37.ガイナ王国の貴人
ガイナ王国首都州──モノ。花が咲き開く形のガイナ王国領はそれぞれの花弁の形毎に州を分けており、現在十州で構成されている。その第一の州であるモノ州の中央に、王城があった。
白陽石で贅沢にも建造されている城は、相も変らぬ厳重な警護の元、普段よりも緊張した空気を漂わせていた。
常より城内で立ち働いている宰相補佐官の機嫌が悪い。いや、彼の不機嫌は平常使用だ。しかしながら今日はいつもと違うのである。
足音高く廊下を突き進む第一補佐官の衣装が、本日は違った。簡易な王子の正装を身にまとい、機嫌悪く廊下を渡っているのである。黒を好む彼は青と黒の着物を重ね、身分に相応しい長い外套を羽織り、余った布先を左肩に掛けていた。衣から覗く足先は黒の革靴であるが、それは軍人使用の靴であり、足先に鉄板が入っている。一蹴りで無防備な足であれば骨折させられる一品だ。
正装でありながら、軍人の靴を選択している彼の心根は明らかであった。
――殺るつもりだ。
誰もが恐怖に頬をひきつらせ、息を殺して見送るなか、城内警備を務める若手は喉を引きつらせる。彼の背後につき従う兵士の顔が、常と違うのだ。こげ茶色の髪と青い目。移動しながらも周囲を確認している瞳は、一点の異常も許さない威圧感に満ちていた。
「……リカド大佐……っ」
昨年末に兵として起用されたばかりの青年は、思わず声を漏らしてしまった。隣に立っていた同僚が青ざめて小突き、彼は慌てて口を閉ざす。
運悪く彼らの移動に出くわしてしまった彼らは、注意を引かぬよう慌てて敬礼した。
彼は普段、城の中でも警戒度の低い、庭の一角などに配置される兵である。しかし先日、突然大きく配置が変わり、本日は謁見の間近くの担当となっていた。ここは身分の高い人間が頻繁に出入りするため、上位兵が置かれる場所だ。名もない下士官に過ぎない彼らは、王子の顔を間近で見ることは愚か、大佐階級の人物を目の当たりにする機会など、皆無に等しかった。
しかも彼らにとって王立軍大佐であるリカドは、貴族が多くを占める上位兵の中でも一般市民からの出自であり、憧れの的だった。
そのうえ、リカド大佐の隣にいる人物が、これまた凄い。白い短髪に切れ長の緑の瞳が印象的な、ビゼー中尉である。ビゼー中尉は王立軍の将軍を頂いているセル・スターン侯爵の息子で、生粋の貴族だ。女性的な外見と裏腹に、その剣技は王立軍一と名高い。
軍内でもかなりの位に位置する彼らが日常の護衛に配置されることはほぼ無い。贅沢すぎる人選を決行した王子は、確実に今日の来客を再起不能にする心づもりなのだろう。
穏やかに警備を務めていた若い兵士たちは冷や汗を流し、今日に限って謁見の間近くの配置になった自身を呪った。
明らかに体を強張らせた若い兵士を見て、ビゼーは短く息を吐いた。
「何故私がこのような……」
不満たっぷりに呟けば、隣から野太い笑い声が上がった。
「お、なんだ。王子殿下たってのご依頼に楯突くつもりかあ?」
うははははと笑うリカドを、ビゼーは頓着なく睨み上げた。
「私は本日、ヘキサ州の州官と管理体制の変更について話し合う予定だったのですよ。楯突きたくもなります。普段から王城の椅子にふんぞり返っているあなたと違って、忙しいのです」
小馬鹿にされているにもかかわらず、リカドはこだわりなく笑う。親の身分を後ろ盾に、嵩に懸かって物言いをしているわけではなく、ただの性格だ。ビゼーの口の悪さは誰に対しても同じだった。本人が頓着しないものだから、彼について知っている人間にしか、彼は理解されない。
