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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います  作者: よっしゃあっ!


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145/274

145.進化先


 さて、西野君たちと共に市役所の手伝い――主にティタンの残した瓦礫の撤去や周辺の探索を行った後、俺たちはそのまま近くの空き家に足を運んだ。

 ここはまだ『安全地帯』の範囲内だし、モンスターの襲撃を心配しなくても良い。

 誰か近くに来れば今の俺ならすぐに分かるしね。

 それよりも、だ。


「……うっぷ、ぜぇー……ぜぇー……」


 俺は背負ってきた一之瀬さんを床に寝かせる。


「……大丈夫ですか?」

「も、問題ないです……うっぷ」


 どう見ても問題だらけです。

 病み上がりで無理して体を動かした結果、一之瀬さんは死にかけていた。

「わ、私だっていつまでも貧弱人見知りの引き籠りじゃないです!」なんて見栄を張った結果である。

 だからあれほど止めとけばいいっていったのになぁ……。

 ティタンと戦っていた時でさえ見せた事の無いような悲壮感溢れる表情を浮かべている。


 ――疲労よりも人との会話。


 それが彼女を蝕んでいた。

 慣れない場所、初めて会う人々、同年代の学生たち。

 それら全てが彼女にとっては『毒』となってしまったのだ。

 正直俺も危なかった……。

 あって良かった耐性スキル。

 だが一之瀬さんには耐性スキルなんてない。

 回復させるには、こうして人気のない場所で静かに休ませるしかないのだ。

 ぼっちにとって静寂とは長年連れ添った親友のようなもの。

 みるみる一之瀬さんの血色がよくなっていく。

 ……自分で言っておいてなんだが、意味わかんないよね。


「……んを」

「どうしました?」

「モモちゃんを……出して下さい。キキちゃんも」

「あ、はい」


 うう、と呻く一之瀬さん。

『影』からモモとキキが姿を現す。


「わんっ」

「きゅー」

「ああ、モモちゃん、キキちゃん……会いたかった……」


 一之瀬さんがぎゅっと二匹を抱きしめる。もふもふなでなで。

 長年生き別れてようやく再会したみたいな感じに言ってるけど、数時間前に会ったばかりでしょうが。


「……(ふるふる)」しょぼん

「アカ、別に気にする事ないから」


 一人呼ばれなかったことがショックだったらしい。

 切なく震えるアカ(服に擬態中)を撫でて慰める。

 ぷるん、ぷるん。


「はぁー……だいぶ良くなりました」

「そですか……」


 モフモフを堪能したのか、一之瀬さんの疲労は回復し肌はつやつやになっていた。


「くぅーん……」

「きゅぅー……」

 

 モモとキキもお疲れ。

 二匹とも俺の膝の上でだらんと寝そべっている。

 ついでに俺も撫でさせてもらおう。


「わふぅーん」

「きゅう~」


 撫でていると、二匹ともごろんと寝そべってお腹を見せた。

「さあ、撫でろ」のポーズだ。

 もう、仕方ないなぁ。

 お腹をわしゃわしゃする。

 もうこれだけで半日潰せるんじゃないかなぁと思ってしまった。


(というか、進化して二匹とも毛並がすんごい良くなってるな)


