186.ペオニー攻略戦 その4
ペオニーから無数の『何か』が飛散する。
それは弾丸のような速度を伴って、全方位に放たれた。
(銃弾……いや、違う。これは――)
強化された視力、そして研ぎ澄まされた集中力が『ソレ』が何なのかを教えてくれた。
――種だ。それはどんぐり程の大きさの無数の種。
それは今までのペオニーのスケールに比べれば余りにも小さく見えた。
だが直径わずか数センチしかない種に込められた禍々しさは根や蔦の比ではない。
あれはヤバい。
絶対に喰らってはいけないと、スキルと本能が警鐘を鳴らす。
「――ッ!」
俺は即座に前方にアイテムボックスによる『壁』を展開する。
種が通り抜けれないよう、わずかな隙間も作らないようにガチガチに密集させる。
コンマ数秒後――ズガガガガガッッ! と前方に作り出した壁とペオニーの種子が激突した。
一瞬、これで防ぎきれるのか、という不安が脳裏をよぎる。
「……」
音が止む。
貫通は――無かった。
安堵のため息が漏れる。
威力自体はそれほどでもなかったようだ。
種子は全てアイテムボックスの『壁』によって防がれた。
「な、何だったんですか、今のは……?」
呆然とする西野君をよそに、俺は即座にソラに指示を出す。
「ソラッ! 早くここから離れるんだ!」
『ヌ――?』
ソラも一瞬訝しげな声を上げるが、すぐに何かを悟ったのだろう。
一瞬で身を翻し、ペオニーから離れようとした。
それは正しかった。
前方に作り出したアイテムボックスの壁。
それが重力に従い落下しようとした瞬間、バラバラになって弾け飛んだのだ。
「な――ッ!?」
なんだ……あれは?
『それ』をどう表現したらいいのか。
そこに浮かんでいたのは直径一メートルほどの緑色の球体だった。
巨大なマリモ――とでも表現したらいいのだろうか?
表面から無数の触手のようなものが蠢き、球体というよりは無数の触手が絡まってかろうじて球体の形を成しているようにも見える。
なんかクトゥルフ神話にこんな化け物が居たような気がする。ジュブなんとかっていうやつ。
それも一体だけではない。
見えるだけでも数十体の巨大マリモが空中に漂っている。
(……まさかさっきの種から生まれたのか?)
それが今の一瞬でこのサイズまで急成長した? そんな事があり得るのか?
いや、そもそもモンスターやスキルに常識を当てはめる方が間違ってるのだろうな。
落ち着け、冷静に状況を分析しろ。
あの種は、ペオニーから全方位に発射された。
つまり――
「く、クドウさん……下を、下を見て下さい」
「……下?」
西野君に言われ、下を見る。
絶句した。
眼下に広がる街並みが緑一色に埋め尽くされていた。
巨大なマリモが町を埋め尽くすという異様な光景。
破壊され尽くした町並みと相まって、一層終末世界という言葉を連想させた。
植物による現代社会の蹂躙。生態系のピラミッドが砂時計のように逆転したかのような異常事態。
『―――』
呆然とする俺たちの前で、巨大なマリモの表面が皮のようにベロンと剥けた。
そこから現れたのは口だ。
人間のような歯並びの悪い歪な口が、巨大マリモの複数個所から現れる。
『――サナイ……』
声が、
『――許サナイ』
『許サナイ』『許』『――サナイ』『許ルルル』『――セロ』
『許サナイ』『腹ガ減ッタ』『食ワセロ』『痛イ』『――シテ』
『――タクナイ』『苦シイ』『食ワセロ』『喰ワセロ』
『食ワセロ』『喰ワセロ』『食ワセロ』『喰ワセロ』『喰ワセロ』『喰ワセロロロロロオロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』』』』』』』』
ガチガチと歯がぶつかり合う音が無数の声と混じり合う。
それは背筋がゾッとする程に不気味な光景だった。
ペオニーとの決戦において、懸念事項はいくつかあった。
その一つが、ペオニーが持つ『未知のスキル』の存在だ。
