103話 沙羅ちゃん、ありがとう
サラちゃん本当に凄かった。大会で優勝するなんて!私の憧れ。あぁカッコいいな。
でも、その後のエキシビジョンマッチでなぜか山田くんじゃなくて、千夏くんと戦うことになったみたい。
なんでだろう。
でも、久しぶりに山田くんと千夏くんを見れたのも何だか嬉しかった。
試合はサラちゃんが負けちゃったけど、それは試合だからしょうがないよね。
そうだ!あとで千夏くんに話しかけてみよっと。
そして、全てのイベントが終わり、解散になった。
そこで私は千夏くんに近寄っていく。
「やっほ!千夏くん覚えてる?」
「えっと、ん?え?黒宇須?何でここに?」
千夏くんは目を丸くして驚いていた。ビックリした顔面白かったな。
〜〜〜〜〜
私は鮮血の乙女という4人組パーティのメンバー黒宇須杏奈です。
中学3年に上がる時に親の転勤で横浜に引っ越してきました。本当は地元を離れたくなかったんだけどしょうがない。
高校は家の近くの私立高校に進学しました。
入学して私はいつも教室の端っこで1人座っていたんだけど、初めて話しかけてくれた子が小鳥遊沙羅ちゃんだった。
「ねぇあなた、名前はなんて言いますの?」
「え、私は黒宇須杏奈っていいます。」
「杏奈さんね、よろしく。同じクラスの小鳥遊沙羅ですの。あなた変わった苗字ですのね。」
「小鳥遊さんも珍しいですよね」
そんなありふれた会話から私の青春は始まった。
沙羅ちゃんって凄くて、行動力オバケなの。
遊ぶっていったらとことん遊ぶし、勉強もとことんやるし、運動も練習量がとてつもない、小さい時からやってる剣道だって日本一位になっちゃうし、カッコ良すぎるよ。ほんと。
私は事あるごとに沙羅ちゃんに誘ってもらい一緒に過ごした。
そんなある日、世界にダンジョンができた。
「私、ダンジョンに行ってみたいんですの、あなたたちもご一緒にどうです?」
いつもクラスで一緒にいる女の子3人に沙羅ちゃんは問いかけた。
「私はちょっと怖いけど沙羅ちゃんと一緒なら行ってみたいかも!私ダンジョンとか異世界とか好きなの!」
私は即答した。
だってワクワクするから。
6年生の時にはもうこれ系の漫画にハマり、中学ではラノベにどっぷりハマってしまった。
そして、こういう漫画とかの会話をよくしていたのが小中学校で何度かクラスが被ったことのある千夏くんでした。
どんなスキルが欲しいとか、こんな世界だったらとか厨二病な会話を良くしてたっけな。
まぁその話は置いといて、他の2人もダンジョンへ行きたいとの事で私たちは沙羅ちゃん考案の鮮血の乙女というパーティを結成することになりました。
パーティ名はまぁしょうがない少し恥ずかしいけど。
沙羅ちゃんのお父さんはとても大きな会社の社長さんで娘がダンジョンに入ると言い出したとき反対したらしいが、沙羅ちゃんがそれで諦めるわけもなく、無理なら勝手にいくからと言い出した。
なのでお父さんはしょうがなく、ダンジョン用の装備や武器など揃えられるだけ揃えてくれた。
しかも、私たちの分まで。
あぁ実家太いってこういう事か、、、
最初にダンジョンに潜る時は沙羅ちゃんのお父さんが絶対に護衛だけは連れて行けと言っていて、沙羅ちゃんもそこまで言われたらさすがに了承していた。
そんなこんなでダンジョンに潜り始めてみんな少しずつスキルや魔法を手に入れ始めて、少し経った時、山田くんがダンジョン系YoTuberの活動していることを知った。
「ねぇ、このYoTuber杏奈さんのお友達なんですって?」
「うん、一応小中が同じだったんだよ」
「そうですの。もし出会う機会があったら交流してみてもいいかもしれないですわ」
そして、夏休みにダンジョン合宿をやろうと計画していると山田くんのチャンネルで大会をやることになったんだとか。
それに沙羅ちゃんが参加したいと言い出した。
私たちはもともと夏休みを使って15階層に行く予定だったので丁度いい目標ができたのであった。
「では、大会に向けて出発ですわっ!!」
攻略自体は沙羅ちゃんが圧倒的に強いのでトントン拍子に15階層へ到着することができた。
ありがとう、沙羅ちゃん。
街に到着するとすぐに大会参加の受付をしにいくことになった。
そこで受付へ行くと山田くんともう2人の男子がいた。
え、千夏くんだ。
まさかだった。
でも、目があったけど気づかれなかった、、、
1年半ぶりでも普通気付くでしょ!もうっ!
その後私たち3人は観客席で試合を観戦することに。
沙羅ちゃんは順調に勝ち上がり、決勝戦でも勝利し、優勝を果たしたのであった。
イベント終了後、私はどうしても千夏くんと話したかったので彼に近づき、勇気を出して話しかける。
「やっほ!千夏くん覚えてる?」
「えっと、ん?、、え?黒宇須?何でここに?」
「私、鮮血の乙女のパーティメンバーなんだよ!」
「そうだったんだ、さっき受付の時、気付かなくてごめんな。元気してたか?」
「うん、元気だったよ!千夏くんは?」
「さっきの試合を見てくれたんならわかるだろ」
「まぁそうだね、元気そう!」
そこへ沙羅ちゃんがきた。
「ねぇあなた、千夏さんと言ったかしら?今度、杏奈さんの地元に行くの。たばこ祭りってやつ。あなた達もどうかしら?」
「え、そうなのか?黒宇須?」
「うん、今度おじいちゃんのお墓参りも兼ねてそっち戻るんだよ!その時にお祭りも行くの!」
「いいじゃねぇか!マサト!行こうぜ!」
山田くんがテンション高く登場した。
「ああ、じゃあ行こうか」
「杏奈さん、楽しみですわね」
沙羅ちゃんがニッコリした笑顔で私に言う。
「まぁ、、、うん。そうだね」
私は頬は赤く染まってる気がした。
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いつになるかわからないですが、この作品が完結した後にこの話から違う角度の作品を作る予定ですのでお楽しみに!




