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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います  作者: よっしゃあっ!


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104.アカを元に戻そう


 さて、現在西野君の連絡待ちなのだが、時間は有効に使おう。

 とりあえずは、レベルアップした分のステ振りを済ませてしまおう。

 現在の俺のLVは19。

 ポイントはJPが前回の持ち越し分と合わせて24、SPが20ポイントある。


 JPの方は、忍者と狩人をそれぞれLV7に上げる。 

 次にSPの方は、まずは肉体活性をLV6……いや、LV7まで上げておくか。

 地力は上げておいて損はない。


 残りは7ポイント。

 どれを上げようか?

 職業『影法師』が現在LV5だし、『操影LV5』を上げようかな。

 高レベルになればなるほど、職業レベルアップ時のSP節約効果も大きくなるし。


「……」


 そこでふと、俺はスキル欄の一番下にあるスキルに目が行く。


 『精神苦痛耐性LV4』。

 

 ストレス耐性がLV10になった事で派生した上位スキル。

 恐怖耐性やあおり耐性も統合された事から、おそらく精神的な負荷に関わる一切に耐性が付くスキル。


(これってもしかしたら『魅了』や『洗脳』にも効果があるんじゃないか……?)


 もしそうであるなら、あの生徒会長の少女や、これから先遭遇するかもしれないその手のスキルを持っている敵に対しての有効なカードになるかもしれない。


(レベルもまだ低いし、こっちを上げておこうかな……)


 そう思い、スキルのレベルを上げようとした瞬間だった。


「わんっ!」


「ん?どうした、モモ?」


「わんっ、わふー」


 視線を向けると、モモは俺の周りをクルクルしながら『影』を操り始めた。

 

「わんっ!」

 

 そして一通りアピールが終わると、正面にお座りして、俺を見上げた。

 とりあえず頭を撫でる。よしよし。


「わふん……」


 モモは気持ちよさそうに目を細める。


「えっと……モモは『操影』のレベルを上げてほしいのか?」


「わんっ」


 モモはそうだよーと頷く。

 うーん、モモのお勧めはそっちなのか。

 でも、迷うなー。

 精神苦痛耐性の方だって、上げておいて損はない気がするんだけど……。


「わふぅー……?」


 迷っていると、モモが近づいてくる。

 あ、止めろ、モモ!

 そんなキラキラした瞳で俺を見るんじゃない!

 すりすりとカラダを擦り付けて来るんじゃない!


 モフモフが俺を襲う!

 くっ……でもここは冷静に考えて……そう、冷静に考えるんだ。

 こんなモフモフには絶対屈しないぞ!

 絶対にだ!



≪SPを消費しました。操影がLV5から6に上がりました≫



 モフモフには勝てなかったよ……。

 女騎士がオークに勝てない理由が分かった気がした。

 人間は快楽に弱い生き物なんだ……。

 そして快楽とは抵抗しようとして、抵抗できるものじゃないんだ……。

 抗いがたしモモのモフモフ。

 とりあえず、SP1ポイントは温存しておこう。




「さて、と……」


 ステ振りを終えた後は、少し気になる場所があったので、そちらに向かう。

 公園内にある水の出なくなった噴水。

 その中でぷかぷかと浮かぶソレに、俺は満面の笑みを浮かべる。


「お、居た居た」

 

「………(ふるふるー)♪」


 心なしかアカも嬉しそうに震えている。

 そう、噴水の水溜りの中に浮かんでいたのはスライムだ。

 高校での消耗以降、スライムに遭遇しなかったからな。

 これは嬉しい。

 こいつら『索敵』が機能しないから、直接目で見て探すしかないんだよな。

 数は……ひい、ふう、みい……全部で八匹か。

 結構居るな。

 

「やっぱ水場や日陰とかにスライムは多いのかな……?」


 最初に出会ったスライムもホームセンターの陰に隠れるように居たし、アカも人目に付かないゴミ捨て場の中に居た。

 田んぼの堀には大量のスライムが居たし―――正確には詰まってた―――モンスターによっては好む場所、好まない場所があるのかもしれない。

 まあともかく、ここでスライムを見つけられたのは運が良かった。

 早速アカに吸収して貰おう。

 