根や蔦による攻撃、再生能力、自動防御、花粉による幻覚。
既に強力なスキルはいくつも見てきたが、それ以外にもペオニーにはまだ見ぬ奥の手があるんじゃないか。
その可能性がずっと頭から離れなかった。
(本当に嫌な予感程よく当たるもんだ……)
ペオニーに目をやる。
今までとは違う濃密な『気配』を感じた。
それは――『敵意』だ。
アイツは今まで俺たちを『餌』としか見ていなかった。
だからこそ行動も読み易かったし、ダメージも与える事が出来た。
だが今は、
(『餌』じゃなく、『敵』と認識したって事か……)
正直、全然嬉しくない。
どうせならそのまま油断してほしかった。
だが今は何としてもお前らを殺してやるという濃密な敵意と殺気を感じる。
……こうなった以上は仕方ない。
「西野君、作戦変更です!」
「ええ、プランBで行きましょう!」
プランAは駄目だ。プランBで行こう。
事前に、西野君といくつかの作戦を考えておいて本当に良かった。
だがその為にはまず一旦、『安全地帯』に戻らなくてはいけない。
『来ルゾッ!』
ソラが吠える。
同時に宙に浮かぶ無数の巨大マリモたちが動き出した。
ふわふわと空中を漂いながら、無数に開いた口から緑色の舌を伸ばす。
それが一斉に俺たちに向かって放たれた。
「――アイテムボックス・オープン!」
「ギュアアアアアアアアアアアアアアアッッ!」
「きゅー!」
「――『動くな』ッ!」
全員が一斉にそれぞれのスキルを発動させる。
ソラのブレスによって焼かれ、西野君の命令によって停止し、キキの反射によって弾かれ、消波ブロックによって押し潰されて地面に落ちる。
だが、
(――数が多すぎるっ)
数百――いや、下手すれば千体以上か?
数えるのも馬鹿らしくなるほどの巨大マリモの集団、そこから伸びる無数の舌。
そのいくつかが、俺たちの攻撃の隙間を縫いソラの体に絡みついた。
『グッ……!』
ソラが苦悶の声を上げる。
見れば舌の絡みついたソラの脚と尻尾がジュウジュウと爛れはじめていた。
(酸……? いや、毒か!)
絡みつかれた箇所は爛れるだけでなく、紫色に変色している。
不味い――ッ!
「アカ!」
「~~~!(ふるふる)」
即座にスーツに擬態していたアカの一部を『オークの包丁』へとチェンジさせる。
更に刃の部分を鞭の様に伸ばし、ソラに絡みついた舌を切り裂いた。
「~~~~!?(ぶるぶる)」
するとアカが苦しそうに身をよじった。
斬った瞬間、刃に付いた毒液にやられたらしい。
すまん、アカ。今は我慢してくれ。
だがおかげでソラの拘束は解けた。
「ソラ、今の内に」
『アァッ!』
全速力で飛行し、一気に『安全地帯』の中へ戻る。
中へ入った瞬間、俺達を追っていた無数の『舌』が見えない壁によって弾かれた。
……なんとか逃げ切る事が出来たか。
だが問題は解決していない。
地上に降りると、すぐに藤田さんたちが駆けつけてきた。
「――状況は?」
「最悪です」
端的に問うてくる藤田さんに、俺も簡潔に答える。
「予想はしていましたが、やはりペオニーにはまだ俺たちに見せていないスキルがあったようです」
「それが目の前の光景ってわけか……」
振り返れば、『安全地帯』の外側には無数の巨大なマリモが蠢いている。
伸ばしきった舌でべろべろと見えない壁を舐めつくす光景は、見るだけでガリガリと精神が削られていくようだ。
「あの巨大マリモは無数に開いた口から舌を伸ばして攻撃してきます。威力そのものは大したことはありませんが、いかんせん数が多い上、あの舌には毒があるようです」
「毒だと……?」
藤田さんの視線がソラに向かう。
その尻尾と右足には痛々しい傷跡がはっきりと残っている。
『ソラ、大丈夫か?』
『……問題ナイ』
明らかに強がりである。
用意した回復薬で解毒できればいいけど……。
毒が苦しいのかソラは足や尻尾に目をやりながら、ひたすら自分の腹を擦っている。
(ペオニーは……?)
