表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界から戻ったので、とりあえず復讐します~少年が大人になる通過儀礼~  作者: 高取和生@コミック1巻発売中
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/243

【第一部】絶望 三章 リライブ 7


「そりゃ、また、でかい額だな」


健次郎は大きな声でひとしきり笑った後で、理由を聞いてきた。


恭介は、ぽつりぽつりと水難事故のことから、話をした。


父、創介との会話は、いつも緊張を強いられるものだったので、基本的に恭介は、年上の男性は苦手である。


しかし不思議と健次郎には、苦手感を持たないで話せる。

瑠香が「おじいちゃん」と呼んでいるせいかもしれないし、健次郎の持つ、しなやかな物腰のせいかもしれなかった。

何よりも、荒唐無稽な地底での出来事に、茶化すこともなく最後まで付き合ってくれたのが嬉しかった。


「それで、親父に復讐したい、ってとこか? 無事に生きてるぞ、だけじゃだめなのか。警察に行くとか」


健次郎の問いに、恭介は少し考えて答えた。


「理由は二つあります。生きていることが分かったら、また狙われるかもしれない。それに…」

恭介の脳裏には、父だけでなく、同級生たちの卑劣な笑顔も刻まれていた。


「俺自身の力で、彼らと堂々と戦ってみたいという気持ちが強いから」


わかったと、健次郎は言った。


家に戻ってから、彼はごそごそと、紙の束やら何やらを持ってきた。


「まず、今、君は戸籍上死んでいる」

死亡取り消しの申請もできるが、時間はかかる。待っている間に、再度命を狙われる可能性も否定できない。


されど、生きていくには、戸籍と住民票が必要だ。


「そこでだ。俺のところに、こんなものを売りに来る人間が結構いる」


健次郎が持ってきた紙の束は、外国へ高飛びする人たちが、その資金と引き換えに、健次郎に預けた戸籍や身分証だった。


「君と同じくらいの年齢のもあるから、まず、その名前を使え」

そして、と健次郎は一冊の預金通帳を渡した。


「何よりも、日本は資本主義の国だ。この国での正義は何だ?」

法律ですか、という恭介の答えに、健次郎はきっぱりと言う。


「金だ」


通帳には一万円ほどの残金があった。

「この残高を、年内に百万円にしてみろ」


それができたら、藤影の倒し方を教えるとも。


今は九月の初旬。

期日まで、三ヶ月。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