★【第二部】失くしたものと得たものと 二章 初夏の風 1
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瑠香は手際よく、悠斗のケガの処置をしたあと、タクシーを呼び、有無を言わせず悠斗と恭介を乗り込ませ、自分も続いた。
恭介は、猫を抱き寄せ、持っていた袋にそっと入れて乗車した。
辿り着いた場所は、瑠香と恭介の住まいに近い、繁華街の一角だった。
ウインドウの向こうに、何匹も猫が見える。
「ペットショップ?」
小声で恭介が瑠香に聞くと
「猫カフェ」
と言われた。
瑠香はコスプレ服のまま、店内に入った。
恭介と悠斗は、互いに目を合わすこともなく、窓越しに猫を見ていた。
「外部生、だろ?」
不意に悠斗が口を開いた。
恭介は頷く。
「すまん。変なことに巻き込んだ」
口を開くことなく、恭介は首を横に振る。
瑠香が出てきた。
「お待たせ! 猫ちゃんは、しばらくここで、あずかってもらうわ。もうちょっとで産まれるみたい、子猫ちゃんが!」
その後、近くの喫茶店で、三人は一息ついて珈琲を飲んだ。
「えーと、ごめん、あなた誰?」
瑠香が悠斗に問いかけると
「すいません、それは俺が聞きたいです」
悠斗が瑠香の目を見て答えた。
昔の悠斗の表情だと、恭介は安堵のため息をついた。
イラストは、Picrewの「Kzms式美形っぽいメーカー」にて作成