見れば、ペオニーは依然として郊外に陣取っている。
傷はまだ『再生』していない。
体の一部もまだ燃え続けているが、このままではいずれ消火されてしまうだろう。
(気配が変わった……)
ピリピリとした『敵意』を感じる。
やはりペオニーは俺たちを明確に『敵』と認識したらしい。
「オォォォオオオオオオオオオオオ」「喰ワセロォォオオオオオロロロ」
「ギィィイイイイイイイ」「食ワセロォォォォオオオオオ」
無数の巨大マリモたちは一心不乱に『安全地帯』の見えない壁を舌で叩きつけていた。
中に入れないというのに、一体その行為に何の意味があるのか。
そう思った瞬間、巨大マリモの内の一体が『爆ぜた』。
「ギギャ……!」
「ギャ……」
「ギャォ……!」
パンッ、パンッと。
次々に巨大マリモたちは緑色の体液を周囲にまき散らしながら、水風船のように破裂する。
「何だ……?」
その光景に、俺だけでなく西野君や藤田さんたちも訝しむ。
誰もがその意味を理解出来なかった。
だが、
「おい……ちょっと待て……」
やがて誰かが声を上げる。
気付いたのだ。異変の中の、更なる『異変』に。
おかしい、あり得ない。
「なんであの体液……『壁の内側』にまで飛び散ってるんだ……?」
そう、『安全地帯』の見えない壁。
破裂した巨大マリモたちの体液はその内側にまで飛び散っていたのだ。
じゅぅぅぅと焼けるような音を立てて、飛び散った体液が気化してゆく。
「ッ――拙い、みんなここから離れろ! 間違ってもそのガスを吸うんじゃねぇぞ!」
咄嗟に指示を出した藤田さんは流石と言うべきだろう。
その言葉に我先にと、誰もが口と鼻を手で覆い、その場から距離を取る。
間違いなくアレは毒だ。恐らくはソラの体を蝕んでいるのと同じもの。
「でも、どうして……?」
アレがペオニーのスキルだとしたら何故、『安全地帯』の中に入れる?
『安全地帯』の中にモンスターは入る事は出来ず、スキルによる攻撃も弾かれてしまう。幾度となく俺たちの窮地を救ったその法則は絶対だ。
無論、例外はある。
アカやキキ、ソラのように誰か人間のパーティーメンバーに加入すれば一時的に『仲間』として『安全地帯』の中に入る事が出来る。
『仲間』になれば、自由に出入りが出来るし、内側でもスキルを使う事も出来る。
(まさか誰かが裏切ったのか……?)
ここに居る避難民の誰かが俺たちを裏切りペオニーを仲間にした?
一瞬、そんな最悪の事態が脳裏をよぎるが、すぐにその考えを否定する。
違う、そうじゃない。もしそうだとすれば、あの巨大マリモたちも中に入れなければ理屈に合わない。
だとすれば何故……?
