ep.49『Basket Case』
礼堂:「どういう意味だ?やまとなでしこがいたって。松嶋菜々子がいたのか?」
冬月は呆れ顔で手を振った。
冬月:「いるわけねーだろ。まぁ映像見てみろよ。秀治さんの女好きが役に立ったよ。」
礼堂:「おう。」
礼堂と冬月は肩を寄せ合い、PCの画面に目を凝らす。映像の早送りの音が部屋に軽く響く。
冬月:「いや、紗和さんと初めて会ったあとにさ、秀治さんの映像見直して紗和さんがいたって話したじゃんか?その後すぐなんだけどさ、、」
礼堂:「うん」
冬月はリモコンを握り、映像を一気に早送りする。画面が止まり、紗和が映る。
冬月:「見てろよ。これが紗和さん。でその後。」
画面には紗和にとても似た女性が映っている。
礼堂は思わず前のめりになる。
礼堂:「え!これって、、、?」
冬月:「秀治さんから送られてきて初めて映像見た時も、この2人似てるなぁって思った記憶はあったんだよ。」
礼堂は苦笑しつつ腕を組む。
礼堂:「お前の女好きも役に立つことがあるんだな。」
冬月は胸を張る。
冬月:「プロファイリング力と言ってくれ。」
礼堂:「ってことは、、」
冬月:「俺が一昨日の夜見たのはこの人かもしれない。」
礼堂:「なるほどね。ただ、どうやってこの人を追えばいいんだ?」
冬月は少し黙り、顎をさすりながら視線を泳がせる。
冬月:「そ、、、それは〜、、だな。」
礼堂:「うん。」
冬月は急に指を差して茶化す。
冬月:「礼堂くん!君をどうやって追えばいいか担当大臣に任命する!」
礼堂:「なんだそれ、、。まぁでもそもそも川端さんと知り合いかも分からなくないか?」
冬月:「それでいうと、その可能性は低くないと思う。」
礼堂:「どうしてだ?」
冬月はわざと勿体ぶるように間を取った。
冬月:「お前らがトイレでデータ移してる時に川端さんに泊まっていいか聞いたんだよ。」
礼堂:「図々しいなお前、、。」
冬月は両手を広げて弁解する。
冬月:「いやそれも戦略だから!そしたらさ、これから約束があるからって言われたんだよね。」
礼堂は少し考え込み、手を打つ。
礼堂:「あれだいぶ遅くなってたもんな。それは確かに可能性あるかも!さすが冬月先生!」
冬月:「だろ?まぁでも結局どうやって追えばいいか分からないけどな。。。」
礼堂は天井を見上げながら呟く。
礼堂:「富士田に頼むか。」
冬月:「なんだよ社長室盗聴でもさせる気か?」
礼堂はにやりと笑う。
礼堂:「冬月、、、それだ!」
冬月:「いやいや!あいつホントその内クビになるぞ!」
礼堂:「まぁいっそクビになって配信者として生きてくってのも悪くないだろう。」
冬月:「いやあかんやろ。」
そう言いながら、冬月はポケットからスマホを取り出し、迷いなく操作を始めた。
礼堂は腕を組み直し、ぼそっと呟く。
礼堂:「そうだよなぁ〜。まぁこんな冗談言ってないでちゃんと方法考えるか〜。」
その直後、冬月が通話を繋げ、軽快に声を張った。
冬月:「おう!まぁそういうことだから!俺は止めたけど礼堂がやれって!恨むなら礼堂を恨めよ!グッドラック!」
通話が切れる。沈黙が一瞬流れる。
礼堂は額に手を当て、低い声で尋ねた。
礼堂:「なぁ、、、今の電話ってもしかして、、、。」
冬月:「うん。富士田。盗聴しろって言ったよ。」
礼堂:「え?まじ、、?あれ冗談なんだけど。」
冬月:「もう言ってしまった。。。」
礼堂:「はぁ。。もうあいつに託すか。」
冬月は椅子にふんぞり返り、思い出したように口を開く。
冬月:「なぁ、、そういえばあの件どうなってる?」
礼堂:「あの件?あぁあれね。まぁあらかた決まってはいるよ。今電話して聞いてみるよ。」
冬月は伸びをして、大きく息を吐いた。
冬月:「オフ会ぶりに頑張るか〜。」
礼堂は微笑を浮かべ、頷いた。
礼堂:「そうだな。」