「モモ」

「わんっ」


 スライムは素手だと捕まえにくいが、『影』を網の様に変化させて地引網の要領で引っ張る。

 スライムは一切抵抗しないので、こうすれば簡単に捕まえる事が出来る。


「何度見ても、すげー便利なスキルだねー、それ」


 じーっと俺とモモの漁を見ていた、六花ちゃんが感想を述べる。

 ミニスカでしゃがんでるので、パンチラが凄い。白。


「……そこまで万能なスキルってわけでもないですがね」


「そうなの?」


「ええ、ちゃんと制限や弱点もあります」


 影を操れる効果範囲や変化できる形状、その大きさはレベルに依存する。

 それにモモやシャドウ・ウルフ同様地面に足がついてないと『影』は出せない。

 ま、その辺は別に話さなくても良いだろう。


「ふーん……」


 イチノセさんやモモは大丈夫だと言うが、俺はまだ六花ちゃんの事を完全に信用したわけじゃない。

 俺とモモは黙々と作業を進め、アカの下へスライムを運ぶ。

 その様子をじーっと六花ちゃんは眺めていた。


 ちなみにその間、イチノセさんはベンチに座り、銃の手入れをしていた。

 集中しているのか、話しかけるなオーラがめっちゃ出ている。

 でもその姿が妙に様になっており、なんというか歴戦の戦士みたいな雰囲気を出している。

 とても人に向かってゲロを吐く引き籠りには見えんよね。

 見た目だけならめっちゃ出来る子に見えるのに。


「よし、これで全部ですね」


「わんっ」


 作業完了。

 あとはこれをアカに吸収して貰うだけだ。

 すると六花ちゃんが声をかけてくる。


「お疲れ様ー……ところでおにーさん」


「なんですか?」


「私は別に気にしてないし、パンツくらいならいくらでも見ていーけどさー、女の子からしたらチラチラと視線向けられるのって意外とバレバレなんだよね。覚えといたほうがいーよ」


 ……バレてたし。

 意外と鋭い六花ちゃんであった。

 あ、勿論普通に謝りました。

 ごめんなさい。




「さあ、アカ。たーんとおあがり」

「……!(ふるふるー)」


 わーいと言った感じで、アカは瞬く間にスライムたちを吸収した。

 アカの身体が二回りほど大きくなる。


「おー、さっきよりも大きくなった。凄いんだね、スライムってー。すごっ、こんなおっきいのにプニプニなんだけど」


 大きくなったアカを六花ちゃんは興味深げに指で突っついている。

 うん、確かにさっきよりかは大きくなった。

 でも……。


「……やっぱり元のサイズに戻るにはまだ足りないか……」


 全盛期のアカの体はもう少し大きかった。

 まだ数が足りないのだろう。

 考えてみれば、田んぼで吸収したスライムはかなりの量だったしな。


「…、…(ふるふる)」しょぼーん


「ああ、アカ気にすんな。大丈夫。今のままでも、十分お前は俺たちの力になってるよ」

「わんわんっ」

「そーだよ!アカちゃんすっごい可愛いし、すっごい役に立ってるよ!」


 申し訳なく震えるアカを、俺とモモ、六花ちゃんは全力で慰めた。


(でも実際問題、アカがこのままなのはマズイよな……)


 今やアカは、俺たちのパーティーに無くてはならない存在だ。

 今後を生き抜くためには、アカの力が絶対必要になってくる。

 特にあんな規格外のモンスターと遭遇した後では尚更だ。


(あのゴーレム……)


 突然現れ、周辺全てを破壊しつくした岩の巨人。

 単純にデカく、それ故に強大なモンスター。

 あんなの相手じゃ、俺のアイテムボックスによる攻撃も忍術も殆ど意味をなさない。


(今回は運良く逃げられたけど……『次』もそうだとは限らない)


 回避や逃げに徹すれば何とかなると楽観視するのはあまりに危険だ。

 ハイ・オークの時だって、その認識が甘かったと散々思い知らされた。

 だからこそ、逃げられない状況に陥った時の対策が必要なのだ。


(そもそも、あのゴーレムはなんなんだ……?)


 現れる直前まで、『索敵』も『敵意感知』も一切反応が無かった。

 ギリギリで『危機感知』が反応したが、それにしたって突然過ぎた。


(それに地面を突き破って出てきたって感じじゃなかった)


 アレは……そう、どちらかと言えば俺の『忍術』に近いように感じた。

 土遁の術。地中を泳ぐように移動するスキル。


(もしアイツが地中を自由に移動できるのだとしたら……)


 ぞわりと、寒気がした。

 もしそうなら、今この場にまたアイツが現れてもおかしくない。

 そして何となくその予想は当たっている気がした。


(あの巨体で奇襲攻撃可能とか、ふざけ過ぎだろ……)


 理不尽にも程がある。

 だからこそ、アカには早く力を取り戻してもらいたい。

 アカの防御能力は、アイツとの戦いで絶対に役に立つ。

 いや、欲を言えばもっともっとレベルを上げて力もつけて貰いたい。


(スライムが大量に居そうな場所か…)


 日陰、水場……。

 そういえば、もうちょい向こうに行けば海があるよな。

 海水浴場。

 そこならスライムもいるかもしれない。

 波打ち際に打ち上げられてるスライムたちが眼に浮かぶ。

 それに海岸なら『アレ』もあるだろうし行っておいて損はない。

 距離はさほど離れてないし、そっちに行ってみるか。

 西野君とはまだ連絡が付かない状態だし、このままここで手をこまねいているわけにもいかない。

 無駄に時間を潰すわけにはいかないのだ。


「イチノセさん、相坂さん」


 俺は二人に声をかける。

 

「ちょっと海に行きませんか?」

 

 という訳で、スライムを見つけるため俺たちは海へ向かった。



現在の位置情報 第二弾です。

一応こんな感じになっております。


挿絵(By みてみん)


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【モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 外伝】
▲外伝もよろしくお願い致します▲
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書籍7巻3月15日発売です
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― 新着の感想 ―
ゴーレムの絵がなんか可愛い。
[一言] JKの肌着の替えはコンビニやショッピングセンターで入手してないのか? 流石に5日以上、下着替えてないとか&生理用品もちゃんと補充→提供しているのかが気になる
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