同じように隣で考え込んでいた西野君がハッとなったように顔を上げた。
「まさか……クドウさん! 今すぐ、あの『毒液』をアイテムボックスに収納して下さいッ!」
「え……? わ、分かりましたッ!」
反射的に、俺はあの毒液に向かって手をかざす。
すると、毒液はきれいさっぱり消え去った。
「ッ――! まさか……」
すぐに俺はアイテムボックスの収納欄を確認する。
すると『神樹の毒液1ℓ ×1』という表示が現れた。
「神樹の毒液……?」
呆然とする俺に、西野君が声をかける。
「やっぱり、そうだ。クドウさん、あれ多分ドロップアイテムなんですよ」
「ドロップアイテム……?」
「思い出して下さい。俺たちは『オークの包丁』や巨大蟻の甲殻、トレントの枝など、モンスターの武器や体の一部をこの『安全地帯』に運び込んでいた事を」
その言葉に俺はハッとなる。
そうだ。確かにその通りだ。
アカやキキたちのように俺たちの仲間に成らずとも、モンスターの『一部』だけならば、俺たちは今までもこの『安全地帯』に運び込んでいた。
モンスターは死ねばその肉体は消滅する。
だが、死ぬ前に肉体から分離された部分はそのまま残る。
それは洗濯機に付いたゴブリンの血糊や、ソラのブレスで焼き落とされたペオニーの枝のように。他にもモンスターが使っていた『武器』もそうだ。
そういったドロップアイテムを回収し、俺たちはこの『安全地帯』に持ちこんでいた。
「あの巨大マリモたちも恐らく同じです。破裂した瞬間に飛び散った体液は、『モンスター』とは認識されず、ただのドロップアイテムとして残る。だからこそ、『安全地帯』の法則も通用しない……」
「成程……」
確かにそれならば納得出来る。
だが、だとすれば――、
「拙いですね……」
「ええ、これは拙い……」
周囲を埋め尽くすほどの巨大マリモの群れ。
それは地上だけでなく、上空にも無数に漂っている。
「ギギギャ……」
「ギギャ」
「ギギャギャ……!」
上空を漂っている無数の巨大マリモが破裂し、その体液が雨となって『安全地帯』に降り注ぐ。
「ッ――」
すぐにアイテムボックスに収納しようとするが、いかんせん数が多い上、狙いが付けづらい。
アイテムボックスは例えば、バケツに溜まった雨水ならばそのまま収納出来る。
だが、『雨そのもの』を収納する事は出来ない。
どこからどこまでを収納すればいいのか、その明確な線が無いからだ。
(――回収しきれない。手が回らないッ)
とてもじゃないが、俺一人ではこの広範囲にばら撒かれた毒をすべて回収することは不可能だ。
他のアイテムボックス持ちに連絡を――いや、駄目だ。言っちゃなんだが、彼らのアイテムボックスのレベルは俺よりも遥かに低い。とてもじゃないが、この状況をカバーできるとは思えない。
その瞬間、藤田さんが叫んだ。
「落ち着けッ! 非戦闘員は全員建物の中に入ってる! この毒の雨でもすぐにはやられねぇはずだ! 誘導は清水ちゃん達に任せて、俺たちはこのまま攻撃を続行する!」
全員の視線が藤田さんに集中する。
「だ、だが藤田……いくらなんでもこの数を相手に……」
「落ち着け十和田、良く考えろ! こんな便利なスキルを何故ペオニーは今まで使わなかった? 最初からこれを使ってれば、俺たちを皆殺しに出来た筈だ!」
その言葉に俺たちはハッとなる。
そうだ。何故、ペオニーは今になってこのスキルを使った?
こんな便利なスキルがあるなら、もっと早くに使っていればいい。
そうすればあんなに傷つく事も、あそこまで追い詰められることも無かった筈だ。
(――『敵』と認識したから? それとも本気になったから……?)
