ep.28『Space Oddity』
2週間後の金曜日、礼堂の提案通り、一同が夜魔のバーに集まった。
礼堂:「皆さん、お集まりいただき本当にありがとうございます!」
冬月:「僕たちは同じ目的を持った同志です!いわば本日は決起集会です!」
礼堂:「積もる話も多々あると思いますので、挨拶はこのくらいにして、今日はたくさん飲みましょう!」
礼堂&冬月:「乾杯!」
一同:「かんぱーい!」
礼堂:「いや〜夜魔さん、わざわざ貸切にしてもらっちゃってすみません。。」
夜魔:「いいんだよ、俺もこうしてみんなが集まる場を提供できるのが嬉しいんだ。それに…1割もらえるしな!」
礼堂:「まだまだ気が早いですよ。ただしその話は内緒で。」
夜魔:「任せとけ!昔から口の堅さだけは誰にも負けたことがない!!ハッハッハ!」
冬月:(口の堅さでどうやって勝敗決めるんだよ、、、)
礼堂と冬月が微妙な表情を浮かべる中、一同は楽しげに会話を繰り広げていた。
野田:「紗和ちゃん、ほんと久しぶりだね!今年でいくつになったの?」
紗和:「いやだ〜野田っち!一つしか変わらないじゃない、今年で46よ!」
野田:「えぇ!?全然見えない!美魔女だな!」
紗和:「嬉しいけど、"魔"は余計よ。」
秀治:「まさかフジキンさんと飲めるとは!ほんと来た甲斐があったよ!」
富士田:「いつもご視聴いただきありがとうございます!」
そんな和やかな雰囲気の中、突然紗和が絡み出す。
紗和:「ヒッ…ヒック…メガネ!おい!なんか文句あんのか!?…あれ?お前もメガネか。」
紗和の酔っ払いモードに突入し、ターゲットとなったのは富士田と秀治だった。
富士田:「あ、あ、はい!すみません!」
秀治:「へぇ〜、怒った顔も可愛いじゃん。」
そんなやりとりを見た野田が礼堂と冬月に耳打ちする。
野田:「ダメだよ〜紗和ちゃんにお酒飲ませちゃ〜。ああなっちゃうんだから!」
和気藹々とした空気を変えるように礼堂が場を仕切る。
礼堂:「皆さん、今日はですね、もちろん楽しい飲み会として集まっていただきましたが、せっかくなので情報共有もしていきたいと思っています。ここからは少し真面目にいきましょう!」
「まずは自分達がどのように今回の事件を知り、皆さんと出会い今日まで至ったのか、冬月の方からザクっとですがお話しさせて頂きます!では冬月!よろしく!」
そう言って礼堂は冬月に振り、真剣な表情で話し始める冬月。
冬月:「えー。では僕から、、、まずですね、、、
僕がこの世に誕生したのが…」
富士田:「いやそこからかい!!」
一同:「アハハハハ!」
軽いジョークで場を和ませた冬月は、事件の経緯を簡潔に説明していった。
冬月:「…そして今日に至るわけです。」
秀治:「なるほどね〜。じゃあ今なんとなく怪しいのは、とりあえず富士田くんとこの社長の、川端ってこと?」
礼堂:「まあ、そんな感じではあるんですが、川端についての情報が少ないんですよね…。」
冬月:「富士田さ、あれ以来何か社内で変わったこととか、怪しそうな話とかない?」
富士田:「うーん、実際なかなか社長室に行く機会もないからね。でも、ひとつだけ気になる話がある。」
礼堂:「どんな話?」
富士田:「社長、経歴的には順風満帆な感じなんだけど、一回大きな壁にぶち当たったことがあるらしいんだ。」
冬月:「へぇ〜、どんな壁?」
富士田:「詳しくはわからないけど、昔大きなプロジェクトがあって、その競合相手に負けたらしい。その時期は社長もかなり参ってたみたいだよ。役員の人から聞いた話だけどね。完璧に見えるからこそ、その時のことは印象的だったって。」
礼堂:「なるほど…。それにしても川端社長も大変だよな。俺の知り合いには、毎日“確認”という壁にぶち当たってるやつもいるけど…」
冬月:「やめろ!!!」
礼堂の冗談で再び場が和み、一同は事件解決に向けてさらに深掘りする準備を整えていったのだった。
様々な憶測が飛び交い、会話が盛り上がる中、
店のドアが突然開いた――。
「お疲れ様でーす!!」
一同が振り返ると、そこには末吉の姿があった。
礼堂: 「え!末吉さん!お久しぶりっす!」
冬月: 「あれ?末吉さん、休暇は終わったの?」
末吉: 「うん!少し前から復帰してるよ!」
夜魔: 「おい末吉、今日は用事があるって言ってたじゃないか?」
末吉: 「そうだったんですけど、急に予定が変わっちゃって……。自分が仕事するんで、夜魔さんはみんなと楽しんでください!」
夜魔: 「助かるよ〜。みんな、ウチの店長の末吉だ!よろしくな!……って、ほとんど知ってるか!ハッハッハ!」
末吉が深くお辞儀をし、顔を上げた瞬間、何かに気づく。
末吉: 「あれ?以前会ったことありますよね?」
その視線の先にいたのは紗和だった。
紗和: 「えっ?わ、わたしですか!?い、いや〜どこで会ってますか?」
末吉: 「こちらに来るのは初めてですか?」
紗和: 「初めてです!!そもそもバーなんてほぼ行かないので……。」
末吉: 「あ、そうですか。ごめんなさい……勘違いかもしれないですね!」
(心の声):「いや、こんな綺麗な人を間違えるわけないと思うけどな……。」
微妙な空気を感じた野田が、軽く場を和ませるために口を開く。
野田: 「末吉くん、さては紗和ちゃんを口説こうとしてるんでしょ〜?」
末吉: 「あっ、バレました?(笑)やっぱ野田さん鋭いですね〜。」
紗和: 「こらこら、あんまりからかわないで!」
そんなやり取りを見ていた礼堂が、ここぞとばかりに胸に秘めていた質問を口にする。
礼堂: 「そういえば、紗和さんとボウさんって、どうやって知り合ったんですか?」
いきなりの質問に、一瞬固まる紗和。アルコールの影響もあってか、顔がほんのり赤くなる。
紗和: 「え、えーとですね……。」
困ったように笑いながらグラスを手でいじりつつ、紗和が当時の記憶をたどり始める、、、、。