 ティタンとの戦いを経てモモ、アカ、キキはそれぞれ進化した。


 モモは『暗殺犬』から『暗黒犬』に。

 アカは『フェイク・スライム』から『クリエイト・スライム』に。

 キキは『レッサー・カーバンクル』から『カーバンクル』に。


 みんな相変わらず姿はそのままだが、内包する『気配』は以前とは別物だ。


 今のモモから感じる強さは、復活する前のダーク・ウルフと同等かそれ以上。

『影』を操るスキルも、『叫び』のスキルも更に強力になった。

 身体能力も相当強化されているし、並みのモンスターならば群れでも相手にならないだろう。

 その内アイツ・・・みたいに『闇』とか使えるようになるんだろうか? 種族名に『暗黒』って付いてるしな……。

 いや、でもモモは今のままの可愛いモモでいてほしい。


 アカもスキルの幅がさらに広がり、より精密な『擬態』が出来るようになった。

 ただ力が戻っていないので、またスライムを吸収させる必要がある。

 ……後でまた海に行くか。

 あそこならスライムも多くいるだろうし。


 ちなみに今回手に入れた『ティタンの魔石(大)』はアカに与えた。

 今回もかなりアカに助けられたからな。

 モモやキキも了承済みだ。

『ティタンの魔石』を食べた結果、アカは『擬態』以外にも新たにスキルを手に入れたのだが、それはまた後で説明するとしよう。


 キキも『カーバンクル』に進化したことでより力を増した。

『ステータス強化』や『反射』だけでなく新しい『支援魔法バフ』を使えるようになったし、その使用回数も増えた。

 それに加えて『弱体化魔法デバフ』も習得したらしい。

 俺たちにとって更に心強い存在になったと言えるだろう。


 そしてなにより、モモとキキは毛並が良くなり、アカは弾力性に磨きがかかった。

 もう最高である。


 閑話休題。


『アイテムボックス』からお茶を取り出して一服。

 一之瀬さんが落ち着いたところで、話を切り出す。


「そろそろ『進化先』を決めようと思うのですが」

「そうですね……」


 ティタンとの戦いの後、俺と一之瀬さんは今日まで寝込んでいた。

 その為、まだ『進化先』を何にするか決めていない。

 ついでに言えば、ステ振りもまだだ。 


 ティタンとの戦いでレベルが上がり、大量のSP、JPが手元にある。

 JPが60ポイント、SPに至っては120ポイントだ。

 これをどう振り分けるかも考えなきゃいけない。


「そういえば、カ……クドウさんと私とじゃ『進化先』の種族って結構違うんですよね」

「そうなんですよね……」


 俺は自分のステータスにある『進化先』の項目をタップする。

 


『進化先』

上人ハイ・ヒューマン

森人エルフ

岩掘人ドワーフ

小人リトルマン

巨人ジャイアント

鬼人オニビト

狼人ウェアウルフ

狐人ルナール

魚人シーマン

蜥蜴人リザードマン

影人シャドウ

新人アラビト



 進化先で現れたのは全部で十二。

 ネット小説では超定番のエルフやドワーフから、『影人』や『新人』と言ったよく分からない種族まで様々だ。

 ちなみに一之瀬さんの方は全部で十種類。


一之瀬奈津『進化先』

上人ハイ・ヒューマン

森人エルフ

黒森人ダーク・エルフ

鬼人オニビト

小人リトルマン

蛮女アマゾネス

狐人ルナール

猫人(キャット・ピ-プル)

機械人サイボーグ

新人アラビト



『蛮女』や『黒森人』、『猫人』、『機械人』といった俺には無い選択肢があった。

 多分LV30に上がるまでの行動やスキル、それに性別なんかが影響しているのだろう。

蛮女アマゾネス』って確か女性しかいない種族だったしね。


(これだけ選択肢があると結構迷うよなぁ……)


 これからの事も考えれば出来るだけ見た目の変わらない種族にしておいた方が良いけど……。

 ちらりと、俺は横目で一之瀬さんを見る。

 狐人や猫人……多分、見た目が大きく変わるだろう。

 猫耳や、キツネ尻尾とかが、一之瀬さんに付くのか……。


『く、クドウさん、どうですかにゃん?』


 前かがみで猫手招きしつつ、尻尾を振り振り。

 ……あざとい。

 実にあざとい仕草だ。

 ちょっと恥ずかしそうに、しかも語尾に『にゃん』とか付けてる辺りポイント高い。

 うん、『アリ』だな。

 というか、正直メチャクチャ可愛い。


「……クドウさん、今何か変なこと考えてませんでしたか?」

「えっ!? あ、いやいや、別にそんな事全然ないですよ。やだなぁ、ははは……」


 無駄に勘の鋭い一之瀬さんである。

 うん、自分でもキモいこと考えてるなぁって自覚はあったよ。

 というか真面目な話、彼女の勘の良さや身体的な弱点をカバーするなら獣人系は十分選択肢として有りなんだよなぁ……。

 ただ見た目がなぁ……。


「というかクドウさん。もしかしてこれにも『質問権』って使えるんじゃないですか?」

「あっ、成程」


 そう言えばそうだった。

 ティタンとの戦いで獲得した『質問権』があったんだった。

『質問権』とは、質問したい項目を入力することでその質問に答えてくれる便利なスキルだ。

 ちなみに回数制限はない。

 この世界の事や、戻し方について質問した後に、回数制限が気になって質問したのだが、それに対する返答が『何度でも質問する事が出来ます』だった。

 なので安心して色々と質問しまくったのである。

 ある意味、『鑑定』スキルに近いかもしれない。

 いや、どちらかといえば『検索』かな?