いや、違う。そうじゃない。
「使わなかった……いや、使えなかったのか?」
「もしくは使うことが、ペオニーにとっての『リスク』になる……?」
俺と西野君の言葉が重なる。
視線を合わせ、互いに頷く。
「ソラッ!」
「藤田さんッ!」
「「今すぐペオニーに攻撃を!」」
にやりと、藤田さんとソラは笑う。
任せろと言わんばかりに、ソラは口からブレスを、藤田さんは自衛隊に指示を出し砲撃を再開する。
「ギュアアアアアアアアアアアアアッ!」
「撃てえええええええええええええッ!」
ブレスが、砲撃が。
緑の軍隊を突き破って、ペオニーへと放たれる。
『~~~~~~~~ッ!』
その攻撃を、ペオニーはガードした。
前方に無数の根と蔦を張り巡らせ、ソラのブレスと、自衛隊の砲撃を防ぎきる。
その光景を見て、俺は確信した。
「――間違いない」
今、ペオニーの行った防御にははっきりとした『意思』を感じた。
それは今までの『自動防御』ではありえなかったことだ。
それはつまり――
「今のペオニーは『自動防御』が使えない」
おそらくはそれが奴にとってのリスク。
この無数の軍勢を率いている間は、ヤツは『自動防御』のスキルを使う事が出来ない。
「クドウさん……」
「ええ……」
これはチャンスだ。自動防御が発動していない今ならば、用意した『切り札』を存分にヤツに喰らわせることが出来る。
ただ問題はそのための仕込みと、ペオニーの誘導だけど――
「クドウさんッ!」
声がした方を振り向けば、ボロボロになった一之瀬さんが六花ちゃんに支えられてこちらに向かっているのが見えた。
だが、
「い、一之瀬さん!? どうしたんですか、その姿は?」
それは余りにも痛々しい姿だった。
服はボロボロに破れ、腕の至る所から出血し、両手の爪に至っては全て剥がれて血がにじんでいる。
だが一之瀬さんは口角を上げ、無理やり笑みを作る。
「こっちは……なんとか撃ちこみましたよ……」
「え……?」
「五十四発分です……。これだけ撃ちこめれば十分でしょうか?」
その言葉の意味を理解するのに数秒かかった。
「まさか……キキの『支援魔法』が切れてからも、あの化け物ライフルを使い続けたんですか?」
「クドウさんや……みんなが頑張ってるんですから……わ、私も自分に出来る事をしないとなって……えへへ……」
「ッ……!」
ぎゅっと彼女の背中に手を回し、その頭を優しく撫でる。
「ええ、十分です……。ありがとうございます」
「最後の弾を撃ってからおよそ五分くらいです。だから多分、そろそろ溜まる頃だと思います」
一之瀬さんに頼んだ仕事はキキの『支援魔法』が切れるまでの間に二十発以上の弾丸をペオニーに当てる事だった。
彼女はその倍以上の数をこなすことに成功した。
俺たちとペオニーの攻防が激しさを増したからこそ、それだけの数を撃ちこんでもむこうにバレないと踏んだのだろう。……全く無茶をする。
「……あとは俺たちに任せて下さい」
「はい……」
六花ちゃんに支えられながら、一之瀬さんはぐっとサムズアップする。
でもありがとう。おかげで準備は整った。
「西野君」
「ええ」
俺と西野君はぐるりと、この場に居る全員を見回す。
「最終作戦を伝えます。全員、良く聞いて下さい」
その言葉に、全員が覚悟を決める。
生き残るか、全てを失うか。
これはそういう作戦だ。
さあ、決着を付けようか、ペオニー。
そして――
「――へぇ、これは意外な展開だ」
その光景を、離れた場所から『彼』も見つめていた。
「ゴルォォ……?」
「ああ、素晴らしい。予想以上だ。まさかあのペオニーが『自我』を取り戻しつつあるなんてね。おまけに切り札の『豊穣喰ライ』まで発動させてる。正直、彼らの力を見くびっていたよ」
口角を吊り上げ、さも愉快そうに笑う。
「スキルに飲まれた状態であれば手の施しようも無かったが、これならば話は別だ。ふふふ、完全にこの町を離れないでいて正解だったよ」
「ゴルゥ……?」
「そうだね、動こう。上手く事が運べば『暴食』と『嫉妬』、それに『あのスキル』も――全て私たちが手に入れることが出来る。この機会を逃す手はない」
そして彼らも戦場へ――。
特記事項
スキル『豊穣喰ライ』
ペオニーが保有するスキル。
『豊穣喰ライ』と呼ばれる特殊個体を作り出す事が出来る。
生み出される数はペオニーがそれまで受けたダメージ量に比例し、今回生み出された数は二千五百体。生み出された個体はペオニーの肉体の一部であり、時間経過で消える事はない。一定の捕食量もしくはダメージを負った場合破裂し、毒をまき散らす。尚、倒しても経験値は入らない。
このスキルの使用中は、自動防御は発動しない。