アランは背後で繰り広げられている雑談には何も言わず、謁見の間に足を踏み入れた。兵が扉を閉ざすのを確認した彼は、嘆息しつつビゼーを振り返る。
「文句を言うな。俺があいつに手を出しそうになったら、誰が押さえられるという。俺を殴っても平気な奴は、お前達くらいなのだから仕方あるまい」
腹の底から怒りを堪えきれぬ声音で呟き、アランは謁見の間最上段にある、玉座に向かった。
上座の両脇にはビロードの布が垂れ下がり、双方ともゆるく一括りにまとめられている。椅子の脇の小さな卓上に書類を放り投げた王子は、堂々と普段は王が座る椅子に腰かけた。
上座から見下ろせば、足元から部屋の扉まで、赤い絨毯が一本走る。リカドとビゼーは玉座の足元で立ち止まり、呆れた顔でアランを見上げた。
「いやー、さすがに王子は殴れませんぜ」
「私もそのような汚名、頂戴するわけには参りません。謹んでお断りいたします」
アランは大きく足を組み、頬杖を付く。
「わかったわかった。いいからさっさと後ろへ回れ。そろそろ来るんだ」
リカドが眉を下げて、頭を気かながらアランの脇を通り過ぎた。
「ちゃんと“王子様”してくださいよ、殿下。怒っちゃ駄目ですぜ」
「お気持ちはお察しいたします」
二人はアランの背後に回ると、同時に呟いた。
「……神子様がいなくなって、お寂しいですね」
「黙れ」
アランは間髪入れず、二人を黙らせる。彼の眉間には、当初よりも深い深い皺が刻まれ、二人は彼の機嫌を更に損ねることに成功した。
非常に不機嫌極まりない王子は、極上の笑みを浮かべてテトラ州州官長を迎え入れた。
深緑色の正装に身を包んだ小太りの男は、立派な口髭の下で挨拶を述べる。
「アラン王子殿下におかれましてはご機嫌麗しく、この度は貴重なるお時間を頂き心より御礼申し上げます」
「よく来てくれましたね、バサト州官長。こちらこそおよび立てして申し訳ない」
バサトは緊張の面持ちでアランを、そしてその背後に控えている二名の高官を窺った。通常、王子の背後を守るのは王立軍第三部隊でも王子の信の篤い下士官が担っていたことを、バサトは知っている。
己に膝をつき、首を垂れるバサトに、アランは王子の輝きを放つ独特の空気で話し始めた。
「先日の鉱石採掘量、修正をされたとか」
「は! お手数をおかけして申し訳ございません。採掘量の一部が集計から洩れておりまして……書記官には重々注意するよう言いつけております」
アランは爽やかに笑う。
「これまで一度も間違いを犯さなかったというのに、書記官殿には残念なことでした。我々も修正が入り、安心したのですよ。よもや貴殿の精霊に何か異変が起こったのではと、案じていたのです」
バサトは顔を上げ、作り物めいた明るい笑顔を浮かべた。
「ご安心ください。私の精霊には、何も異変もございませぬ」
アランは膝の上で指先を汲んだ。くっと顎を引くと、赤い双眸の鋭さが増す。
「なるほど。貴殿の精霊は息災と」
バサトは明るく笑ったその額に、じわりと汗を滲ませる。彼は一度赤い絨毯に視線を落とし、意を決したように顔を上げた。
「もちろ――」
「――バサト州官長」
アランは彼の言葉を遮った。肩肘を付き、額を押さえる。聞き苦しい何かを聞いたような、不快そうな表情で瞳を閉ざした。
王子の背後に控えていた二名が、鋭い眼差しでバサトを睨み据える。
「……っ」
バサトは喉を鳴らし、つばを飲み込んだ。
アランは額から手を離し、その手でこめかみを支えて、気だるげにバサトを見下ろした。
「バサト州官長。貴殿の精霊は、息災だろうか?」