 まあ、どちらでもいい。

 

 さっそく進化先の種族に付いて入力してみる。

 すると、それぞれの種族の簡単な特徴を知る事が出来た。



上人ハイ・ヒューマン 

 人間の上位種。既存スキルの効果を高める。

 各種ステータスが上昇し、既存スキルのLVを2上げる。

 見た目は普通の人間と変わらない。


森人エルフ

 人間の上位種。魔法に優れている。

 MP、魔力、対魔力が増加する。力が減少する。

 耳がとがり、見た目が麗しくなる。


黒森人ダーク・エルフ

 人間の上位種。魔法に優れている。

 MP、魔力、対魔力が増加する。力が減少する。

 耳がとがり、肌が褐色となる。見た目が麗しくなる。


岩掘人ドワーフ

 人間の上位種。力、耐久に優れている。

 HP、力、耐久が大幅に増加する。MP、魔力、敏捷が減少する。

 背丈が小さく筋肉質になる。


小人リトルマン

 人間の上位種。五感、器用、敏捷に優れている。

 敏捷、器用が大幅に増加する。HP、力が減少する。

 背丈が凄く小さくなる。


巨人ジャイアント

 人間の上位種。生命力に優れている。

 HP、力、敏捷が大幅に増加。魔力、対魔力が減少する。

 背丈が凄く大きくなる。


鬼人オニビト

 人間の上位種(希少)。身体能力が強化され、固有のスキルが使える。

 HP、MP、力、耐久、敏捷が増加する。

 角が生えるが、これは戦闘時や気持ちが高ぶった時のみ。

 普段は普通の人間と変わらない。


狼人ウェアウルフ

 人間の上位種。五感、身体能力が強化される。

 HP、力、耐久、敏捷が増加する。MPが減少する。

 特有の耳、尻尾が生え毛深くなる。発情期あり。


狐人ルナール

 人間の上位種。五感が強化され固有のスキルが使える。

 器用、魔力、対魔力が増加する。

 特有の耳、尻尾が生える。発情期あり。


猫人(キャット・ピ-プル)

 人間の上位種。五感、身体能力が強化される。

 MP、器用が増加する。敏捷が大幅に増加する。

 特有の耳、尻尾が生える。発情期あり。


魚人シーマン

 人間の上位種。水中でも生活できる。

 エラ、鱗、水かきが生える。


蜥蜴人リザードマン

 人間の上位種。五感、身体能力が強化され、固有のスキルが使える。

 HP、MP、力、敏捷が大幅に増加する。

 鱗が生える。耐寒が下がる。


影人シャドウ

 人間の上位種(希少)。

 五感、身体能力が強化され、固有のスキルが使える。

 MP、力、器用、敏捷、魔力、対魔力が増加する。


蛮女アマゾネス

 人間の上位種(女性限定)。五感、身体能力が強化され、固有のスキルが使える。

 HP、力、敏捷が大幅に増加する。MP、器用、対魔力が減少する。

 性欲が高まる。


機械人サイボーグ

 人間の上位種(希少)。五感、身体能力が強化され、固有のスキルが使える。

 HP、MP、力、耐久、敏捷、器用、魔力、対魔力が大幅に増加し固定される。

 睡眠、生殖が不要となり、疲労を感じなくなる。


新人アラビト

 人間の上位種(希少)。五感、身体能力が僅かに強化され、可能性が広がる。

 各種ステータスが僅かに増加する。

 見た目は普通の人間と変わらない。


 進化先の情報は以上だ。

 さて、じっくり考えて選ばないとな。


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書籍7巻3月15日発売です
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― 新着の感想 ―
[気になる点] 失礼しました。146でシャドウの見た目に関する記述がありました。
[気になる点] シャドウに関して見た目の記述が無いですね
[一言] シャドウ一択で草
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