表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界から戻ったので、とりあえず復讐します~少年が大人になる通過儀礼~  作者: 高取和生@コミック1巻発売中
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/243

間奏3 牧江里菜の回想

願い事は、かなうって信じてる。

いままで、そうだったから。


こんなママは嫌い。いらない!

そう思ったら、ママはいなくなった。

帰ってこなくなった。

あたしは、何日も何日も、お水だけ飲んで過ごした。

保育園の先生が、あたしを見つけてくれなかったら、もしかしたら、死んでたかもね。


それからママは、ちょっとだけ優しいママになった。

だから、ママと二人の生活に戻った。


保育園で何度も読んだ、シンデレラのお話。

きっとあたしもシンデレラみたいに、いつかかぼちゃの馬車が迎えに来てくれる!

王子様と一緒になれる!

そう願ってた。


そしたらある日、ピカピカの車がやってきて、ママと一緒にお城みたいなお家に連れていってくれた。

「新しいパパよ」

ママがとびきりの笑顔でパパを紹介する。

パパは、あたしを抱き上げてくれた。

パパのうちには、王子様みたいなお兄ちゃんがいた。


お兄ちゃんは、いつもお部屋でお勉強してた。

でも、お兄ちゃんに遊んでほしくて、よくお兄ちゃんのお部屋にいった。

そのたびに、お兄ちゃんは飴とかキャンディをくれた。


ある時、目を閉じてと言われたので言うとおりにしたら、お兄ちゃんは自分で舐めていたキャンディを、口移しであたしにくれた。

あたしはそれを一口舐めたあと、お兄ちゃんに返した。

お兄ちゃんと同じように、口移しで返した。


あたしが幼稚園に通っていた頃。

お兄ちゃんは、あたしより十歳くらい年上だった。


それからあたしは、お兄ちゃんの部屋で暮らした。

寝る時も、お風呂に入る時も、一緒だった。

だって、お兄ちゃんは、王子様だと思ってたから。

言うことは素直に聞いた。


ある日、パパが部屋にやってきて、お兄ちゃんを殴った。

お兄ちゃんは、お城を追い出されて、遠い国に行っちゃった。

あたしが小学校に入る頃のこと。

あたしは寂しくて悲しくて、お兄ちゃんの代わりを見つけようとした。


最初に王子様だと思ったコは、頼りなくて弱かった。

あたしがお兄ちゃんにしてたことを、してあげようとすると、いつも逃げてしまう。

だから、クラスで一番強かった男子を、お兄ちゃんの代わりにした。

そのコは逃げるどころか、もっともっととあたしに近寄った。


そのコは今も横にいる。

だけどそのコと、キャンディを舐め合うことはない。


今も願ってる

いつか、また、お兄ちゃんと一緒に暮らせる日がくることを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