「……っ……」
バサトは歯を食いしばった。ふくよかな頬を緊張に震わせ、その場にひれ伏す。彼の口は、答えを出せなかった。
重い沈黙が広間を支配する。一分が一時間にも感じられる沈黙を破ったのは、アランの不機嫌な舐め息だった。
「バサト・カルーナ男爵。お分かりかと存じますが……私は今日、補佐官としてあなたをおよび立てしたのではありません。ガイナ王国第一王子として、あなたにお伺いしています。あなたの精霊は今、つつがなくお過ごしですか?」
王子は甘い笑みを湛え、彼の背後に立つ軍人たちは、厳しい眼差しでバサトを睨み据える。その眼差しこそが王子の意向であると言わんばかりだった。
バサトの額から汗がしたたり、顎を伝って絨毯の上に染みを作る。
彼は震える唇で、言葉を発した
「……神子様はいかがお過ごしでしょうか」
「……」
アランの顔に、邪悪な笑みが乗った。数多の宝石で彩られた指先が、端正な自身の顎を撫でる。赤い眼差しが煉獄の炎に染まったかと思うほど、只ならぬ覇気が彼から迸った。
「私の神子が気にかかるか」
俺の女に興味を持っているのかとでも言わんばかりの物言いだった。
ビゼーの眼差しが王子の横顔を確認し、リカドが面倒そうに天を仰いだ。
バサトは脂汗でぐっしょりと濡れそぼった面を上げ、やけくそ気味に笑い声をあげた。
「お噂はかねがね、お伺いしております。私の精霊はご存じの通り男子でして、一度月の精霊同士、お会いするのも面白いのではと考えておったのです。気が合えば、歴史的にも非常に珍しい夫婦ともなれましょう」
リカドが天を仰いだまま、自分の口を押える。口は「うおー!」という動きをした。
それを目の端に捉え、ビゼーは視線を落とす。もはや己の王子を見たくもないという顔付きだ。
王家の私的な事柄は、噂にならなかった。ゾルテ王国の姫君との婚約解消も、子供のうちの出来事だったため、内々で処理され、誰も知らない。ましてや最近降臨したばかりの神子の詳細について、この男爵が知ろうはずもなかった。
以前からアランが神子を欲していた事と、神子を婚約者に立てる事は切り離された事柄で、神子の処遇については誰も知らないのだ。
だが、彼の愉快な提案は確実にアランの勘気に触れていた。
「ほう……?」
地底を這うような低い声音が響き、バサトはつぶらな瞳を瞬かせる。アランは足を組み直し、頬杖をついたまま、横柄に口を開いた。
「面白い……。貴殿の精霊は、私の神子を気に入ったようだったか?」
「は……?」
バサトはつぶらな瞳を丸くする。
もはや薄い膜で覆った物言いを捨て去り、事の核心に触れる質問が繰り出されたのだ。仰天するのは当然だろう。しかし怒りに腸を煮え滾らせているアランは、紅蓮の瞳を見開いて、口角を上げた。
「私が玉のように慈しみ、誰の目にも触れぬよう隠してきた神子を、貴殿の精霊は欲すると言うのか?」
「い……いいえ……。康は、そのようなことは……っ」
王子が纏う怒気に呑まれ、バサトは仰け反る。
アランはにっこりと笑った。
「ああ、貴方の精霊は、名を康というのか。ではその康とやらを連れて参れ。私の神子が康を気に入ったというならば、俺が直々に切り捨ててくれる……!」
「――殿下」
王子の面の皮が完全に剥がされる直前、ビゼーが口を挟んだ。アランは鋭い眼差しを彼に投げ飛ばしたが、ビゼーは微動だにせず、冷静な眼差しを返す。
「お言葉が少々過激かと存じます」
「月の精霊は殺しちゃ駄目だぜ、殿下」
双方から小声で窘められ、アランは舌打ちをした。
