表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界から戻ったので、とりあえず復讐します~少年が大人になる通過儀礼~  作者: 高取和生@コミック1巻発売中
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/243

【第三部】 開始  一章   最初の門 3


恭介と悠斗は、時を忘れて話続けた。


五年間の空白に色彩が加わり、分岐した流れがまた一つになった頃には、始発電車が走っていった。


「このままサボりたいくらいだな」

悠斗が笑った。

「うん」

恭介が答えた。


「こーら、若者! 朝ごはん食べたら、ちゃんと学校行けよ」

顔を出した瑠香が、サンドウィッチのパックを二つ、投げてきた。


「悠斗のおかげで、例の文化祭の企画、だいたい完成したよ」

悠斗の持つ、侑太や他のメンバーの情報は、恭介の計画の補完に大変有用だった。

「俺もできるだけ、手伝うよ。まあ、生徒会の連中の目を盗んでだけど」


自宅に一度戻る悠斗が、玄関で恭介を振り返った。

「お前のこと、なんて呼べば良い? 学校とかで」

恭介はちょっと考えて「松本、で」と言う。

「うん、わかった。じゃあまた、松本」


恭介は悠斗を見送ったあと、瑠香の部屋を訪ねた。

瑠香は、なぜか猫耳のついたウイッグをつけて、恭介を迎え、「だいじょうぶ?」と言った。

恭介は頷き、瑠香をそっと抱き寄せた。

「ありがとう」


本当は、もっと早く、悠斗と話をしたかった。

紙一枚くらいの薄さの壁が悠斗との間に存在していて、恭介の自力だけでは、取り除けなかった。


悠斗から来てくれてよかった。

きっかけを、瑠香が作ってくれて、よかった。


「うん。よかったね」

瑠香は恭介の頭を、ぽんぽん叩いた。


「あ、でもキスはだめよ」


恭介は瑠香から思いきり体を離し、

「しませんてば。そんな気ないし!」

そう言って自室に戻った。


瑠香は口を尖らせて呟いた。

「しても、良かったのに」


美術部の一年、白井、綿貫、そして恭介により、文化祭で使う書割がほぼ完成した。

古代中国を偲ばせる山水画を基調に、三体の瑞獣が描かれている。

さらに、よくよく眺めると、亀の甲羅の文様が書割の縁を囲んでいた。


「うおお、こうやって見ると、俺らって上手くね?」

白井がパチパチ手を叩く。


「いや、ほとんど、綿貫さんの力でしょ」

恭介がそう言うと、綿貫は顔を赤くした。


「でも松本、準備ってこれで終わり?」

白井の質問に恭介が答える。

「これは下地。当日はプロジェクションマッピングも使う」

白井はスゲーと叫んだ。ただし、白井は、プロジェクションマッピングが何なのか、よくわかっていなかった。


「それと、一番大切な衣装は、今極秘で作成してる」

恭介の言葉に、綿貫は唇を一文字に引き締めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