなくらいに左右に首を振っていく。



「ひゅ〜、マサトかっくいぃ〜!」

てっちゃんがおちょくってくる。


「てっちゃんもやってくれば?」



「おお、俺は闘技場でいっかな〜!」


大勢いるギャラリーたちが勝手に俺たちを避けていくのでそのギャラリーたちの壁から抜け出すことは容易だった。



「さてと、テンプレイベントは終わったな。街の散策でもいこうか」



「そうだね、何か面白いものでもあればいいけど」



「俺はまた闘技場いってこようかな〜」



俺はトシくんと街の散策をすることにして、てっちゃんは闘技場に行くらしい。

ほんと闘技場好きだな。




さて、これだけ目立てば、難癖つける奴はいないだろう。散策を楽しむとするか。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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