苛立ちに身を任せ、目の前の臣下を怒鳴り散らしたい衝動を堪えるため、しばし黙り込む。
そして、アランは大きく息を吸い込んだ。
もう一度瞼を開いた時、彼の眼差しはとても穏やかだった。
「バサト州官長。私にとって、神子は大切な存在です。国家としても非常に貴重な存在だが、それ以前に、私は彼女と末永く共にありたいと考えています。どうか私から神子を奪うようなご提案をなさらないでいただきたい」
バサトは目を見開き、即座に絨毯に額を擦りつける。
「た、大変な無礼を、お許しください! 殿下のご意向も存じ上げず……っ」
そこから彼の言葉は続かなかった。アランが神子を娶りたいというのなら、そうすればいいだけだし、滅多に聞けない王室の内部事情を聞かされたとあれば、祝いの一つも言って普通だ。
だが、彼は何も言わない。
彼は何かを知っている。
アランは背筋を伸ばし、膝の上で両手のひらを組む。そして穏やかに問うた。
「――貴殿は、ガイナ王国の臣下であり続ける気がおありだろうか?」
穏やかな王を彷彿とさせる、柔らかな声音に顔をあげれば、若く凛々しい面差しの青年が、酷烈にバサトを見下ろしていた。
次代の王を担う青年は、冷然と問う。
「貴殿は何のために、今そうして膝をついていらっしゃるのか?」
国のためか?
王のためか?
自身のためか?
それとも、己の精霊のためなのか?
バサトは明らかに混乱していた。彼の呼吸は乱れ、脂汗が全身からあふれ出している。
無残にも汗で崩れた前髪が彼の額に垂れ、白いのか赤いのかよく分からない顔色に変わった彼の唇から、憐れな喘ぎ声が漏れた。
「あ……う……」
王子は慈悲の欠片もなく、尋ねた。
「バサト・カルーナ男爵。貴殿の精霊は一体どこにいるのですか?」
バサトは顔を両手で覆った。アランは感慨もなく、小太りの男を見据える。
「申し訳ございません、殿下……!」
――敵は屈した。
アランはいら立ちを押さえ、穏やかに頷く。
「ええ」
己の成果に満足し、口角を上げようとしたアランは、次いで告げられた言葉を聞くなり、取り繕う余裕を失った。
「私は康の居場所が分からないのです……!」
ビゼーとリカドが思わず、といった声を漏らす。
「あん?」
「は?」
だが二人の反応はアランのそれに比べれば可愛いものだった。
アランは既に、鬼の形相へ転変してしまっていた。
「――貴殿はこの場で私に切り捨てられることを望んでいらっしゃるのだな」
断言すると、アランはすっくと立ち上がり、腰に手を伸ばす。バサトは逃げ出そうと立ち上がりかけたが、足がもつれ、無様に床に転んだ。
切って捨てるには、丁度よい按配だ。
すらりと白刃を抜き取ろうとしたアランに、背後の二人が慌てた声を上げた。
「殿下!」
「お待ちください!」
だが軍人として常に厳しい鍛錬を繰り返して来たアランを、とめられるはずもない。アランは目にも留まらぬ速さで剣を抜き、リカドはびくりと硬直した。反対側にいたビゼーは、自身の剣に手をかける。
リカドがぼそりと呟いた。
「あ……っぶね、俺の手が切られるところだぜ……」
「いざとなれば私がお相手する」
アランが剣を使うつもりなら、自分が相手をすると言ってのけたビゼーに鼻を鳴らし、アランは大股でバサトの元へ向かった。
腰を抜かして身動きを取れない男に、容赦なく切っ先を突き付ける。
バサトの目は、鼻先で煌めく剣を震えながら凝視した。
「おおお、お許しを! 殿下!」
「許さない。なぜそこまで庇い立てする? それほどガイナ王国は、貴殿にとって価値が無いか」
「まさか! 私は……っ私はこの国の繁栄を常に考え……!」
