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【第二部】失くしたものと得たものと 四章 青空に向かって 6
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狩野学園高等部の文化祭は、六月下旬の土日に開催される。
恭介は、白井や綿貫と、放課後は生徒会企画の準備に費やしていた。
恭介の計画を二人に語ると、白井はノリノリ、綿貫は少し躊躇っていた。
それでも、準備が進むにつれ、綿貫の表情は目に見えて変わっていった。
その頃、瑠香と悠斗は、ようやく島内らしい人物を、ネット上で見つける。
ただし、その人物は非常に用心深く、コンタクトを取るだけでも時間がかかった。
何かの枷がはずれたように、動き出す公的機関。
ターゲットは、違法薬物販売の中心メンバーと、その背後関係。
同時期、倫理を問われるような、ある企業の内部告発が、週刊誌上をにぎわす。
夏に向かって、思惑は錯綜する。




