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夢の果てまで
遠のいていく、意識。
そして、ふと目を開けると、俺はどこか知らないバス停のベンチに座っていた。
空が白んでいる。暗い夜に、群青が見える。視界は、思った以上に広かった。
腰をベンチから離して、足を動かす。すぐに、絶壁が足元に現れた。
「俺は……」
夢、だったのか。
何も残らない、一夜の夢。
それにしては、鮮明で、楽しかった。
「理想だけが……優しい、か。ほんと、その通りだよ、なぁ……」
圧倒的な現実。眼下に見える、白波の舞に、それが募る。
でも。
「俺は……」
本当に、直接助けてくれるわけじゃないとしても。
「……俺は、あの夢の続きが、もう一回、みたいなぁ」
そう、呟いていた。自然と、言葉が口から洩れた。
そして、導かれるように水平線を見上げる。ずぅっと続くその先に、境界線のない一本の線。
眩しさが、左から差した。
見たいんだ。
俺は、あの続きに、やっぱり、出会いたいんだ!
いつか。
いつか!
「絶対に出会ってやるぞお!!! あの夢の続きにぃ!」
思わず出した大声は、反響しながらどこまでも、海のかなたへ飛んで行った。