ぶるぶると震える顔の中で、つぶらな瞳に涙を溜める。アランと共に階段を降りてきたビゼーが、バサトの横に膝を折り、淡々と促した。
「正直にお話し下さい。それがあなたの精霊のためです」
アランは殺意を全身で発しつつ、小首を傾げてみせた。
「さあ、話していただきたい。貴殿の精霊は今、どこにいる? よもや私の神子に手出しなどしていないだろうね?」
バサトの目から無様にも涙が零れ落ちた。
「康を……っ……救うためだったのです! 神子様の御力でもってすれば、康の病も晴れると教えられ、手を貸してしまいました! ですが、康の病は重く、神子様と共に連れて行かれてしまったのです……っ。彼らの行方は、ゾルテ王国であること以外、場所は教えられていません。病が完治すれば、必ず戻すと……私は彼の場所を知らないのです!」
震える声は、真実を語っているとしか思えない醜態だった。
感情のまま殺してやろうかと魔が差しそうになったが、利き腕を巨大な手が掴み、アランは嘆息する。リカドはアランの手を軽く叩き、大きく笑った。
「無駄な殺生は嫌いだろう、殿下。バサト州官長は罰する必要はあるが、殿下の手を煩わせるほどの事じゃないぜ」
アランは半目でリカドを見やり、剣を戻した。
「連れていけ」
ビゼーが部屋前に待機していた兵士に連行するよう命じ、アランは壇上の椅子へ戻る。
「全くの無駄足だ」
リカドはアランの傍へ立ち並び、バサトの後姿を見送る。
「そうでもない。あの州官長はきっといい主だった」
「……いい主は精霊の力を枯渇へ導かん」
手厳しく反論するも、リカドは肩を竦めた。
「きっと精霊の扱い方を知らんかったんだ。なんせ精霊は滅多に手に入らない貴重な存在だ。取扱説明書もない。俺は州官長が精霊を殴ったり、酷使したりするような主人だとは思わんがね」
アランは納得できず、リカドを睨み上げる。
「なぜあいつの肩を持つ?」
リカドは、にやっと笑った。
「上に立つ人間は、恩情も持ち合わせてねえといけないぜ。あいつは、精霊を助ける為に必死だったんだ。精霊が消えりゃ、あいつは死刑だ。だが病んだ精霊を治すために、一時的にでも自分の手元から精霊を逃したんだぜ? 精霊がいない間にそれを誰かに見咎められれば終いだ。それでもあいつは助けるためだと手放す方を選んだ。俺は勘違いしてるか?」
アランは視線を逸らし、鼻を鳴らす。気に入らないことに、理にかなった見解だ。
「殿下だって神子様の扱い方が分からないから、鳥かごに閉じ込めるように厳重な警護と、力の使用を殊更、禁止していたんだろう?」
「煩い」
アランは居心地が悪く、頬杖をついた。王子の機嫌など意に介さないリカドは、両腕を組み巨体に似合わない愛らしい仕草で首を傾げる。
「難儀だなあ。力が無くなると元の世界に戻っちまうなんて、残されたこっちは寂しいばっかりじゃねえか。せめて本人がどうすればいいのか教えてくれると助かるんだがなあ」
アランはしばらく黙り込み、小さな声で同意した。
「……そうだな」
脳裏をよぎるのは、愛らしい神子の姿ばかりだ。
破天荒に城を駆け回る精霊だった。酒を飲みながら月見ができれば文句は無い様子だったが、自分は何か、彼女が姿を消してしまうほどの間違いを犯しただろうか。正しかったといえる自信はないが、間違っていたとは思えない。
力を失えば、彼女はこの世から消えるのだ。手放さぬと決めた以上、力の使用は最小限に抑えて当然だ。
アランは切なく、吐息を零す。
毎夜抱きしめていた、甘く柔らかい肢体が恋しい。




